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2017.06.16 パーキンソン病

自律神経系や小脳の障害が疑われる場合 診断における他の神経学的問題 4

 

 

 

パーキンソン病プラス症候群

 

 以前から述べているように、パーキンソン病に特徴的な症状は、パーキンソン病プラスや非定型パーキンソン病と言われる多くの神経変性疾患でよく見られます。

 

これらの様々な障害は、診断する際に混乱を引き起こすことがあります。これらの症状を呈する多くの人たちは、パーキンソン病であると信じているかもしれませんが、実際には他のタイプのパーキンソニズムを持っているかもしれません。

 

 

 パーキンソン病プラスにおける脳の根本的な変化は、パーキンソン病における変化とは異なります。パーキンソン病プラス症候群は異なる年齢で出現し、異なる種類の障害を生じ、問題が明らかになる速度が異なるということを意味しています。

 

パーキンソン病に有効な投薬は、一般的に、非定型パーキンソン病では有効性が低いか効果がないでしょう。正確な診断が重要であるため、病気の経過を評価し、適切な治療法を推奨する必要があります。

 

 

 医師は、パーキンソン病類縁疾患を早期に病気の診断をすることはできませんが、経過を追うことで、各症候群の特定の特徴が現れ、これらの疾患とパーキンソン病を区別することに役立ちます。

 

ここでは、患者または家族が典型的なパーキンソン病とその類縁疾患の1つを区別するのに役立ついくつかの重要な特徴を明確にしていきます。これらの類縁疾患を区別する上で細かい点についてはいまだに神経科医の間でも論争があります。

 

 

 多系統萎縮症(MSA)や進行性核上麻痺(PSP)などのいくつかのパーキンソン病プラスは、他のものよりも多いです。パーキンソニズムの原因となる他の重要な疾患に、レビー小体型認知症や大脳皮質基底核変性症(CBD)、アルツハイマー病があります。アルツハイマー病は、認知障害が重大かつ支配的な症状であり、病気の過程で後に運動症状が現れます。

 

 

多系統萎縮症(MSA

 

 多系統萎縮症は以前、シャイ・ドレーガー症候群、線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症として知られた3つの別個の疾患であると考えられていました。

 

シャイ・ドレーガー症候群は、パーキンソニズムの筋強剛や動作の緩慢さ、歩行障害に加えて、排尿機能や性機能、血圧調整などの自律神経系が適切に機能しません。自律神経系が重度に障害されると、頻尿や尿意切迫、失禁といった障害を呈することがあります。男性は性的勃起が難しいかもしれません(女性の性的反応への影響はほとんど研究されていません)。

 

血圧を調整する自律神経反射が損なわれると、急に立ち上がったときに血圧が下がって、転倒やめまい、発汗、脱力感といった症状が現れます。視線がぼやけて、ふらつくかもしれません。起立性低血圧と呼ばれるこの症状は、横になったり頭を低くしたりすることで緩和されます。

 

これらの自律神経系の症状が障害の初期に現れる場合、パーキンソン病ではなく、シャイ・ドレーガー症候群(現在は多系統萎縮症;MSA)を疑うことが賢明でしょう。

 

 

 MSAのうち線条体黒質変性症の人たちは、筋強剛や動作の緩慢さ、歩行障害、振戦はあるときとないときがあるかもしれませんが、これらによって特徴付けられる進行性パーキンソニズムを有していますが、期待されるほど抗パーキンソン病薬に反応しません。

 

特に、このタイプのMSAの初期において、臨床的特徴を典型的なパーキンソン病と区別することは不可能です。(パーキンソニズムの特徴を強調するMSA-Pと呼ばれることが多いです)

 

 

 オリーブ橋小脳萎縮症は、パーキンソン病とは異なり、小脳が影響を受けます(このタイプはMSA-Cという用語を使います)。この障害を有する人たちは、パーキンソニズムに加えて、動作時の揺れによるぎこちなさや不明瞭な発話、歩行障害を有しています。

 

オリーブ橋小脳萎縮症とパーキンソン病の違いは、わずかです。パーキンソン症状が少し変わっているようであれば、運動障害専門の神経科医に診てもらうことがお勧めです。

 

 

 これらの3つの別々の症候群は、神経変性のスペクトルが同一と認識され、MSAという用語は疾患群を記述する際に使用されるようになりました。

 

基礎研究の進歩により、MSAが、パーキンソン病に関与するシヌクレインという同じタンパク質を何らかの形で含む神経変性プロセスの一部であることを確認しています。αシヌクレインは、2つの障害で異なる様式で蓄積し、凝集し、どのようにしてそれが神経変性に寄与するかは不明のままです。

 

パーキンソン病とMSAにおける異常なタンパク質蓄積の類似性を考えると、これらの疾患をまとめてシヌクレイノパチーと呼ぶことがあります。

 

 パーキンソン病薬が使用されているときは、なくなってしまったドーパミンの代替え、や類似の成分が刺激して改善が得られるが、MSA3つのサブタイプの人たちは反応がないことが予想されます。

 

パーキンソニズムの症状を有する人が、抗パーキンソン薬での症状の緩和がごくわずかである場合には、その薬剤を継続することの意味は、神経科医の監督下で注意深く考慮する必要があります。

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