若年性パーキンソン病
・若年発症と高齢発症のパーキンソン病の違いは何か?
・パーキンソン病と診断された若年成人が特に取り組むべき懸念事項は?
50歳未満でパーキンソン病の症状を発症した人は、後齢発症のパーキンソン病患者とはまったく異なる医学的、社会的、経済的問題に直面します。ここでは、これらのいくつかの問題について説明します。
(若年性パーキンソン病は、パーキンソン病の早期発見とは全く別のものであり、初期症状については以前の記事を参照してください。パーキンソン病の初期症状はパーキンソン病を有するすべての人が経験します。)
若年性パーキンソン病とは?
パーキンソン病の概要の記事に記載されているように、パーキンソン病発症の平均年齢は60歳です。医学的文献で“若年性(young-onset)パーキンソン病”は、しばしば40歳以前に初発症状が現れることを指しますが、一般的には若年発症の上限を50歳と考えることが多いので、ここでは若年性パーキンソン病を20歳以上50歳未満で症状を引き起こす患者のことをいいます。
パーキンソン症状が20〜30歳未満で発症することは非常に珍しいことであり、そのような症状は純粋なパーキンソン病ではない可能性が高いです。若年発症(juvenile-onset)のパーキンソニズムという用語は、通常、20歳より以前にパーキンソン病と診断された稀な症例に用いられます。
若年性パーキンソン病は一般的ではないことを強調したいです。パーキンソン病のような症状に関する相談でパーキンソン病センターに来る人たちの約10〜15%は、若年性パーキンソン病(50歳以前に発症)です。
この割合は、パーキンソン病患者の特別センターであるため、人口全体の割合よりも多いでしょう。一般的な世間では、50歳以前に症状を呈するパーキンソン病患者の実際の割合は約5%です。
ここ10年間で、パーキンソン病の遺伝的影響についての非常に興味深い新しい情報が蓄積され始めています。パーキンソン病の概要で述べましたが、パーキンソン病はほとんどの家系で遺伝的障害ではありません。
パーキンソニズムに関連する稀な家系の特定の遺伝子について多くのことを研究していますが、パーキンソン病を引き起こすためにこれらの遺伝子が脳内でどのように働くかはまだ正確にはわかっていません。
これらの研究でわかったことは、若年性パーキンソン病は遺伝的異常に関連している可能性が高いことです。若年性パーキンソン病(特に、パーキンソン病の家族歴があり、症状が40歳までに始まった場合)は、Parkin、DJ-1、およびPlNK1などの劣性遺伝性遺伝子と関連していることが多いです。 ( 「劣性遺伝」とは兄弟姉妹に出現するが、ある世代から次の世代に直接継承されないことを意味します。両親が病気になっていなくても遺伝子を“持って”いた場合、子供が病気を受け継ぐ可能性は1/4あります。)最初に発見された遺伝子はParkinでした。
この遺伝子は当初、若い日本人の患者で発見されて以来、世界中の様々な民族のパーキンソン病患者でも証明されています。
医師はParkin遺伝子を検索するために遺伝子検査を依頼することもできますが、現在これは推奨されていません。遺伝的異常を有する人は典型的な2つの異常なParkin遺伝子を有しており、それぞれの異常や変異の性質は同じである場合も異なっている場合もあります。
一方だけの異常遺伝子を有する場合(すなわち、「保因者」の状態)の重要性は不明です。 1つの可能性ですが、これが高齢発症のより典型的なパーキンソン病を発症しやすくする可能性があるということがいわれています。異常なParkin遺伝子の検査は非常に複雑な作業であり、検査室が異常を見逃しやすいです。
若年性パーキンソン病患者にParkin遺伝子があるのかないのかでは治療には影響しないでしょう。若年性パーキンソン病に関連するさらなる異常遺伝子が発見されることは間違いないでしょう。
Parkin、DJ-1、およびPINK1はいずれも比較的最近の発見ですが、これらの異常な遺伝子が脳のドーパミン作動系にどのように影響し、パーキンソン病の症状を引き起こすのかについての知見もみつかってきています。これらの基本的な遺伝子型や生化学的な経路がより明確にわかってきているので、これらの遺伝型のパーキンソニズムを特異的に扱う多くの治療が期待されています。
典型的な非遺伝性のパーキンソン病とはほとんど違いがなく、これらの劣性遺伝のパーキンソニズムの形態の発見は驚くべきことでした(例えば、発症年齢が若く、進行遅くて、振戦が強く、ジストニア姿勢が強い)。症状、進行、およびドーパミン作動性の反応に対する治療は同等です。
国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
アマゾン理学療法1位単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
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