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床への座り動作⑤
床への着座が行えたら、次のステップに進む前に、その運動を逆から行うことが推奨されています。
これは逆向きの運動では身体の使い方や姿勢戦略が全く異なるので有効であることと、逆からも行えることでその動作をより自由に行えたり、途中で辞めたりと、生活場面で行いやすくなるからです。
特に床への立ち座り動作が自由にできるか否かという点は、その人が自立して生活できるかどうかという点と、大きく相関してきます。立ち上がりを行うためには、非麻痺側上肢の強さを、身体を持ち上げるために使用できるか否かという点と、大きな重心移動を伴うので安定して遂行できる3つの接触点(“三脚モデル“)がしっかりつくれるかどうかという点にかかってきます。
しかしこの動作は容易ではなく、転倒者の約4%しか起き上がる方法を知らなかった、というデータもあります。この技法を教わる人は実は少なく、入院時に練習する時間を確保できなかったり、スキルを維持するための練習ができてないことが多いです。
今回は詳細な方法を紹介します。身体を捻じる“回転テクニック”が含まれていますが、これを行う脳は骨盤や体幹の筋肉、身体全体を使う必要があり、非常に有用なテクニックです。是非何度も練習してみてください。
【床からの立ち上がり動作のポイント】
①まず床に座って、両足を左右に開脚した状態になってください。
②非麻痺側上肢を用いて、非麻痺側下肢を可能な限り手前に寄せます。
③非麻痺側上肢を身体の後ろに回し、身体を捻じって、手をつきます。
④そのまま手と膝を軸として、足部を支えとして利用しながら、麻痺側の骨盤全体を持ち上げます。(練習として、ここまでのステップを何回も繰り返すのも良い刺激になります。)
⑤この時も非麻痺側の膝は安定のため曲がったままです。骨盤が挙がったら、麻痺側下肢を大きく回し、反対側まで持っていきます。そして足の裏全体を地面と接地させ、90°(床に対して垂直)に立てます。
⑥この状態ができたら手の平の体重を徐々に非麻痺側の膝と足部に移していき、足の指をしっかり立てます。足の指で地面をつかむのを忘れないでください。
⑦ここからが一番無難しいですが、チャレンジ自体が身体に有効な刺激となるので、何回もチャレンジしてみてください。非麻痺側の手の平を、徐々に地面から話していきます。そのためには麻痺側足底、非麻痺側の膝、非麻痺側の足趾で有効な三脚モデルを作ります。
⑧このタイミングで、麻痺側下肢の位置が悪ければ、修正してください。その後再び手の平を床につけ、支えができたら、非麻痺側の膝を浮かせます(この時に足首が外を向くと、踏ん張りが効きやすいです)。
⑨両足に均等に体重がかかるよう、骨盤を後方に引き、徐々に手の平を離していきます。
⑩両足を開いたまま、手を離し、手でバランスを取りながら、二本足で立ちましょう。無事立てたら完成です。
【ご家族様や介助者の方へ】
・可能であれば麻痺側下肢の補助をお願いします。特に麻痺側を回し、足裏全体をつけ、90°に立てる場面で下肢が安定しないことが多いです。90°の位置で支えるのを補助し、麻痺側の筋力を強化しましょう。
・非麻痺側の膝を浮かせる際、足首を外に向け、内側で支えられると非常に安定します。このステップを忘れないよう、声掛けなどをしてあげてください。
・全体を通して難易度が高いですので、身体状況にあわせて近くで見守り、いざという時に手が出せる位置にいてあげてください。この動作ができると生活が変わりますので、何回も、是非チャレンジしてください。
?足の自主トレ一覧
国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
アマゾン理学療法1位単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
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