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2017.04.11 パーキンソン病

知っておくべき6つの原因!!パーキンソン病の精神症状 5 ー妄想・抗パーキンソン病に伴う症状ー

 

 

 

 

妄想

 

 進行期のパーキンソン病患者で、何年も抗パーキンソン病薬を服用している人たちは、妄想(誤った理論から導かれた誤解)を経験することがあります。妄想は、配偶者が不倫をしていると考えたり、お金が盗まれていると考えたりすることが多いです。妄想がある人は、不当にしいたげられていると感じるかもしれません。これを偏執性妄想(被害妄想)といいます。

 

 ほとんどのパーキンソン病患者は妄想や人格の解離があっても介護を必要としませんが、進行期パーキンソン病患者には、日中ずっと看護が必要な患者もいます。重度の進行期パーキンソン病患者が老人ホームに入所する理由を評価した研究で、最もよくある理由は幻覚とそれに関連する行動障害であるという結果でした。

 

 幸いにも、強迫観念に基づく問題に対処するための措置はあります。はじめに、幻覚や妄想は、抗パーキンソン病薬を変更したり、減量したり中止することによって、症状がなくなったり、重症度によっては軽減されたりし得ます。抗パーキンソン薬を中止することができない場合でも、妄想を治療するために多くの薬剤が利用可能です。

 

 

ドーパミン調節異常症候群と衝動制御障害

 

 ドーパミン調節異常症候群(DDS)という用語があり、抗パーキンソン病薬を服用している人のうち、少数の人たちが様々な症状を呈しています。この症状とは、攻撃的であったり、取り乱してしまったり、激しい身ぶりとなったりと、抗パーキンソン病薬を多量に保管していて、運動性を維持するために必要以上に服用してしまうことがあります(結果として著しいレボドパ誘発性ジスキネジアを呈することがあります)。

 

これは薬物中毒関連の障害と考えられており、他の麻薬中毒と同様に、おおむねの患者はそういった中毒症状は否定し、どのくらいの頻度で薬物を服用しているかについて嘘をつくことがあります。 DDSは、レボドパ/カルビドパを過剰投薬している若年男性に発症することが多いです。一部の患者は、物の収集や項目別の整理整頓などの無意味な活動を執拗に繰り返す(「Punding」と呼ばれる)行動を示します。

 

Pundingとは、他の活動を犠牲にして目的のない常同行動を長時間行っており、切手収集とその整理整頓や時計などの機械的の分解や組み立てを行ったり、いつまでも髪をとかしていたり、ハンドバッグを何度も並べ替えて整理していたり、近隣で無意味な散歩(徘徊)を繰り返すことさえあります。

 

 衝動制御障害(ICD)は、パーキンソン病の治療に使用されるドーパミン作動薬による合併症として認識されています。最も多いのは、ドーパミンアゴニスト(ロピニロール、プラミペキソール)が関与している場合ですが、LD / CD(シネメット:本邦未発売、メネシット等と同成分)が引き起こすこともあります。

 

最近の研究によれば、パーキンソン病患者の15%がドーパミン作動薬を服用していると、これらのICDのうちどれか1つを呈する可能性があります。 ICDには、病的賭博、過度なまたは異常な性的関心、強迫的な爆買い、暴食、他にもインターネットやコンピュータを異常なほど使用するといった特徴があります。

 

ICDのある人は、若くて、喫煙や飲酒歴があって、ギャンブル依存の家族歴があって、独身で、アメリカ在住の人は可能性が高いといわれています。パーキンソン病でICDを有する人たちは、日常生活活動においても機能障害を有しているので、この障害を認識することが重要です。症状は個別(例えば、ギャンブルだけ)でも起こるでしょうし、複数の組み合わせでも起こるかもしれません。

 

例としては、それほどポルノに関心がない人やギャンブル歴がないような人が、数週間から数ヶ月にわたって1日何時間もポルノを見て過ごしたり、カジノ(日本ではパチンコや競馬などが多い)で週に何万円も使い込んでしまったりする人が含まれます。これらの障害は主に、医師の管理下で原因となる薬剤を減量または中止することで対処されます。

 

ギャンブル中毒は現代社会に広がっている問題であり、パーキンソン病患者に発症した場合、抗パーキンソン病薬の合併症である場合とそうでない場合があるので注意が必要です。

 

 

抗パーキンソン病薬が行動障害や精神症状をどのように引き起こすのか?

 

 精神症状や行動症状は、ドーパミン系に作用する薬物によって誘発されます。ドーパミンは脳内の複数のシステムに重要な役割を果たします。運動行動や情動反応(特に報酬系への反応)、気分、行動に関与するシステムを根本的に制御するシステムにとって重要です。したがって、ドーパミン運動系に作用するように作られた薬剤は、情動/気分/行動システムにも影響を及ぼします。

 

 前述したような恐ろしい症状は、一般的に、情動/気分/行動システムにおけるドーパミン過剰刺激の徴候を示しています。ここでの過剰摂取とは患者が誤って多量の投薬を受けたり、医師が過剰投薬したりした場合のことではありません。

 

ここでの過剰摂取とはむしろ、ドーパミン薬を長年にわたり服用して、ドーパミン系に過敏症が現れた状態をいいます。パーキンソン病を患っている人は、何年も同じ薬を同じ投薬量で服用しており、結果としてこれらの行動異常を発症する可能性があります。

 

 場合によっては、用量のわずかな増加や新薬(例えば、一つの睡眠薬)の導入などの小さな変化が、症状の出現を引き起こすことがあります。これらの精神症状のいずれも、股関節の手術後や膀胱感染症、肺炎などの感染症によって発症したり症状が悪化したりする可能性があります。前述のように、ごく少数ですが抗パーキンソン薬を乱用し、中毒症状の結果として精神的副作用を発症することがあります。

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