初期症状
パーキンソン病の患者さんが病気の徴候や症状が出現しはじめたときに、パーキンソン病だと特定することは困難です。多くの人は振戦に気づいたときにはっきり病気だと思い始めますが、医者は多くの場合、問診を通して振戦が目立つようになる前から病気の微妙な徴候が存在していたことを見出します。
初期症状が現れ始めたときの症状は他の疾患の症状と類似しているため、パーキンソン病かどうかの手がかりとして有用でないため、早期診断にあまり役立たないことが多いです。
非常に早い段階で軽度の症状のパーキンソン病患者が医師に診断を受ける場合、医師はしばしば迅速な診断をすることができないため、医師に不満を感じるかもしれません。
一部の患者は、症状の原因が見落とされているという感覚を持っており、確定診断を求めてさまざまな専門家のもとへ行きます。これは当然のことですが、実際には早期の症状に基づいてパーキンソン病を診断することはほとんど不可能です。
しかし、医師がパーキンソン病を疑ってからこれらの初期の症状を振り返ると、診断を確定もしくは否定するのに役立ちます。 パーキンソン病と診断されると、多くの患者は不確定な期間が解決したことに安心します。
パーキンソン病の初期の10兆候と症状
・顔の表情の変化(視線、まばたきの欠如)
・歩くときに片方の腕を振らない
・屈曲(前かがみ)姿勢
・「凍結肩」肩の痛み
・片足を引きずった歩行
・首や四肢の麻痺や疼痛、震えといった不快感
・嗅覚の喪失
・弱々しい声
・主観的な震えの感覚
・安静時の振戦
片側のみの症状
理由はわかっていませんが、初期のパーキンソン病の症状は一般的に体の片側から始まります。 例えば、一方の下肢が影響を受けても、もう一方の下肢は2年以上影響を受けないこともあります。
症状の発症が利き手と関係があるのかどうか疑問に思われることがありますが、そのような関係は証明されていません。 パーキンソン病の経験がほとんどない医師は、初期症状が体の片側だけで発症するのが非常に典型的であるということを認識していないかもしれません。
感覚的な振戦
初期には、四肢や体幹が内部から震えている感じがします。つまり、多くの人がパーキンソン病の感覚的な振戦に気づいています。 患者の約半数は、四肢や腹部のどこかが震えていると感じていますが、患者も医者もその動きを見ることはできません。
感覚的な振戦は、それを感じるのに十分な強さだが、目に見える運動を引き起こすのに十分な強さではありません。ただし、パーキンソン病によって引き起こされる振戦である可能性が高いです。感覚的な振戦の存在は、医師が診断をするのに役立つので、感覚的な振戦の感覚を報告することは重要です。
軽度の振戦
パーキンソン病の初期の特徴である不随意的な軽度の振戦を経験したとき、一部の医師は精神障害や老化の兆候としてパーキンソン病を否定することがあります。患者は疲労感や衰弱、筋肉の痛み、注意力の低下、睡眠障害などの様々な漠然とした症状とともに、軽度の断続的な振戦を報告することがあります。これらの症状はうつ病や精神障害の特徴でもありますが、医師は何が原因かを確かめることが難しい場合があります。
感情への影響
性的興奮を含むさまざまな強い感情によってパーキンソン病の振戦はより強くなります。 時々これに驚いて、パーキンソン病が悪化していると思うことがありますが、悪化しているわけではありません。彼らの感情や興奮が通常に戻るとすぐに、振戦も正常の状態に戻ります。患者にとって性的な関係は一般に支えとなる関係の一部であり、継続することで安心することができます。
痛み/その他の感覚への影響
早期のパーキンソン病では首や肩、腕、脚、腰背部などの様々な痛みを引き起こすことがあります。多くの人がこのような痛みを抱えているので、医師は一般的な原因によって起こる痛みとパーキンソン病による痛みとを区別することが一つの課題となります。
パーキンソン病の発症側では、約10%の患者が“凍結肩”と呼ばれる肩の痛みを伴う硬さを認めます。これが腕の機能に何らかの問題が生じる最初の兆候である場合があります。凍結肩は、ゆっくりと増悪する筋強剛と動作緩慢の症状によって引き起こされます。
つまり、これらの症状によって肩関節の正常な動きの範囲を徐々に制限されます。医師が肩や首、腕の痛みの原因がパーキンソン病であるかどうかを判断する方法の1つとして、抗パーキンソン病薬によって痛みが軽減されるかどうかを調べることがあります。
適切な抗パーキンソン病薬を服用したときに、筋肉の硬さや筋強剛に起因する痛みを和らげることができます。一方、初期のパーキンソン病に起因する凍結肩は、肩を動かして痛みを和らげるために理学療法を必要とすることもあります。
パーキンソン病に関連する他の感覚への影響も報告されています。患者は頻繁に腕や脚、腰背部、腹部、または骨盤周囲のしびれやうずくような痛み、灼熱感、寒気などの感覚で表現します。これらの感覚は、変化していくため一定ではありません。
抗パーキンソン病薬が作用しているときに起こることもありますが、それよりも薬が効いていないときに頻繁に起こります。通常はこれらの感覚症状が障害とはなりませんが、正常な機能を混乱させ不快なものとなるのは確かです。
臭いの感覚、つまり嗅覚は「特殊感覚」の一つです。嗅覚の減少または喪失は、パーキンソン病の非常に早い時期の特徴としてよくみられます。嗅覚の喪失では、食べ物の嗜好の変化が最も一般的に認識されています。嗅覚は味覚と密接に関連しており、パーキンソン病患者は自分の好きな食べ物の「味がしない」と訴えるかもしれません。
パーキンソン病患者の多くは、思い返してみると他の症状を発症する前に嗅覚が喪失していることをよく覚えています。しかし、嗅覚の喪失は鼻の感染症の繰り返しや喫煙、頭部外傷などの多くの要因によって引き起こされる非特異的な症状です。
国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
アマゾン理学療法1位単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
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