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芸術作品が脳をアイドリング状態へ導く!?
芸術や音楽を見たり聞いたりすると自分自身の内部の何かに触れます。それはしばしば言葉にできないもので自分を動かします。
しかし、そのように動いたときに脳には何が起こっているのでしょうか?
この質問は、最近発表された論文の中で探究されています。芸術は美的経験、自己やデフォルトモードネットワーク(DMN)の中へと達します。(DMN:ぼんやりとした安静状態となると脳が示す神経活動です。自己内省、認知機能、記憶など種々の事との関連が注目されています。)
NYUの研究者とスペインのバルセロナのPompeu Fabra大学の研究者によって行われた研究は、fMRIに16人の参加者を配置し、無作為に109個の芸術作品をランダムに示しました。研究参加者は、各作品がどれだけ個人的に心を「動かされたか」に応じて、1から4の尺度で作品を評価するよう指示されました。
この研究では、参加者が芸術作品の中で最も「心が動かされている」とした作品に最高の4点を与えたとき、その参加者のDMNの活性化と強い相関があることが示されました。対照的に、参加者が1と3の間でより低い評価を与えた場合、これは参加者のDMNの抑制に対応しました。
各参加者は異なる芸術作品に対して好意的または否定的に反応したため、研究者は各個人の審美的経験とDMNの活性化または抑圧との関連性を特定することができました。DMNは自己の感覚と密接に結びついているため、美的体験とDMNとの関係は重要です。
高く評価された芸術作品とDMNの活性化との相関関係は、特定の作品が個人の自己意識と「共鳴する」ことを示唆しており、この共鳴は明確に定義された生理学的応答によって識別することができます。
脳と高度に共鳴する芸術作品は、神経プロセスと相互作用し、影響を及ぼす可能性があります。
療法士からのコメント
DMNは「アイドリング状態」「何もしない状態」と言えます。脳卒中リハとの関連としては、このニュートラル状態に戻すのが苦手な方が多いように思います。DMNは「自分自身に関する情報を組織化する」「自己を内省する」時でもあります。運動学習において大切な部分です。たまには、ぼーっと芸術的な心動かされる作品を見て脳を落ち着かせるのも良いと思われます。
refereces
Art reaches within: aesthetic experience, the self and the default mode network.☜pubmed Vessel EA et al. Front Neurosci. 2013 Dec 30;7:258. doi: 10.3389/fnins.2013.00258.
国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
アマゾン理学療法1位単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
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