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体幹のトレーニング
パーキンソン病の方は「不活動」と「転倒」の2つが問題になることが多いです。
「不活動」になると、筋肉の萎縮、関節の拘縮、特に寝たきりでは呼吸器の感染の危険性等が生じ、結果的に寿命を短くすることに繋がります。不活動が引き起こす二次的な問題により、介護者の方の負担の増大や医療費・介護費等の家計の圧迫も見られてきます。日本では、老々介護も増えてきており、ご家族への負担増大により、ご家族の方が倒れるなどの問題もよく見られます。また、この不活動は下記の転倒を引き起こしやすくし、骨密度の低下も招き、骨折もしやすくなります。
「転倒」では、骨折など重傷を負った場合、しばらくの間の活動性が著明に低下し、骨折に伴う障害も残存し、受傷前よりほとんどの方が生活レベルが低下します。骨折をしなくても、捻挫や擦り傷も治癒に時間がかかります。パーキンソン病の方は転倒の可能性がどうしても増えてしまう為、ご家族の方はアイスパックを常備したり、鎮痛剤・抗炎症薬に関しても詳しくなっておく必要があります。安全な環境整備も相談しておく必要があります。
予防として、普段から自主トレでご紹介する床からの立ち上がり練習や床での自主トレを何度も行い、床に慣れておく必要があり、 自主トレを通じて不活動の解消を図る必要があります。
今回の自主トレでは、何度も床に行き練習をし、不活動の解消と床動作に慣れていきます。床にて上半身の強さ、柔軟性、安全性を目的とした自主トレを行っていきます。
上半身のトレーニング
•開始姿勢:四つ這いの姿勢をとります。
①体重をしっかり預けられる位置に手を置きましょう。
⇒※少し肘を曲げた時に、安心して支えていられる場所を探しましょう。肘が真っすぐ伸びるように行いましょう。
②四つ這いの状態から体重を手の方へかかるように前方に移動させましょう。
⇒※体重の掛け具合は、多少楽な感じが残る程度で構いません。無理はせず安全に行いましょう。
③左右交互に体重を移動し、片方ずつに体重を預ける練習を無理ない範囲で繰り返しましょう。
④左右の中間に戻ったら、両手で体を支えたまま、片膝を2cmほど床から浮かせ、5秒止めてみましょう。左右5回ずつ行います。
⑤手に体重を乗せることにも慣れてきたら、少し体重を膝に戻しても結構ですので、片手を前方へ持ち上げ、5秒数えてゆっくり下ろします。左右5回ずつ行います。
⇒※初めは手を見ても良いですが、慣れてきたら顔は前を向き、行ってみましょう。
•終了姿勢:四つ這いの姿勢に戻ります。
•四つ這いから体を動かしたり片手足を持ち上げたりする運動は、初めは腰や肩に負担がかかり難しく大変に感じるかもしれません。
•しかし、この練習を続けることで、転倒後の床からの立ち上がりや床での移動がより容易かつ安全に行えるようになります。
•はじめは大変に感じ、体が力んでしまうこともあると思います。その際は、運動の「質」を大事に、数は少なくて構いません。少しずつ増やせるようにしていきましょう。
•休みながら行って下さい。運動の感覚を大事にして下さい。
※1.上半身の安定性や柔軟性を高めます。
※2.床で自由に移動できるために体を支えることに慣れます。
注意:
•初めて行う場合や不安のある方は出来る限り、お手伝いしてくれる方を探してください.
•肩や肘の崩れは「ガクッ」と突然起こり、近くにいても対応に遅れる場合がある為、初めはいつでも支えられるよう軽く触れた状態でパートナーの方は準備しましょう。
•痛みがある場合は、無理せず他の運動を行いましょう。他の運動から行い、体が柔軟に動けてくると、出来るようになると思います。多少の痛みは、行うにつれ慣れてくる方も多いです。
•途中疲労のある方は、休息を入れたり、回数を少なくしても構いません。
国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
アマゾン理学療法1位単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
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