ジストニアの種類
ジストニアとは文字通り、筋肉の緊張が極端に亢進しているか、極端に低下している状態を指します。しかし、臨床的にジストニアは、持続的な捻転姿勢を引き起こす筋痙攣を特徴とする運動障害の一種です。
ジストニアは、それ自体でも発症しますし、神経学的障害に併発して起こることもあります。時にはパーキンソン病自体が足や手に痙攣を引き起こすジストニアを生じることもあります。
他にもジストニアは、20歳未満の人に最も多く見られるものがあります。この身体を不自由にさせる進行性の障害は、通常、脚や腕またはその両方の異常な動きを含む、異常姿勢が持続してゆっくりとした捻転動作からはじまります。
成人ではじめてジストニアが出現するときは、身体の1カ所か2カ所の関連領域に集中する傾向があります。これは、局所性または部分的ジストニアと呼ばれます。
作家や記者などの痙攣は、特定の課題(字を書くこと)に特有の局所性ジストニアの例です。彼らの手は、書字動作を除いて完璧に機能していますが、字を書こうとすると手をひねって異常な姿勢となって書字を妨げたり、時には痛みを伴います。
痙攣性斜頸(頸部ジストニア)は、頭頸部が回旋、側屈し、前方に屈曲または後方に伸展するといった別の局所性ジストニアです。
成人における下肢ジストニアは、通常、足趾の巻き込みを伴って足首を内側に捻転させます。これは痛みを伴い、歩行を妨げる可能性があります。
顔面に影響を及ぼすジストニアのタイプには、眼瞼痙攣や口顎ジストニアがあります。眼瞼痙攣は、眼瞼が不随意に間欠的に閉じてしまいます。目を自由に開けることができないので、このようなジストニアは、機能的失明であったり、他の視覚障害を引き起こす可能性があります。
口顎ジストニアは、顎が不随意に閉じたり開いたりして、ひどい顔にねじれたり曲がったりすることがあります。
遺伝性の別のジストニアに、レボドパ反応性ジストニアまたはドーパ反応性ジストニア(DRD)と呼ばれるものがあります。脳内のドーパミン系の特定の酵素欠損によって引き起こされるこのタイプのジストニアは、通常、脚からはじまって、身体の全体に広がって行きます。
このジストニアがある人たちの約75%において、一日を通して非常に顕著に症状が変化するという独特の特性を持っています。この障害のある子供たちは、神経学的異常が殆どない(朝起きた時や昼寝の時など)日常の時間もあります。また、下肢のねじれた姿勢が顕著なために歩くことができない時(例えば、夕方や運動の後など)もあります。
カルビドパ/レボドパの投与は極端に少ない用量でDRDのジストニアを劇的に改善します。DRDでパーキンソニズムを認めることもあり、多くの場合は成人ですが、小児でも見られることがあります。それでもやはり、DRDはパーキンソン病とは異なります。
パーキンソン病によって発症するジストニアは診断の混乱を引き起こすことがあります。ごくまれにですが、おそらくパーキンソン病患者の1%未満で、ジストニアはパーキンソン病の初期症状です。早期のジストニアは、抗パーキンソン病薬とは無関係で、若年発症のパーキンソン病ではよくあることです。
以前の記事で、中等度から進行性のパーキンソン病における足または手の比較的一般的なジストニアについて述べました。拇指が曲がって靴を押したり、痛みを伴う痙攣を起こしたり、指が反り返ったり、親指が使いにくい向きに動いたり、足が捻れたり、足指が大きく広がったりすることがあります。
これらの症状を考慮すると、神経科医は、徹底的な検査で新たなパーキンソン症状が明らかになるまで、最初はこの障害が孤立性ジストニアであると信じているかもしれません。パーキンソン病を治療するために使用される薬剤(特にレボドパおよびドーパミンアゴニスト)は、様々な種類のジストニアを誘発するかもしれません。
ジストニアとパーキンソニズムが共存する比較的まれな神経学的疾患には様々なものがあり、若年層に多いです。診断は非常に困難となることがありますが、MRIと選択的な遺伝子検査は正確な診断を提供することがあります。
ウィルソン病
ウィルソン病を患っている人の正確な診断は非常に重要です。なぜなら、治療が神経学的異常やもしかすると致命的な転帰も防ぐことができるかもしれないからです。ウィルソン病はパーキンソン症候群と同じ症状をいくつも呈する非常にまれな遺伝性疾患ですが、ウィルソン病はパーキンソン病とは異なり、簡単な検査で診断することができます。
ウィルソン病は銅代謝の異常によって引き起こされ、脳や肝臓、目、腎臓に銅が過剰に蓄積します。ウィルソン病の症状は、通常25歳までに発症します。ウィルソン病の肝臓症状が出現する最も一般的な年齢は12〜14歳です。神経学的症状は、しばしば思春期後期に始まります。
ウィルソン病の神経学的症状には、振戦、動作の緩慢さ、動きのぎこちなさ、歩行障害、さらに感情面の問題が含まれます。パーキンソン病の症状を呈していると思われる20〜25歳の人たちは、ウィルソン病の可能性があります。症状は似ていますが、患者が非常に若いということが典型的なパーキンソン病ではない手がかりとなります。
ウィルソン病を診断することは、まれなことです。多くの医師は、ウィルソン病の患者を目にすることはありません。ほとんどのウィルソン病の人たちは、25歳までに医師の助けを求めますが、この病気はもっと後の年齢でも現れる可能性もあります。
医学生や神経科医には、振戦、動作の緩慢さ、ジストニア、筋強剛、歩行障害などの異常な神経学的問題を抱える45歳未満の人にウィルスソン病の評価をすべきであると教えられています。 ウィルソン病患者は、通常、パーキンソン病の人よりもずっと若いので、混同することはまずありません。
30代でパーキンソン病の症状がある場合は、ウィルソン病の可能性があるかどうか医師に相談してください。

国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
アマゾン理学療法1位単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
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