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目次
肩関節内旋・外旋とは?
脳卒中後の肩関節内旋・外旋運動、特に外側に手を広げる外旋運動はとても制限されやすく、内旋運動は内側に縮こまってしまい固くなってしまう傾向があります。
これらの可動域制限は肩関節の屈曲や外転運動にも関係しており、あらゆる肩の動きで可動域練習や評価を行っていく必要があります。
家族でできる可動域練習
肩関節の外旋可動域は制限される傾向があり、特に脳卒中後の片麻痺の方には多いです。今回の可動域練習は外旋の可動域をお伝えします。
姿勢は背臥位姿勢(仰向け)で行います。まず肩甲骨・肩関節周りの筋肉の柔軟性を出しておく必要があります。
今回は肩から肘にかけてついている上腕二頭筋に対しての介入方法です。大胸筋と上腕二頭筋は固くなりやすい筋肉です。肩関節外旋可動域制限がある人は、上腕二頭筋が内側へ向いており、肩関節が内旋位になっている方が多いです。
前回の動画で伝えた大胸筋(水平伸展の動画)を緩めた後に上腕二頭筋もしっかりと外旋の方向に引き出す必要があります。
片方の手で上から上腕二頭筋(力こぶがでる部分)を持って、もう片方の手で後ろから上腕三頭筋を持ちます。
①片方ずつ持った状態で上腕二頭筋を外旋方向に持っていきながら、
②下側の上腕三頭筋を下側から潜り込ませるように上腕二頭筋を外旋方向に引き出していきます。繰り返し実施していきます。
上腕二頭筋の部分を下側にずらしていき(肘側の方へ)、同様に上腕二頭筋を外旋方向に誘導していきます。上腕二頭筋をまっすぐな位置に持ってきてあげることで、肩関節外旋の可動域が向上する可能性があります。
肩関節内旋・外旋の可動域検査
肩関節を測るポジションとして、3つのポジションがあります。
①肘が体についた状態での内旋、外旋運動をファーストポジション(1st ポジション)といいます。
②肩関節外転90°をしたところでの内旋、外旋運動をセカンドポジション(2ndポジション)といいます。
③肩関節屈曲90°をしたところでの内旋、外旋運動をサードポジション(3rdポジション)といいます。
なぜ3つに分けられているのか。それは肩関節の関節形状が球関節であるからです。球関節は自由度が高く、色んな方向に動くからです。その為ポジションを変え可動域を測ることで、制限因子がどこにあるか判断できるからです。
例えばセカンドポジションの外旋可動域がファーストポジションで計測した可動域よりも著しく低い場合、ファーストポジションとセカンドポジションの違いは何かを考えていく必要があります。この場合、肩の下の筋肉や前面の筋肉が伸張されていくことによって制限を起こしている可能性があります。
次にセカンドポジションでの外旋運動よりもサードポジションでの外旋運動が行かなかった場合、肩関節の内転、外転という違いがあります。
すなわち、後面筋が関係しています。サードポジションでの肩関節外旋運動が著しく提言された場合は肩関節の後面筋の伸張により制限があると判断されます。
ファーストポジション(1st ポジション)
外旋運動
【開始肢位】肘関節90°屈曲、前腕中間位(親指が上を向いた状態)
【参考可動域】60°
【基本軸】肘を通る前額面への垂直線 【移動軸】尺骨
外旋方向に誘導していき、エンドフィール(最終域の抵抗感)を感じながら計測します。この時外旋60°以下の場合、可動域制限があると判断されます
内旋運動
【開始肢位】肘関節90°屈曲、前腕中間位(親指が上を向いた状態)
【参考可動域】80°
【基本軸】肘を通る前額面への垂直線 【移動軸】尺骨
内旋方向に誘導していき、エンドフィール(最終域の抵抗感)を感じながら計測します。この時内旋80°以下の場合、可動域制限があると判断されます。
セカンドポジション(2nd ポジション)
外旋運動
【開始肢位】肩関節外転90°、前腕は中間位
【参考可動域】90°
【基本軸】肘を通る前額面への垂直線 【移動軸】尺骨
外旋方向に誘導していき、エンドフィール(最終域の抵抗感)を感じながら計測します。この時外旋90°以下の場合、可動域制限があると判断されます
内旋運動
【開始肢位】肩関節外転90°、前腕は中間位
【参考可動域】70°
【基本軸】肘を通る前額面への垂直線 【移動軸】尺骨
内旋方向に誘導していき、エンドフィール(最終域の抵抗感)を感じながら計測します。この時内旋70°以下の場合、可動域制限があると判断されます。
サードポジション(3rdポジション)
外旋運動
【開始肢位】肩関節屈曲90°、前腕中間位、肘関節屈曲90°。
【参考可動域】114°
【基本軸】肘を通る矢状面への垂直線 【移動軸】尺骨
外旋方向に誘導していき、エンドフィール(最終域の抵抗感)を感じながら計測します。この時外旋114°以下の場合、可動域制限があると判断されます
内旋運動
【開始肢位】肩関節屈曲90°、前腕中間位、肘関節屈曲90°。
【参考可動域】57°
【基本軸】肘を通る矢状面への垂直線 【移動軸】尺骨
内旋方向に誘導していき、エンドフィール(最終域の抵抗感)を感じながら計測します。この時内旋57°以下の場合、可動域制限があると判断されます。
国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
アマゾン理学療法1位単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
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