薬剤誘発症状
抗パーキンソン病薬は、胃のむかつきや吐き気症状を呈する消化機能の異常、めまい、疲労感、起立性低血圧(前述の記事を参照)、運動機能の変動、ジスキネジア、幻覚などの薬物に関連する副作用を引き起こす可能性があります。
“副作用”は薬剤毒性の兆候ではなく、特定の医薬品を摂取する際に出現する可能性がある意図しない結果のことです。抗生物質を服用したときの発疹や抗ヒスタミン薬を服用したときの眠気など、薬の副作用は通常望ましくないものです。ただし、ときには副作用が役立つこともあります。
例えば、いくつかのパーキンソン病薬に起因する口腔内の乾燥は、流涎の制御には有用かもしれません。しかし、いくつかの抗生物質によって引き起こされる不眠症のような副作用は耐え難いものです。ほとんどの場合、投薬を中止して副作用が完全に消滅するまでに時間がかかることがありますが、副作用はなくなります。
“毒性作用”はまた異なります。薬剤に毒性がある場合には長期的な害を引き起こします。ただ、パーキンソン病の薬剤に毒性があるという証拠はありません。
薬剤の副作用に関する具体的な情報は、今後の記事をご確認ください。一般に、レボドパおよびその関連の薬剤は、パーキンソン病の治療に有効で非常に広く使用されているので、パーキンソン病患者の多くの副作用にも関与しています。
薬剤の量や種類、それらを内服するスケジュールは、副作用を排除するために調整する必要があるかもしれません。あなたが投薬によって引き起こされたと考えられる障害がある場合は、必ず医師に相談してください。
行動障害と精神症状
進行期パーキンソン病の行動障害と精神症状は、2つのカテゴリーに分類されます。つまり、疾患によって引き起こされるものと投薬によって生じるもの(パーキンソン病によって、特定の薬剤誘発性の行動障害の副作用を有する可能性がより高くなります)。薬物関連の症状については今後、詳細に検討しています。ここでは、主に病気によって引き起こされる症状について説明します。
パーキンソン病によって引き起こされる症状
知能低下 パーキンソン病患者の大部分は良好な認知機能を維持しています。しかし、5年から10年、またはそれ以上経過した進行期では、認知症として知られる記憶障害や意識障害が発生する可能性があります。パーキンソン病患者の4〜5人に1人が日常機能に障害をきたすほど重度の認知症になっており、15年以上経過したパーキンソン病患者の半数以上がこの問題を抱えています。
うつと不安 うつや不安、またはその両方に苦しんでいるパーキンソン病患者はかなりの数いるでしょう。うつは、睡眠が乱れたり、食欲が変化したり、自己価値が低下し、絶望感などの感情をもたらします。また、不安は軽度から重度の不快な感情を引き起こします。うつと不安に対して標準的な治療方法を用いれば、パーキンソン病患者にもうまくいきます(以前の記事を参照)。
疲労感 パーキンソン病患者が疲れやすいのは、彼らが費やした努力に比例していないからです。疲れやすいのは自分だけではないということを知る必要があります。パーキンソン病患者のうち推定で40%に疲労障害があり、重篤であると考えられます。疲労感は、他の神経変性疾患や多発性硬化症などを含む多くの脳神経疾患において非常によくあることです。疲労感はしばしば、活発な活動が行えなくなる悪循環を引き起こし、結果としてさらに体力が減少します。逆説的に聞こえるかもしれませんが、活動量と運動量の増加は筋力と持久力を高めるのに役立ちます。現在使用可能な薬剤で、疲労感の治療に効果的なものはあまりありません。
薬物誘発症状
パーキンソン病の症状を緩和するために使用される薬剤は、脳の化学物質に作用するため、やっかいな精神障害や行動障害などの副作用と関連することがあります。パーキンソン病が進行するにつれ、多量の薬剤が必要となるため、副作用がより問題となります。特にやっかいな副作用は、薬剤関連の幻覚および妄想(誤った理論から導かれた誤解)です。これらの副作用はすべての患者に起こるわけではありませんが、発生するとパーキンソン病患者とその家族は非常に苦悩されることがあります。
副作用を引き起こす薬剤の投与量を減少するか中止すると、これらの精神的副作用は消滅しますが、運動症状は元に戻ってしまいます。言い換えれば、患者と医師が直面する問題は、薬物誘発性の幻覚か重度の振戦または動作の緩慢さのどちらかを選択しなくてはなるということです。
しかし、この選択を必ずしも避けられないわけではありません。精神的な症状を軽減し、抗パーキンソン薬の効果を受け続けることを可能にする薬剤の新しい組み合わせや多くの新薬が現在は利用可能になっています。
病気の進行期では、多くの人たちが複数の薬剤を服用することになります。あなたの担当医にも薬剤を注意深く見直してもらうと、パーキンソン病の症状を悪化させることなく、認知機能を改善させて、いくつかの薬剤を中止することができるかもしれません。
国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
アマゾン理学療法1位単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
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