書字動作
進行期の段階では、書字は小さくなり殴り書きのようになって、ほとんど読めなくなってしまう可能性があります。書字の速度も非常に遅くなってしまい、たとえ文字が読みやすくても、コミュニケーション手段としては実質的には役に立ちません。書字の問題は、領収書などの書類に署名する必要があるときに特に深刻です。
書字障害の程度が重症かどうかは多くの要因が関連します。まだ仕事をしているかどうか、介護者と一緒に住んでいるかどうか、口述録音機やキーボード、パソコンやタブレットなどの他のコミュニケーション手段に頼ることができるかどうかといった要因があります。周囲の人に迷惑をかけてしまうため、書字障害は重大な問題になります。
バランスと動きの問題
進行期のパーキンソン病患者は、椅子から立ち上がったり、車に乗ったり降りたりするなど、普段行っている身体的な動作をすることが非常に難しく、介助が必要かもしれません。
歩行障害は、歩行開始時の歩幅が狭くなり、徐々に足を引きずるようになって、一部の患者は前方に突進するようになることがあります(突進様歩行)。前方突進を止めるために障害物(例えば、壁など)が必要かもしれません。進行期のすくみは、足底が床にくっついてしまっているように見えます。すくみが起こったときに道を曲がろうとしたり方向転換しようとすると、転倒してしまうことがあります。
実際には、バランスが低下しており、単純に立っているだけでもバランスを保つのが難しい場合があります。極端にバランス低下した人たちは、わずかな要因で転倒するかもしれませんし、ふらつくと自発的に転倒する人もいます。転倒は、急に起こるため身体を保護するために手をつこうと注意する時間すらなく、怪我をする可能性があります。
傷や裂傷などの軽傷は一般的ですが、頭部損傷や股関節、腕、手首、または肋骨の骨折などのより重度の傷害となる可能性もあります。不要な怪我を防ぐために、絶えず注意し、警戒することが必要です。頻繁に転倒する人には、膝パッドや肘パッドが効果的です。
オフ時以外にも転倒が起こっている場合、その治療が非常に困難です。抗パーキンソン薬の用量を増やすことによって悪化することもあるからです。可能であれば、転倒予防プログラムなどに参加して、歩行の再獲得のための理学療法士と協力することをお勧めします。理学療法士は、進行期のパーキンソン病患者やその家族に対して、椅子やベッドからの立ち上がり、ベッド上での寝返り、歩行中の方向転換や向きを変える時の運動戦略を指導することができます。
転倒のきっかけは、歩行中に環境へ何らかの注意を払ったときが多いです。質問に答えようとした時や、何かを拾うために手を差し伸べようとした時など単純なことかもしれません。バランスが低下して歩行障害がある人の脳は、複数の課題を効率的に処理することができないため、歩行以外の他の課題に集中してしまい、結果として歩行が悪化し、転倒することがあります。
このいわゆる二重課題における問題は、進行期のパーキンソン病および歩行に専念するため周囲に気が散らないように学習する必要があるパーキンソン病の人たちに共通しています(課題が、明らかに容易である必要があります)。
進行期のパーキンソン病患者は、独歩で歩くことが不可能かもしれないので、杖を使用するが、不安定であれば歩行器を使用することとなり、それでも歩行できなければ車椅子を使うことになるでしょう。
歩行の問題を抱えている多くの人たちは、杖を持つだけでバランスを改善し、自由に歩くことができます。歩行器が必要な人もいますが、それが邪魔になることもあります。時には歩行能力を維持するためにハンドブレーキのついた四輪歩行器が役立つこともあります。
パーキンソン病患者は、車椅子を使用することを嫌うかもしれません。車椅子を使うことが最終的に独立した移動手段の喪失を象徴していると感じているからです。しかし、そうではありません。
進行期のパーキンソン病患者の人たちに、車椅子が適切に使用されていれば、車椅子がなくてはできない社会的活動や買い物、コンサート、ショーを楽しむことができるようになります。車椅子の使用は二次的な障害を起こすかもしれない怪我から身を守るために重要です。
国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
アマゾン理学療法1位単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
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