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2017.07.19 脳卒中

禁煙で60%の脳卒中再発リスクを減らす!?脳卒中(脳梗塞)の危険因子を理解する

 

 

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脳卒中のリスクとその回避方法

 

脳卒中は予防的に治療をし、そのリスクを軽減させることが可能です。発症してからでは遅い病気です。しかし、改善可能な因子と改善が難しい因子があります。改善可能な因子をしっかり治療し、脳卒中のリスクを軽減させることが大切です。

 

まずは治療が難しい要因から説明致します。

 

遺伝的要因(家族歴)

 

遺伝的な問題は対処しようがありませんが、出来る事は多くあると思われます

 

例えば、食事管理、飲酒・禁煙他生活を見直すことで改善できることが多いと思われます。高血圧の家族歴と脳卒中死亡リスクとのあいだには有意な関連がみられており、高血圧の家族歴がある場合は、塩分摂取をはじめ高血圧の危険因子を十分に管理することが大切です。

 

「CADASIL」と呼ばれる「皮質下梗塞と白質脳症をともなう常染色体優性遺伝性脳動脈症 」と呼ばれる稀な遺伝性の血管疾患があります。10~30歳代で片頭痛発作がみられ、高血圧や糖尿病・高脂血症などの脳卒中のリスク要因を持たずに40~50歳代と比較的若年でTIAやラクナ型脳梗塞発作を繰り返します。治療は抗血小板療法が一般的に行われ、一部で抗凝固療法が行われています。

 

年齢

 

脳卒中はどの年齢でも発生する可能性があります。脳卒中は、年齢が増すにつれ発症率は高くなり、55歳前後から起こりやすくなります。その後、リスクは徐々に増加します。発症年齢が若年化しているとも言われています。生活習慣の見直しが大切と思われます。

 

性別

 

性別による発症率の違いは、一般的には男性の方が発症しやすいとされていますが、女性の方が多かったという報告もあります。女性は、閉経後にコレステロールの急増や動脈硬化などが促進する場合があるようです。ホルモン変化やホルモン補充療法などが関わっている可能性があります。

 

 

次に改善可能なリスク要因を説明致します。

 

高血圧

 

コントロールされていない高血圧症は、脳卒中最大のリスク因子です。毎年、検査を受ける必要があります。高血圧は頭痛を伴うと思われる方もおりますが、症状がない事もあります。

 

まず、「血圧」とは、血液の圧力によって血管の壁が押される力のことです。心臓から送り出される血液の量(心拍出量)と、血管の硬さ(血管抵抗)によって決まります。現時点では、135/85mmHgまたはそれ以下が目標とされる値であることが推奨されています。収縮期血圧が2mmHg上昇すると、心臓病による死亡率が7%増加し、脳卒中による死亡率が10%増加するリスクが増加します。血圧をコントロールし続けることは脳卒中のリスクを減らすために最も重要なことです。

 

塩分摂取量の管理は血圧管理に大切です。成人は1日に6g以下の塩分摂取が推奨されます。過剰な塩分摂取は、脳卒中・心不全はじめ心疾患のリスク要因です。

 

喫煙

 

喫煙習慣は、健康上の利益は全くありません。脳卒中を含む多くの致命的な病気を発症するリスクが増加します。喫煙者は、脳卒中を発症させるリスクは非喫煙者の2倍です。禁煙をした脳卒中者は、5年で60%の脳卒中再発リスクを減らすことができることが報告されています。受動喫煙も脳卒中リスクを増加させます。喫煙者と一緒に生活し、煙を定期的に吸入すると、禁煙者(受動喫煙者)の脳卒中リスクは最大80%上昇することが示されています。これは、公共の場での喫煙禁止の理由の一部です。徐々に世界中で広まっています。

 

肥満

 

肥満度の増加は、脳卒中発症の増加と関連することが知られています。肥満であること自体が脳卒中のリスクを増加させる可能性は高いと思われますが、肥満そのものが原因なのか又はリスクを増大させる二次的因子であるのかどうかは不明です。

 

肥満によって引き起こされる耐糖能異常、脂質異常症、高血圧はそれぞれが動脈硬化の主たる危険因子です。

 

