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2017.06.02 パーキンソン病

パーキンソン病と診断されない 11個の特徴って!?

 

 

YouTubeで分かりやすい解説↓↓↓

 

 

 

 

診断における他の神経学的問題

 

・医師は患者がパーキンソン病か、もしくはこれらの他の病気のうちの1つであるかをどのように診断しているのでしょうか?
– 本態性振戦
– ハンチントン病
– チック
– ジストニア
– ウィルソン病
– 多系統萎縮症
– 進行性核上麻痺
– アルツハイマー病

 ここでは、パーキンソン病と混同されることが多い神経学的問題について、時には患者目線で、時には医師目線から考察していきます。これらの障害のほとんどは特徴的な症状を有します。

 

 以前にも指摘したように、患者、友人、家族の観察情報は、医師が正確な診断をするのに役立つ多くの情報を含んでいます。

 

 ここでは、患者と家族が貢献できる貴重な情報を示すためにこの話を紹介しています。ただし、自己診断は避けるべきでしょう。

 

 

本態性振戦

 パーキンソン病を有する人たちに見られる振戦という症状には他にも多くの形態が存在します。“本態性振戦”と呼ばれるものは、すべての運動障害で最も一般的なものと推定されています。家族性振戦とも呼ばれる本態性振戦は、パーキンソン病とは異なり、通常は振戦以外の他の症状を伴わず、家族で頻繁に遺伝します。本態性振戦の人は、親や祖父母、兄弟、あるいは子どもにも同様の振戦があるかもしれません。

 

多くの神経科医は、本態性振戦(ET)が単症候性(姿勢および運動時振戦のみである:手を伸ばしたときや物品へリーチしたときにだけ振戦がある)という定義を容認していますが、ETが時にはより広範な神経変性変化にリンクすることを示唆する最近の研究があります。現在、これは非常に論争の的となっています。

 

 本態性振戦とは、運動障害の専門家が運動時の振戦のことを呼ぶものであるため、実際にはパーキンソン病の振戦とはかなり異なっています。例えば、運動時振戦は、カップや受け皿を持ち上げたり降ろしたりするときにはっきりと現れる可能性が高いでしょう。

 

スプーンでスープをすくいあげたり、文字を書いたり絵を描いたりするときに、手が揺れることがあります。パーキンソン病では、手が静止しているときに震えが表れるので、パーキンソン病の振戦は安静時振戦と呼ばれます。

 

 本態性振戦は一般的に上肢に最も影響が出ます。頭部に影響を与える可能性もありますし、あまり一般的ではありませんが、声に影響することもあります。本態性振戦が声に影響を及ぼすとき、それは(特に電話越しでは)泣きだしてしまったのではないかと思ってしまうような、律動的で震えるような声質になります。

 

典型的な上肢の振戦は軽度で、片方の上肢から始まることが多いですが、一般的には両方に出るようになって、何十年にもわたって非常にゆっくりと進行します。患者は、高校生や20代の頃、特にストレスを受けているときに、その症状が始まったことをよく記憶しています。30代〜40代以上の年代では珍しく、不便さは軽度に過ぎません。

 

 本態性振戦が機能障害を引き起こす可能性もあります。水やコーヒーを飲みに行くたびに、手が震えてそれらをこぼしてしまうという人もいます。通常、両手を使うようにしたり、スプーンを使うのではなくスープを飲むようにしたりと、特定の活動の方法を変えなくてはならないことさえあります。

 

 頭部に影響を及ぼす本態性振戦の場合は、「いいえ」というように頭を左右に動かしたり、「はい」という時に上下に頭を振ったり律動的に頭部が揺れます。パーキンソン病の患者に生じる、顔の筋肉や下顎、舌を含む口の周りの振戦に限定されている頭部の振戦とは異なっています。パーキンソン病患者では、頭が揺れている振戦はほとんどありません。

 

 アルコールは、本態性振戦を有する人たちの4分の3以上に特有の効果をもたらします。ワインやカクテルを一杯程飲んだ後、振戦は45分〜1時間で著しく改善されます。パーキンソン病の振戦への影響はこれほど劇的ではありません。

 

 本態性振戦は、パーキンソン病に見られる書字には決して似ていない独特な筆跡も生み出します。それは大きく、波打って、なぐり書きのようで振戦の影響は明らかです。パーキンソン病を有する人たちの書字は小さく、文章の終わりに向かって徐々に小さくなっていきます(つまり、書けば書くほど書字が小さくなります)。

 

 

 本態性振戦の潜在的に有効な治療には、プロプラノロール(インデラル)またはプリミドン(マイソリン)が含まれます。重度の症例では、パーキンソン病の振戦を治療するために使用される外科的アプローチ(視床破壊術または視床-脳深部刺激)も運動時振戦の治療に極めて有効です。

 

 パーキンソン病患者には、パーキンソン病の身体的兆候に加えて軽度の運動振戦がある場合もあるので、運動時振戦があるからといってパーキンソン病ではないということを意味しているわけではありません。

 

 最近、アメリカ食品医薬品局は本態性振戦をパーキンソニズムと区別するための診断ツールとしてドーパミンイメージング技術(SPECT Scanning)を承認しました。 SPECTスキャン(DATScan)は、脳内のドーパミン系が正常であるか否かを同定することができます。

 

本態性振戦では、ドーパミン系は正常であり、パーキンソニズムでは異常がみられます。したがって、この検査は、本態性振戦で見られる振戦とパーキンソニズムで見られる振戦とを区別するのに有用です。もちろん、これは一つの特徴です。安静時振戦はパーキンソニズム、姿勢や運動時振戦は本体振戦であるという鑑別をすべての医師が特定の画像検査を行わずにできることでしょう。

 

検査の費用は医療費3割負担で約3万円弱程度になると推定されており、この追加支出がどのように患者に利益をもたらすかは不明です。老人で本態性振戦を有する人たちのほんの一部は、おそらく偶発的な小規模の脳卒中や薬物性のパーキンソニズムの特徴を有する可能性があります。他にも、運動時だけでなく、安静時にも振戦がある場合もあります。

 

こういった人たちは、DATScanでパーキンソン病を排除することが役に立つかもしれません。以前の記事にも書いたように、DATScanはパーキンソン病とパーキンソン病の類縁疾患(パーキンソンプラスや非定型パーキンソニズム)を区別することができないため、パーキンソン病を診断することはできません。

 

 

 

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