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表情を認識する脳細胞
人間の脳は、ニューロンと呼ばれる脳細胞が感覚入力に反応し、知覚を引き起こします。絶えずそのような電気的活動が行われることで知覚豊かな世界が作り出されています。
顔パッチ(face pathces)と呼ばれる脳の6つの特定の領域は、他のどの物体よりも顔の表情に多く反応するニューロンを含んでいます。
それは数年前,ハーバード大学医学部にいたツァオらが顔だけに反応するニューロンが詰まった「顔パッチ」がサルの脳に存在することを発見,その位置も特定しました。
既存の研究では,物体の認識に重要な側頭葉の数カ所が,顔を見たときに特に強く活動することが分かっていましたが、これらの領域が顔だけに反応するのか,より広範なものに反応しているのかは不明でした。
カルテックによる新しい研究は、顔細胞(face cells)は、被験体が顔を観察しているときに最大の反応を生じます。リンゴや時計のような丸い物体を見るときには、少量の活動を生じると報告しています。 研究では、訓練を受けた猿の認識をマイクロ電気刺激を脳の顔細胞に与える事により変化させることでテストし分析する事を目指しました。
まず、サルは2つの画像が同一であれば左に見えるように訓練され、異なる場合には右に見えるように訓練されました。研究者らは、サルに2つの同一の顔画像を示しました。2つ目の画像を見ている間に、特定の顔パッチをマイクロ電気刺激しました。
それによりサルの反応は劇的に変化しました。サルは、その電気的刺激によってほとんどの場合、2つの同一の顔が異なっていることを示しました。 つまり、顔パッチのニューロンの活動が、顔の認識を生成する上で大きな役割を果たすことを意味します。驚くべきことに、このグループは、刺激 する顔細胞が特定の他の物体の知覚に有意な効果を有することを見出しました。 マイクロ電気刺激は多くの顔以外の物体の知覚に影響を及ぼしませんでしたが、顔の形などに似た顔以外の物体(例えば、りんご)や漫画など抽象的に類似している画を含む一部の知覚に影響を及ぼしました。
表情を観察する処理の初期段階にあると考えられる側頭葉の最も後方に位置する顔パッチが、刺激によって変化する可能性がある対象によってより許容され、活性化されることを発見しました。側頭葉の前方部分にあった顔パッチは、顔の表情認識に特化していました。これらの知見は、顔パッチが顔の知覚を生成する際に大きな因果的役割を果たしますが、これらの領域もより大きな分類の対象を処理する複雑なネットワークの一部であることを示しています。
この結果は、ネットワーク全体の活動をどのように統合し対象の認識を生み出すかを研究するための将来の実験の一助となります。
編集部コメント
人形や漫画、陶芸品等でも心を動かされたり、されなかったりするのは、形状などによる脳の反応の差もあるのでしょうか。人に近似している物というのは、脳を反応させやすいかもしれません。
Reference
“The effect of face patch microstimulation on perception of faces and objects” by Sebastian Moeller et al.March 13(2017)
国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
アマゾン理学療法1位単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
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