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パーキンソン病の最新知見!ドーパミン作動性ニューロンの移植の現状
パーキンソン病は、中枢神経系に影響を及ぼし、発語および運動能力の障害を引き起こす障害です。
パーキンソン病は、60歳を超える100人のうち1人が発症し、女性および男性において発症率がほぼ等しいようです。一般的には、神経変性疾患としてアルツハイマー病に次いで2番目に多いものです。パーキンソン病の患者の5~10%は40歳以下の早期発症です。
パーキンソン病は、中脳における神経細胞の損傷または死の結果として発症します。障害を受ける細胞はドーパミンの産生を担い、この神経伝達物質は中脳から線条体へのシグナルの伝達を助けます。協調的な動きのためには、これらの信号の適切な伝達が必要です。
現在、パーキンソン病の治療法には、固縮や振戦などの個々の症状を治療するためのL-ドーパなどの薬剤があります。
残念なことに、L-ドパ誘導体は、従来のL-ドーパ薬よりも負の副作用を引き起こします。さらに、各パーキンソン患者で個性があり、症状の重篤度はしばしば患者によって大きく異なるため、治療は各個人に合わせなければなりません。
ジャーナルに最近掲載された研究では、中脳におけるドーパミン作動性ニューロンの産生をもたらす「放射状グリア細胞」の発見が議論されています。
これらは、典型的にはパーキンソン病の影響を受けるニューロンです。グリア細胞は、ニューロンを養い、保護およびサポートします。研究者らは、この発見がドーパミン作動性ニューロンを人工的に再現する科学的方法につながることを期待しています。健常な放射状グリア細胞のパーキンソン病患者の脳への移植は、損傷または破壊されたドーパミン作動性ニューロンの再生を導き得ます。
Nature Medicineに最近掲載された別の研究では、一部の患者において、パーキンソン病の進行が、10年前までに個人の脳に移植された移植ドパミン作動性ニューロンに影響を及ぼすことが示されました。
以前に述べたように、パーキンソン症例はそれぞれ固有のものです。一部の患者は、長期間に亘ってドーパミン作動性ニューロン移植片に正に応答し続ける一方、他の患者では10年後に移植細胞に影響を与え始めます。
ドーパミン作動性ニューロン移植の利点は明らかです。移植成功後、患者は通常、剛性が低下し、動く速度が増加します。
研究者らは、パーキンソン病患者に移植されたニューロンがなぜ影響を受けるのかを理解することで、その病気のメカニズムを特定することができると期待しています。この病気がどのように発症するかをよりよく理解すれば、症状の進行を遅くしたり予防したりする治療につながる可能性があります。
結論として、これら2つの研究の相反する結果は、この疾患の発症および進行に関するより多くの研究が治療の焦点である必要があることを示唆しています。
療法士からのコメント
個々で違うという点が、何故個々に違うのかが解明されてくると治療の幅が広がることを感じます。一人の人間の中に、無数のニューロンがあり、その中でも影響を受けやすい(感受性の良い)ものやそうでないもの等あると思われます。それを考えると気が遠くなるような作業と感じますが、少しでも早く、研究が進み多くの方が救われればと思います。
refereces
Identification of midbrain floor plate radial glia-like cells as dopaminergic progenitors.☜pubmed Bonilla S et al.Glia. 2008 Jun;56(8):809-20. doi: 10.1002/glia.20654.>
国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
アマゾン理学療法1位単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
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