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2017.11.20 脳卒中

脳卒中後の肩の痛みの軽減・亜脱臼を予防するための知識と自主トレーニング

 

 

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脳卒中後の肩の痛みの理解とその対応

 

脳卒中後の肩は傷付きやすく、上肢のトレーニングは欠かせません。リハビリは肩の動きを改善することができますが、一部の方はリハビリを行えないほどの痛みを経験します。これに対してどう立ち向かえばよいのか話をしていきます。

 

脳卒中後の肩の痛みの何が原因?

 

脳卒中後の肩の痛みは、亜脱臼、凍結肩、痙縮によって引き起こされる可能性があります。上腕骨が肩から離れ、上腕の骨頭部分に部分的な脱臼が生じます。亜脱臼は、肩周囲筋の弱化によって引き起こされる可能性があります。

 

肩周囲の筋肉が非常に弱く、硬くなり、麻痺していて肩のソケットに正しく上腕の骨頭を保持できない時に凍結肩は発生します。

 

その結果、腕は重力で下方に引かれ、肩関節は炎症を起こし、引き伸ばされ、損傷を受けるようになります。痛みは痙縮によって引き起こされることもあります。脳と筋肉の誤ったコミュニケーションが痙縮の緊張を生みます。

 

亜脱臼の痛みを治療するには、肩を適切な配置で保てるようにすることが大切です。そのポジショニングが良いと、靭帯等の負担は軽減され凍結肩の症状が緩和されます。

 

ベッド上では、クッションや枕を利用してその位置を調整します。筋肉を収縮させるための電気的刺激(TENS療法)で治療することもできます。凍結肩よる痛みを治療するには、痛みを軽減し柔軟性を高めるための鎮痛剤またはボトックスを使用することができますが、その解決策は一時的な効果です。

 

根本的な問題を治療する為には、肩の痙縮を軽減させる必要があります。リハビリでその痙縮を軽減させることができます。

 

自重を利用してのエクササイズ

 

 

 ベッドやソファ等での座位姿勢から、写真のように麻痺側上肢を体から30~40cm離し、手の平をベッドに付けて置きます。

 

 その麻痺側の上肢にゆっくりと体重を預けて下さい。良い位置だと感じたら、10秒ほどストレッチを行います。痛みや違和感がある場合はすぐにストレッチをやめてください。

 

 ストレッチ効果を増すためには、手の平の下にロールタオルを置いても良いでしょう。

 

 それぞれの手を各々の体側に置きます。そして、左右の手に交互に体重を預けるように、左右に体を揺らします。手・肘・肩・上半身で感覚を感じるべきです。

 

ペットボトルを利用した麻痺側のエクササイズ

 

 テーブルの前に座り、ペットボトルを腕が届く範囲に置きます。

 

次に、麻痺側の手で拳を作り、できるだけ早く手~前腕をテーブルの向こうに滑らせて、ペットボトルを押します。 肘と前腕をテーブルの上に置いて行って下さい。

 

麻痺側に体重を移すことを意識して行いましょう。非麻痺側に体重が乗っていると、上手く運動が行えません。難しくても麻痺側に体重を移し、麻痺側を意識して運動する事は脳がそれらの筋肉をどのように使用するかを再学習するのをサポートします。

 

この練習は、ペットボトルを前方だけでなく、左右に置くことで外や内に動かす練習にも変化します。出来る限り、体の代償的な動きを伴わずに上肢の動きだけで行ってみましょう。出来なければ、体の動きを伴って構いません。

 

杖を用いた上肢~体幹のエクササイズ (1)

 

杖をお持ちでしたら、練習の幅が広がります。箒や棒でも構いません。

 

椅子に腰かけ、姿勢を正します。

 

次に杖の両端を持ち、杖の左右の高さ、肩の位置が床と平行になるようにしましょう。

 

片側の端を斜め前方に押し出すようにゆっくりと体を捻ってください。伸ばしたところで少し止まるとストレッチになります。

 

これを左右の方向へ10回以上繰り返します。

 

杖を用いた上肢~体幹のエクササイズ(2)

 

杖を用いた練習をもう一つご紹介します。

 

良い姿勢で座ります。足が床に着いているか確認してください。体を前方に倒しても、お尻が椅子に残っているか安全確認をして下さい。

 

座った姿勢で、麻痺側の手を杖の握る部分に置きます。麻痺側の手で、座った状態で前方に杖をついて支えている状態です。麻痺側に保持する力がなければ、非麻痺側の手でサポートします。

 

次に、杖を前方に傾け、上肢を追随させ、体も伴って前傾させていきます。顔は前方を見ましょう。前方に十分傾きながら肩や体の伸びを感じましょう。

 

慣れてきたら、杖で大きな円を描いてみましょう。非麻痺側でサポートしながら、大きな円右回り左回りとを10回描きます。

 

 

療法士からのコメント

亜脱臼があっても疼痛を引き起こさない方もいらっしゃいます。適切なケアを療法士と相談しながら行う必要があります。痛むからと消極的になるのでなく、どうすれば痛まないか積極的に取り組む必要があります。

 

 

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