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2017.03.22 パーキンソン病

頻尿に悩まされていませんか?パーキンソン病の自律神経障害

 

 

自律神経系の障害

 

 

膀胱のコントロールと排尿障害

 以前に指摘したように、排尿障害には、頻尿(頻繁にトイレに行く)、尿意切迫感(突然の強い排尿の衝動)、尿失禁(排尿コントロールの喪失)などがあります。これらの障害は、パーキンソン病を患っていない人たちでも一般的な疾患です。進行期のパーキンソン病患者は、一般的に排尿障害になることが多いですが、必ずしもパーキンソン病自体が主な原因ではありません。はじめは進行期のパーキンソン病によって引き起こされた排尿障害だと考えますが、そのあとで排尿障害の他のいくつかの原因を見直さなくてはならないです。

 

 泌尿器系の問題がある場合は、医師と話し合う必要があります。この話し合いが、この問題を抱えるパーキンソン病患者を援助するための唯一の方法です。あなただけが排尿障害に悩んでいるのではないことを心に留めておけば、医師ともっと素直に話せることがあるはずです。医者は同じような問題を抱えている人たちを何人も助けています。

 

 頻尿のある人は、夜間に2回から4回程度起きて排尿しなければならない場合があり、睡眠の妨げになります。特に夜間に尿失禁が起こっていたら、医師は患者が膀胱を適切に制御できなくなっていないかどうか、または主要問題は動作がゆっくりに(パーキンソン病のために)なってしまってトイレに行けないためなのかどうかを判断する必要があります。治療へのアプローチが大きく異なるため、これらの2つの問題を区別しなければなりません。

 

 問題が本当に排尿障害であれば、パーキンソン病患者の頻尿、尿意切迫感、尿失禁の治療に役立つ薬を服用するべきです。これらの薬剤は、尿の放出を制御する膀胱および筋肉の緊張に影響を及ぼしますが、他にも膀胱過敏症を直接軽減し、頻尿を緩和するものもあります。これらの薬物には、トルテロジン(本邦では商品名:デトルシトールで販売されている)およびオキシブチニン(本邦未発売)などがあります。就寝時の泌尿器薬は、膀胱疾患による睡眠障害を有意に改善します。そのためにいくつかの新薬も導入されています。

 

 トイレに行くまでに時間がかかってしまう場合、医師は、薬剤の濃度が低下する傾向がある夜間に、動作緩慢や歩行を改善するために、基本的な抗パーキンソン薬を変更するべきです。または、より簡単な解決策として、ベッドの近くに便器や尿瓶を置くことがいいでしょう。尿失禁が不可避である場合、尿取りパッドを使用することもあります。

 

男性は、夜間または日中にコンドームカテーテルを使用することがあります。コンドームカテーテルは陰茎にコンドームのように装着し、尿を袋に溜めて排出するためのチューブがついています。チューブは陰茎に挿入されないためバルーンカテテールとは異なります。

 

 一般的な多くの泌尿器系の問題は、パーキンソン病とは無関係です。例えば、尿路感染症(UTI)は、パーキンソン病による排尿障害と同じ症状を引き起こしますが、尿路感染症では発熱や痛みを引き起こすこともあります。パーキンソン病患者が頻尿や尿意切迫感だと気付いた場合、医師は発熱や排尿時の痛みがない場合でも、尿路感染症の可能性を最初に排除する必要があります。

 

尿路感染症は、尿の簡単な分析で検出でき、経口の抗生物質で治療することが容易です。進行期パーキンソン病患者の多くは、頻尿や尿意切迫感があっても感染の徴候がありません。あるいは、高齢のパーキンソン病患者では、尿路感染症の特徴として意識障害だけを引き起こすことがあるので、明らかな理由がなく患者の精神状態が変化した場合、この原因を検討したり除外することが重要です。

 

 60代から70代の男性の頻尿と尿意切迫感の最も多い原因は、“良性前立腺肥大”と前立腺肥大があります。前立腺は、体外に尿を運ぶ尿道を取り巻いています。前立腺が肥大すると、尿道が圧迫されて尿管に障害が起こります。

 

 尿路症状を発症するパーキンソン病患者の男性は、パーキンソン病で見られる排尿障害を診察したことのある泌尿器科医によって評価してもらうといいでしょう。経験豊富な泌尿器科医は、前立腺肥大の程度と排尿症状の重症度とが一致するかどうかを神経科医が判断するのを助けてくれます。

 

前立腺の大きさを縮小する前立腺手術は、パーキンソン病が主要な原因ではなくて泌尿器科医が、前立腺の肥大が比較的確実であると判断した時でないと意味をなしません。泌尿器科医は、膀胱機能を測定するために尿道から膀胱にチューブを挿入する膀胱鏡検査と言われる特別な検査を行います。パーキンソン病の症状が主要な原因である場合、前立腺手術では悪化する可能性があります。

 

 パーキンソン病の女性に排尿障害がある場合、婦人科医と泌尿器科医の両方で評価する必要があります。 出産は、骨盤臓器を取り囲む筋肉を弛緩させることがあり、女性が出産後に頻尿や尿意切迫感、尿失禁を生じることがあります。一部の女性では、骨盤まで下がった膀胱の位置を修正するための手術が必要となることがあります。

 

 

 

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