健康状態の指標として体重を推奨レベルに保つことは望ましいです。驚くべきことに、理想体重よりも40%以上体重が増加すると早期死亡率が50%増加することが示されています。BMIは25以下(理想:男性 22    女性 21)を目標としたい所です。

 

飲酒(アルコール)

 

飲酒それ自体は危険ではありません。適度なアルコール摂取は、健康に有益な効果をもたらす可能性があります。しかし、過剰摂取は脳卒中のリスクが高まります。

 

日本酒で2合以上、ビールだと中瓶で2本以上飲む女性では、脳卒中のリスクが2.3倍高くなると報告されています。度の過ぎた飲酒は、血圧を急速に上昇させ、リスクとなります。適度な一日のアルコールの摂取量の目安は純アルコール量で約20g程度が限度です。ビール中瓶(500mL)を一本、日本酒1合(180mL)、焼酎0.6合(約110mL)、ワイン1/4本(約180mL)が限度で、飲酒を休む日も作った方がより良いです。

 

不活動(運動不足)

 

これは常識的なものです。定期的な運動は脳卒中を含む様々な問題のリスクを軽減します。体重コントロールやコレステロールの減少、糖尿病のリスクの軽減等も期待されます。

 

体重を減らすという事に関して、しばしば単にカロリーを燃やすことの問題だと思われています。しかし、それほど単純ではありません。エクササイズは、代謝に対して何をするのかによって身体に大きな効果を与えます。

 

運動は骨格筋から分泌される「IRISIN:アイシリンまたはイリシン」と呼ばれるホルモンを刺激するようです。イリシンが作用すると、同じような食生活、同じような運動内容でもより効率的に燃焼が行われ、より多くのカロリーが消費されます。運動によるイリシンの生成効果はある程度持続するようです。運動をしてイリシンが増えると体内が燃焼しやすい状態になります。運動を日々に組み込む価値は大きいです。

 

これはジムに行くことを意味するものではなく、もっと歩くことで十分です。

 

コレステロール

 

血中コレステロール値が高いことが良くないことは良く知られています。それは心疾患や脳卒中のリスクを高めます。重要なことは、善玉(HDL)コレステロールと悪玉(LDL)コレステロールの相対的なバランスです。本質的に、悪玉コレステロールのレベルが低い程リスクは低くなります。

 

コレステロールは体のすべての細胞に見られる脂肪物質の一種で、コレステロールが血管中を輸送される際のコレステロールとリポタンパク質が作る複合体を示します。多くの悪玉コレステロールは、動脈壁にコレステロールの蓄積を引き起こす傾向があります。動脈の裏地は、小さな穴がたくさんあるスポンジのようなものだと想像してください。 悪玉コレステロールは小さなボールのようなもので、スポンジの穴に入り込んでしまうようなイメージです。対照的に、善玉コレステロールは穴よりはるかに大きなボールのようです。だから、もし両方のタイプのボールを混ぜた血液があれば、小さなボールの大部分が穴に入れられます。悪玉コレステロールの方が血管に影響を及ぼすことが想像できるでしょう。

 

最近の研究によると、コレステロールを低下させる食べ物を食べると、低脂肪食だけでなく、脂肪含量を減らすだけでコレステロールを13%減らすことができます。有益な食品は、植物性ステロール(例えばナッツ、ビスマス、大麦、からす麦、大豆タンパク)のような粘性繊維を含む食品です。豆乳、豆腐、大豆肉等でも摂取できます。コレステロール値が高い場合、それを減らすためにできることをしっかり行うべきです。

 

 

その他、脳卒中を引き起こしやすい原因をお伝えします。

 

心房細動

 

心房細動は不規則な心拍を特徴とし、その不規則性から持続すると、心房は効率的に血液を排出しなくなり、心房内に血液の塊ができやすくなります。特に左房でできた血栓が脳へ飛び、脳の血管が閉塞されると脳梗塞を引き起こしてしまいます。60歳を超えると有病率が急増します。50~59歳では0.5%であるが、80~89歳ではおよそ9%と有病率が示されています。

 

既往歴(過去の病歴)

 

一過性虚血発作(TIA)または脳卒中の既往歴がある人は、脳卒中を再発する危険性があります。TIAを有する人のうち20〜30%が脳梗塞を発症します。

 

