自律神経系の障害
便秘
便秘は、進行期パーキンソン病においてとても一般的な問題であり、疾患が進行するにつれてより重篤になります。パーキンソン病患者にとって便秘は混乱を引き起こす問題です。治療法を含む詳細については、中等度のパーキンソン病の記事を参照してください。
性機能障害
パーキンソン病の人たちは性機能障害を経験している人もいますが、そうでない人もいます。男性で最も一般的な性的問題は、勃起不全です。勃起不全(インポテンス)は、パーキンソン病のどの段階でも起こり得ますが、進行期では(確かではないが)やや可能性が高くなります。それはパーキンソン病自体に関連している可能性もありますが、糖尿病や血管疾患を含む多くの疾患がこの問題を引き起こし、それを悪化させる可能性があります。
このような性機能不全には多くの治療法があります。合理的な治療としては、経口投与薬のシルデナフィル(バイアグラ)やタダラフィル(シアリス)、または陰茎に対する無痛の自己投与注射薬であるアルプロスタジル(カバージェクト:本邦未発売)があります。勃起を補助するために、真空ポンプなどの機器も利用可能です。手術も可能ですが、パーキンソン病の男性に対してはめったに効果がありません。
パーキンソン病の一部の男性は、抗パーキンソン病薬の副作用として性行為に対する関心が高まっていることがあります。これが時々、過度になってパートナーとの関係に悪影響を及ぼす可能性があります。男性が勃起機能障害を有する場合には、さらに複雑となり得ます。この問題は重要であり、精神的に傷つくこともありますが隠すのではなく、これらの問題について医師に率直で正直な議論をすることが重要です。
パーキンソン病女性の性的機能不全は十分に研究されていません。暫定的な研究で、女性は性的満足感が少なく、オルガスム達成が困難であることを示唆していますが、さらなる研究が必要です。
パーキンソン病を含む慢性疾患に対処する上で、パートナーとの間に思いやりや愛情のある関係は確かな強みです。ルイス・カールトンの本「病める時も健やかなる時も:慢性疾患と性行為・愛情」は、身体的な問題が性行為を妨げている場合でも愛情を示すための(身体的・感情的に)多くの方法を論じています。 (この本は絶版になっています。古本屋や絶版の本を調査している会社[インターネット上には多くの会社があります]でコピーを見つけることができます。)
起立性低血圧と起床時の失神
通常、座った状態や仰けの姿勢から立ち上がるとき、私たちの自律神経系は血圧を素早く再調整して、脳への血流をスムーズに途切れることなく維持しています。パーキンソン病および多系統萎縮症(MSA)などの神経変性疾患において、この反射が鈍くなります。
パーキンソン病の治療に使用される薬剤は、この問題を助長する可能性があります。特に長時間座っていた後に立ち上がると、脳への血流や血圧が再調整されるまでのしばらくの間、めまいがしたり頭がふらふらしたりします。この問題の他の症状として、起立時の失神や肩に痛みが出る可能性があります。これら状態を起立性低血圧といいます。
この問題にはいくつかのアプローチがあります。当然なことですが、ゆっくりと立ち上がり、歩き出す前に「その方向を見る」ことが役立ちます。起立性低血圧の患者は、座っている間に脚に体液が溜まってしまうため、弾性ストッキングを着用することで、体液が足にたまるのを減らすことができます。
起立性低血圧症を治療するために利用できる薬剤には、フルドロコルチゾン(フロリネフ)やミドドリン(ProAmatine、本邦ではメトリジン等の商品名で販売されている)があります。他にも、総血液量を増加させたり、血圧をいくらか高値に維持したりする方法があります。特に暑い季節には、1日に少なくとも6〜8杯(1.5〜2L)の水分を摂取しておくことが重要です。
お茶やコーヒー、ソーダなど、飲み物によっては利尿薬として働き、体から水分を排出するため、これらを飲んだら水も飲むようにしましょう。塩分摂取量が多ければ、より多くの水分を保持でき、水分量を維持するのに役立ちます。普段より多めに塩をかけたり、ブイヨンを飲むようにしたり、塩(NaCl)の錠剤を摂取したりすることがいいでしょう。
ベッドの頭側の脚の下にブロックなどを置いてベッドの頭を上げると、起立性低血圧を改善することができます。病院にある標準型ベッドのように頭部を中央から曲げて起こすことではこの効果が得られません。
高血圧を低下させるいくつかの薬剤は、起立性低血圧を助長することがあります。体液の流れを良くすることに働く薬剤(例えば、利尿薬など)もあれば、血管を直接弛緩させる薬剤もあります。医師は、起立性低血圧を有する人たちが、姿勢を変えるときに過度な血圧低下を避け、やや高めの血圧を維持するために、これらの薬剤の使用を再評価する必要があるかもしれません。
国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
アマゾン理学療法1位単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
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