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質問97:ロボット技術は脳卒中者にどんなメリットをもたらしますか?
専門家からの回答
ロボットなどのテクノロジーは「支援」と「治療」に区別されると思います。
「支援技術」は、自身の能力と生活環境がより釣り合いが取れ、快適に生活が出来るように介在します。例えば、車椅子は地域で移動できるようにするための支援技術と言えます。声を発するだけで、電気がついたり、カーテンが開いたりする電子機器も支援技術です。これらは「代償」です。
「治療技術」はロボットが人の手足をサポートし、主要な機能を強化するのを助けます。人を強くすること、またはより良いバランスで歩くのを助けたりします。これは重要なアプローチですが、まだリハビリ業界で十分に実働してるとは言えません。しかし、着実に改良が進み、身近なリハビリの手法となってきています。ロボットは人が行っていることを感知するための絶妙な能力を持ち、事前にプログラムされた規則に従って、必要に応じて支援します。人の能力が回復するに従い、ロボットは支援量を減退させ、より自力で動くように調整されます。
ロボットは療法士に物理的な負担をかけることなく、療法士が通常提供するであろう反復的な介助などの支援を提供する現代の技術的方法です。脳卒中者は繰り返し多くの運動を行う必要があります。ロボットは疲れを知らずに支援をすることができます。
治療期間の例を挙げると、週に3回、6から12週間かけて18から36のセッションを提供します。上肢での単一のセッションでは、約1時間で1000回の繰り返し運動が出来ることがわかっています。つまり、最大36,000回の繰り返しができるということです。テニスのサーブや水泳の水かきの練習するのと同じように、脳卒中者は多くの繰り返しの練習をする必要があります。
また、現在、直接的な脳刺激や可塑性を高める薬物療法など、ロボット療法の上に他の治療法を追加することで、より強力な療法を試みています。多くの病院では、この方法はまだ採用していません。未だ、多くが研究段階であり、そのシステムを実施させるには費用・スタッフのトレーニング・エビデンスなどを積み上げていかなければなりません。
脳卒中者がロボット技術によりどれだけの利益を期待できるか、どのロボットが最も良いのか、それはいくつかの事を考える必要があります。1つは患者の病状と回復状態です。2つ目は目標です。人の時間は有限で、その時間の中で最も自分らしい人生を全うしたいと思うでしょう。時間は有限の為に、100%を治療に費やすことはできません。歩行機能を改善するよりも上肢機能を改善したいと思う人もいれば、その逆もあります。また、目標が何であるかによって治療すべき部位は異なります。自分の目標や病状に合わせて、どのロボットを使用していくか考える必要があり、専門家と相談する必要があると思われます。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
アマゾン理学療法1位単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
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