糖尿病

 

糖尿病は脳卒中や心臓病の重大な危険因子です。これは、脳卒中の危険因子である肥満、高コレステロール、高血圧が糖尿病患者でより一般的であるという事実からも言える事です。糖尿病でない人と比べて脳卒中リスクは2倍にもなります。

 

1型糖尿病:以前は、小児期または思春期に急性に発生する傾向があったため「小児糖尿病」と呼ばれていました。膵臓のインスリンを分泌する機能が生まれつき低いか、インスリンを作るβ細胞が何らかの原因で壊れてしまい、インスリンがでなくなることで起こる糖尿病です。1型糖尿病は、急性に発症する劇症型と、数年かけ発症する緩徐進行型があります。インスリン欠乏があり、インスリン注射(インスリン療法)を受けなければなりません。糖尿病の症例の10%を占めます。

 

2型糖尿病 :生活習慣の悪化等が原因で膵臓の機能が低下し、体内で十分なインスリンが産生されないか、インスリンの働きが悪くなります。糖尿病患者の約90%を占めます。生活習慣の改善・食事療法・運動療法・薬物療法などで進行を遅らせたり軽快させることが出来ます。

 

妊娠糖尿病 :妊娠中に引き起こされる糖尿病です。それは胎児が危険にさらされるので制御されなければなりません。多くの場合は一時的なもので、出産後に正常に戻りますが、稀に数年後本当の糖尿病になってしまう場合があります。

 

片頭痛

 

片頭痛は苦痛を伴う頭痛を引き起こした状態に過ぎないと考えられていました。しかし、2010年にアメリカで発表された研究では、片頭痛を有する人は片頭痛に罹患していない人よりも脳卒中のリスクが2倍高いと結論付けました。片頭痛を誘因する原因の一例に、アルコール、精神的ストレス、睡眠障害、食品による血管収縮または拡張作用などがあります。飲み過ぎや食生活にも気を付ける必要があると思われます。医師と相談しましょう。

 

血管の炎症

 

血管の炎症が脳梗塞の危険因子の一つとして、注目されています。炎症が血管の中で起こると動脈硬化が進行し、その結果塞栓が起きやすくなります。全身性の炎症性臓器障害を起こす自己免疫疾患の全身性エリテマトーデスの患者は脳卒中のリスクを高めます。

 

抗リン脂質抗体症候群は、血中に抗リン脂質抗体とよばれる自己抗体が存在し、自己抗体ができることによって全身の血液が固まりやすくなり、様々な部位の動脈血栓症や静脈血栓症、習慣流産などの合併症をきたす疾患です。抗リン脂質抗体症候群の約半数が全身性エリテマトーデス等の膠原病に合併しています。

 

関節リウマチおよび乾癬

 

研究では、関節リウマチ(RA)患者の心房細動のリスクが40%上昇することが示唆されています。関節リウマチのない患者と比較して脳卒中リスクが30%増加しました。同じ研究チームは、乾癬(慢性の皮膚角化疾患)の患者もまたリスクが増加する可能性があることを示唆しています。どちらの場合でも、他のリスク要因を最小限に抑えることが必要です。

 

薬物

 

いくつかの薬物は脳卒中リスクの増加と関連しています。

 

血液の抗凝固薬は、出血性脳卒中のリスク増加と関連しています。

 

経口避妊薬は、血栓形成、つまり虚血性脳卒中のリスク増加と関連しています。経口避妊薬のリスクは、女性の年齢が高齢であるほど高く、ピルのエストロゲン含量が高い程高くなるようです。ホルモン補充療法は、虚血性脳卒中のリスク増加と関連している可能性があると言われます。

 

交感神経作用薬と呼ばれる薬物群に属する例えば風邪薬などの市販薬では、高血圧などの危険因子を抱えている場合にリスクがわずかに増加することがあります。

 

妊娠

 

若い女性が脳卒中を起こすのは一般的ではありませんが、妊娠中には大きな生理学的変化が起こるため、妊娠していない女性と比較して約10倍リスクが増加します。それでも大多数の女性にとってリスクは依然として小さく3,000件の妊娠のうち約1件ほどのリスクです。

 

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