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2017.07.19 パーキンソン病

レボドパだけでは効果が不十分!DDI(DCI)とは? パーキンソン病治療の仕組み 4

 

 

 

ドーパ脱炭酸酵素阻害薬

  レボドパは完璧ではありませんでした。レボドパをドーパミンに変換する酵素であるドーパ脱炭酸酵素は、脳以外にもの胃腸や腎臓、肝臓、他の身体のあらゆる場所でみられます。

 

ドーパ脱炭酸酵素は、投与されたレボドパが血液脳関門を越える前に脳以外の場所でドーパミンに変換してしまいます。これによって、レボドパが脳に到達するのを妨げるだけでなく、血流中に大量のドーパミンを産生します。

 

血中のドーパミンが高濃度になると、悪心や嘔吐を誘発することがよく知られています。また、まれに血圧低下や不整脈を引き起こします。

 

 

 胃腸での吸収による問題の解決策は、レボドパが脳内でより多く利用できるように、体内の他の領域がレボドパを奪い取ることを防ぐことです。そこで研究者は、末梢でのドーパ脱炭酸酵素阻害薬、すなわちDDIを開発しました。(これらの薬物が血液脳関門の外で作用することを意味しています。)

 

DDIは消化管やその他の身体領域で、レボドパがドーパミンに酵素変換されることを防ぎます。これにより、投与されたレボドパの多くが、変換されないまま脳に移動することが可能になります。

 

DDIは脳内では排除されるため、脳内のドーパ脱炭酸酵素はレボドパをドーパミンに変換します。DDIと組み合わせればレボドパの必要投与量は、レボドパ単独の投与量よりもはるかに少なくなり、有益な効果をもたらします。

 

DDIを使用する前は、レボドパの投与量は1日当たり4,0006,000mgに達していました。 DDI使用では、治療用量のレボドパは1日当たり1501,500mgの範囲です。吐き気や嘔吐が著しく軽減されます。

 

現在、レボドパはDDIを含む錠剤の組み合わせでしか入手できません。米国で利用可能な唯一のDDIはカルビドパです。日本も含めて他の地域では、ベンセラジドを複合したものも入手は可能です。

 

レボドパと組み合わせたDDIの量が不十分で、胃腸への副作用が持続する場合(治療初期に多い)、カルビドパを追加することが有用な場合があります(国内にはカルビドパの単剤はないかもしれない)。

 

 

 ドーパミンの副作用を脳以外で治療するもう1つの方法は、脳の外でのみ働くドーパミン受容体遮断薬によるものです(つまり、典型的な神経遮断薬や一部の非定型神経遮断薬で起こるパーキンソン病の悪化を引き起こしません)。

 

ドンペリドンはそのような薬物の1つです。ドーパミン受容体アゴニストで生じる同様の副作用の治療にも有効です。 DDIは、ドーパ脱炭酸酵素がその作用を発揮するために代謝を必要としないため、ここでは有用ではありません。

 

 

 

ドーパミンアゴニスト

 レボドパ療法には、もう一つの合併症があります。パーキンソン病はドーパミンを産生する細胞の変性を伴いますが、レボドパ療法はレボドパをドーパミンに変換するために同じ細胞を必要とします。

 

パーキンソン病が進行するにつれて、この変換過程は遅くなります。他の細胞もゆっくりとは変換するが、黒質細胞と同じように微妙な調節は行えません。

 

 

 研究者は新しい方法を考えなければなりませんでした。以前述べたように、神経伝達物質は1つの軸索から放出され、シナプス間隙を横断し、隣接するニューロン上の特異的受容体に伝達され、信号を取り込んで通過させます。

 

研究者が考えた新しい方法は、ドーパミンと同様に受容体を刺激する合成薬物を使用しています。神経伝達物質の作用を模倣するために受容体と組み合わせることができる薬物はアゴニストと呼ばれます。

 

(ドーパミンアンタゴニストは、神経伝達物質の作用を中和するか、または妨げます。以前に議論した神経遮断薬は、ドーパミン受容体を遮断することにより、薬物誘発性パーキンソニズムを引き起こすことがあります。すなわちそれらはドーパミンアンタゴニストとも言われます)。

 

ドーパミンアゴニストは、ドーパミン受容体でドーパミンの活性を模倣し、神経信号の伝達を刺激し、それによってパーキンソン病の症状を緩和させます。

 

 

 研究者は多数のドーパミンアゴニストを開発しています。脳内には、D1D2D3D4D5と示される少なくとも5種類のドーパミン受容体があります。

 

それぞれのドーパミン受容体は異なる特性を持っており、まだそれらについて多くのことが研究されています。パーキンソン病の特徴的な症状を効果的に治療するためには、D2受容体を刺激しなければならないと考えられています。(この過程の詳細については、今後の記事を参照してください)。

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