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脳卒中後に生じ得る一般的な12の症状
脳卒中後の症状は個々で異なります。どのような症状が起こる得るかを理解することは重要です。
1. 疲労・眠気
脳卒中後の疲れやすさや眠気は心配しないで下さい。一般的な症状です。睡眠を取る事は脳の回復に適しています。しかし、睡眠障害が進行する場合もありますので、睡眠障害があれば医師に相談してください。
多くの脳卒中者が睡眠の問題は時間が解決すると考えていますが、その睡眠障害は脳卒中後の回復を妨げます。疲労も単純に脱水などで引き起こされている場合もあります。何か症状があれば、医師に診てもらうのが一番最適かと思われます。
2. 下垂足
下垂足は、つま先を持ち上げるのが困難となる状態です。つま先が持ち上がらない為に歩行を困難かつ転倒リスクを高める可能性があります。下垂足の治療はリハビリや装具、電気刺激などの方法が一般的に取られます。 装具(AFO)つま先が落ちないようにする支えるために取り付けられます。電気刺激は、神経と筋が正常に機能するように働き、正常歩行の再学習を促します。電気刺激装置をレンタルする事も可能です。
3. 痙性(痙縮)
痙縮は、脳と筋肉の間のコミュニケーションの不全により引き起こされます。意志と関係なく筋肉が緊張し、痛みを伴ったり、関節の動く幅が狭くなったりし体が動かしづらくなります。
そして動かせないと、下で述べるような学習性の不使用も起こします。痙縮による内反尖足では楽に足が接地できず、歩行を困難または転倒リスクを増大させます。リハビリやボトックス、電気刺激治療・手術などで対応されます。
4. 学習性不使用
麻痺側の特に上肢は、機能的でなかったり痛みが出現したりすると、使用しなくなり、脳はそれらを無視し始めます。その状態が続くと麻痺側をどのように使用するか完全に忘れていきます。これは大きな後遺症です。毎日動かなくとも麻痺側を動かすことが大切です。
5. 頭痛
脳卒中者では頭痛を経験する方は多く、珍しいことではありません。しかし、痛みが重度であるか、通常の頭痛より長く続く場合は、すぐに医師に相談してください。
6. てんかん発作
脳卒中者の約5%が発作後にてんかん発作を経験します。その発作時の対応を医療者に教えてもらい、備えておくことは大切です。発作を起こしているときは、窒息を防ぐために姿勢を横向きにすることが重要です。発作時の対処法の詳細は医療者または書籍などを御参照ください。
7. コミュニケーション障害
脳卒中が脳の言語領域に影響を及ぼすと発語困難や言語理解困難などの症状を引き起こす可能性があります。この状態は失語症と呼ばれます。言語聴覚士が会話能力を取り戻すために関わります。
会話を始める前に何について話すか決めてから話すと両者の不満を和らげることに繋がります。言語は左脳、歌とメロディは右脳が司っており、言葉を発せなくても歌う事は出来るかもしれません。まずは、歌い方を学び、その文章を今度は話してみます。
8. 感情的な変化
脳卒中後の感情的変化には、抑うつ、不安、怒り、そして欲求不満などがあります。うつ病は、脳卒中後の最も一般的な感情的変化です。脳卒中後のうつ病がプロバイオティクスで効果的に治療されることがあるということはあまり知られていません→こちら。
脳卒中後の不安は睡眠を妨げる可能性があります。医師と話をして薬を飲むことができますが、通常は気力で緩和することができます。最後に、欲求不満は回復の限界を感じている時に起こりやすい感情です。受け入れる気持ちと感謝をもってその気持ちに打ち勝ちたいところです。また、脳卒中について学んで、理解していく事で、状況を変えられる可能性もあります。
9. 失禁
失禁は、膀胱および排便をコントロールできないことです。失禁を本人が恥ずかしがり、意図的に水を飲むのを避けてしまうことがあります。これは健康にとって本当に悪いことです。脱水は体を疲弊させ、体が回復するのに必要な要素を奪います。失禁に対する対処を、看護師・リハビリ等と協力していく必要があります。
10. 半側無視
麻痺側の空間または体に気付かない無視という症状が現れる可能性があります。人が麻痺側に立つと気付かれないかもしれません。これは麻痺側に意図的に注意を払うことで治療します。例えば、麻痺側にリモコンを置き、注意を払わせます。家族が話しをする時に、麻痺側に座って話しかけます。これは脳が麻痺側に注意を払えるように訓練することになります。
11. バランス障害
体の半分の筋がコントロールできないことで体の平衡を保てずバランス機能の低下を生じます。リハビリ運動を通してバランスを改善することができます。バランス機能を見る評価方法として片足立ちがあります。毎週テストを行い、どれ程改善したかを見ます。
12. 嚥下障害
嚥下障害は、喉の筋肉のコントロールを担う脳の部位が障害を受けたときに発生します。これは、咳込む、流涎、嚥下困難等につながります。食べ物をより簡単に食べるのに、柔らかい食べ物を食べる、とろみを付ける、細かく刻むなど工夫が必要かもしれません。身体麻痺により姿勢が崩れることで、摂食嚥下に悪影響を及ぼすこともあり、姿勢良く食べれることも大切です。
療法士からのコメント
脳卒中の症状は個人個人で異なります。様々な症状・原因を理解しておくことで、解決の糸口が見つかることもあります。専門的な部分は医師やセラピスト・看護師などと相談する事で解決する場合があります。協力して日々の問題を解決していきましょう。
国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
アマゾン理学療法1位単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
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