どのようにして体外要因がパーキンソン病症状を引き起こすのか?
パーキンソン病の原因がわからなくても、引き起こすメカニズムを知ることは有用です。どういった環境要因がパーキンソン病を引き起こす可能性があるのでしょうか? それには多くの理論があります。例えば、胎児が発達過程で毒素に曝露している場合、幼児の黒質は正常なニューロン数よりも少ないかもしれません。
生後数十年間は、正常な運動発達および運動行動のために十分な数のニューロンを残しているかもしれません。しかし、正常な老化の過程でドーパミン産生細胞が失われるにつれて、最終的に症状を引き起こす可能性があります。同様のメカニズムは、加齢における黒質ニューロン喪失の原因でもあり、損失時に症状を引き起こさずに加齢とともに引き起こす可能性があります。
他にも、一連の毒素への曝露が経時的にニューロンを繰り返し傷つけることで、黒質ニューロンの総数が減少する可能性があります。一回一回の曝露が症状を引き起こすのには十分でないかもしれませんが、通常の加齢の過程とともに蓄積すると、最終的にはパーキンソン病の発症につながる可能性があります。
また、毒素によって長年にわたり細胞数が継続的に異様な速さで低下するメカニズムが考えられます。脳に必要な細胞が失われて「正常」の閾値を超えるとパーキンソン病の症状を引き起こす可能性があります。 しかし、考慮すべきことは、パーキンソン病は黒質のドーパミン細胞だけでなく、より多くの他の細胞を巻き込むということです。
この図は、様々な環境毒素または内因性毒素への暴露がパーキンソン病の出現を引き起こす可能性を示しています。黒質のドーパミン作動性ニューロンの70〜80%が機能しなくなると、パーキンソン病の症状および徴候が出てきます。十分に長生きすれば、正常な老化とその後のドーパミンニューロンの喪失によってパーキンソン病の症状を誰もが発症すると考えている人もいます。
この図は理論的なもので、100歳くらいになるとパーキンソン病の症状が全身に発症する可能性があることを示唆しています。通常の加齢から外れる他の線は、断続的または偶発的な毒素への曝露がドーパミンニューロンに障害を及ぼし、最終的にはパーキンソン病の症状を呈することを示しています。
現在、パーキンソン病の発症を説明する一般的な仮説は、環境要因への曝露と遺伝的要因とを組み合わせたものです。おそらく、特定の環境要因がある種の遺伝的感受性を持つ人たちだけに影響します。
複数の環境要因がこれらの細胞を傷つけるため、パーキンソン病の原因となるのは単一の特異的な毒素ではありません。 同様に考えると、複数の遺伝的要因があるかもしれません。すべての人は、環境的要因と遺伝的要因との様々な組み合わせで表現できます。
これらの要因が増えれば増えるほど、病気を発症する可能性が高くなります。 防御的遺伝要因(つまり、遺伝的要因の反対のもの)が特定の環境要因のリスクを低下させる可能性もあります。
パーキンソン病と診断された人の「なぜ私が?」という疑問に答える材料として、現在のところ、部分的な証拠と仮説しかありません。この疑問に答えることができれば、パーキンソン病の原因を理解することに近づくでしょう。
1つ重要なことは、おそらく単一の原因はないということです。つまり、パーキンソン病を単一原因に基づく実体のある病気とみなすのではなく、原因を考えることがより適切かもしれません。
国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
アマゾン理学療法1位単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
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