女性(ホルモン、月経と妊娠)
若いパーキンソン病の女性には、対処しなくてはならない課題があります。例えば、まだ月経がある女性は、月経周期がパーキンソン病の症状に影響を与えることがあると報告されています。月経直前に症状が悪化し、振戦や動作緩慢さが増すという人もいます。他にも、月経直前に症状が改善したと報告する人もいます。
女性の患者は月経周期の中で症状の重症度を観察することが役に立ちます。カレンダーにメモを付けるのが最も簡単で、良い日と悪い日をつけていくのがいいでしょう。女性患者とその医師は、この情報を基に投薬規制を計画することができます。
パーキンソン症状が一ヶ月間の特定の時期に予期せずに悪化する場合、彼女たちは追加の投薬を受けられる可能性があります。あるいは、薬剤誘発性ジスキネジアなどの副作用が予想通りに数日間悪化するのであれば、おそらく、月経周期の時期に関連して、投薬量を減量することができるでしょう。
エストロゲンとパーキンソン症状がどのように関連しているかについては不十分な情報しかないため、閉経後のエストロゲン補充療法などのエストロゲンの摂取に関するアドバイスはできません。
現時点では、利益とリスクを検討して決定するべきです。エストロゲンがどのようにして振戦や動作緩慢さ、歩行障害の重症度に影響するか、エストロゲンがパーキンソン病の予防因子としての役割を果たすかどうかを評価する研究が現在行われています。
パーキンソン病は一般的に閉経後に発症するため、通常は妊娠がパーキンソン病の女性にとっては問題になることはありません。ただ、少数ですがパーキンソン病の女性が妊娠をし、正常な乳児を出産しています。
受精後に妊娠を継続するという決定は、パーキンソン病の女性にとって精神的にだけでなく、医学的にも複雑なものです。妊娠中の女性の中には、妊娠中にパーキンソン病の症状が重度に悪化し、出産後に妊娠前の状態には完全に戻れないことがあります。
これが妊娠によるものなのか、病気の自然な進行であるのかを言うことは不可能です。実際、パーキンソン病患者の妊娠はあまり一般的ではないので、妊娠が病気の過程でどのような効果を及ぼすかについて十分な情報が得られていません。
発育中の胎児に対する抗パーキンソン病薬の潜在的な影響も考慮しなければなりません。現在、妊娠中にカルビドパ/レボドパを服用すると胎児に有害な影響を及ぼすという証拠はありません。他のパーキンソン病治療薬については情報が少なく、さらに懸念されています。したがって、妊娠中は他のすべての抗パーキンソン病薬を避けることがお勧めされています。
まとめると、月経、妊娠、閉経、経口避妊薬やホルモン補充療法、または卵巣の外科的除去(卵巣摘出)に伴うホルモンの変化は、パーキンソン病の女性の症状に影響を及ぼす可能性があります。これらのホルモンの影響を決定づけるさらなる研究が必要です。
家族(結婚や子どもについて)
子どもに関する問題があります。高齢ではない両親や家族全体にパーキンソン病の症状はどのような影響を及ぼすか? 慎重に個々の状況を考慮する必要があります。パーキンソン病となった場合、結婚や出産など家族計画をする前に、パーキンソン病患者の治療経験のある医師に相談し、家族に関する相談をするべきでしょう。
パーキンソン病は、病気にかかっている人と配偶者の両方にほぼ永久に影響を与え続けます。パーキンソン病の子供が大人になっても、高齢の両親がケアに関与するようになります。
若年発症のパーキンソン病の場合、家族内の幼児の生活に重大な影響を及ぼす可能性があります。パーキンソン病患者の子どもの感情的なニーズを見逃してはいけません。状況に応じて、家族カウンセリングに患者の子供が含まれる可能性もあります。若年性パーキンソン病の配偶者には公式・非公式の支援システムがあり、より良い夫婦関係を育んでくるでしょう。
就職や仕事に関する問題
高齢発症のパーキンソン病と同様に、若年性パーキンソン病は比較的緩徐に進行します。パーキンソン病患者の多くは、症状発症の何年も前から職場で働き続けています。家族、仕事、趣味など完璧な生活を継続するためには、パーキンソン病の診断に対して健康状態を適応させていくことは重要です。
「パーキンソン病の概要と理解」でもパーキンソン病に関する仕事と職業の問題について掲載しました。その内容は、パーキンソン病がいつ始まるかに関係なく当てはまるものです。
パーキンソン病患者の共通の不安材料は、家族や同僚、雇用主に病気について伝える必要があるということです。この過程おいて正しいアプローチなどありません。
パーキンソン病患者は自分自身で、または家族、友人、医師と相談して、病気に関する情報をどのように扱うか決める必要があります。しかし、診断を過度に隠す努力は逆効果となることが多いです(“家族や友人に話すタイミング”の記事を参照)。
アメリカの障害者差別禁止法は、同僚や雇用主に報告することに対する不安をいくらかの緩和してくれるかもしれません。この法の下で、パーキンソン病は障害として認められています。
これは、15人以上の従業員を持つ会社で働いていて、雇用主にパーキンソン病があることを知らせた場合、雇用者は障害に伴う「合理的な調整」を行う義務があることを意味しています。パーキンソン病を患っているからといって解雇することはできません。
国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
アマゾン理学療法1位単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
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