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経済は合理性ではなく感情で支配されている??
神経経済学 Neuroeconomicsは、経済世界に生じるヒトの内部過程を説明するために、心理学と経済理論を融合しようとする新たな学際的分野です。簡単に言えば、行動経済学の生物学的基礎ともいえます。どのように、なぜ、単純な大脳生物学(cerebral biology)の観点から経済的効果をもってヒトは判断と決定を下すのでしょうか?
20世紀に唱えられていた「脳内ブラックボックス」に対して現代はより理解されるようになってきています 。神経経済学は、脳への入力と出力のギャップを埋め、化学と構造を分析し、処理と意思決定における個性の生物学的基盤を提供しようとしています。
大脳皮質の大部分は、実際には複雑で高次の判断機能にもとづき解釈をしていますが、生物学的応答の研究は比較的限られています。マーケティング、教育、健康、管理などの部門で、ヒューリスティックな要素を研究することで、製品、労働力、知識の開発に大きく貢献すると考えています。ここに神経経済学の重要性があります。
ヒューリスティック(heuristic)とは、必ず正しい答えを導けるわけではないが、ある程度のレベルで正解に近い解を得ることができる方法である。主に計算機科学と心理学の分野で使用される言葉であり、どちらの分野での用法も根本的な意味は同じであるが、指示対象が異なる。すなわち、計算機科学ではプログラミングの方法を指すが、心理学では人間の思考方法を指すものとして使われる。
神経経済学は、高次および意識(前頭前野など)に関与する大脳領域の神経伝達および化学的バランスが、我々の決定の大部分の社会的動機に基づくと仮定しています。経済理論に反して、ほとんどの人間の決定は合理的でも統一的でもなく、信頼、不平等、満足感の不相応に依存しています。
神経経済学にもとづき、消費者、老齢人口、トレーダーの脳を、イメージング技術と遺伝子スクリーニングを駆使して、特定の決定、判断、リスク奪取の可能性をより深く洞察することができます。 以下の図は薬物投与における行動選択を簡単に模式化した図です。
具体的にはどんな成果を挙げているの?
例えば性別によって判断と選択行動を予測する事は十分に確立されており、神経経済学に基づいて、広告キャンペーンが行われ、成果を挙げています。
このような行動心理学の基盤として神経経済学を用いることができ、行動経済学の生物学的基礎ともみなされ、より効果的な公的変化に価値ある貢献を提供できます。同様に、経営部門、労働力訓練、モチベーションの開発など、「リフレーミング」の観点から神経経済研究の恩恵を受けている分野も多くあります。
リフレーミング(reframing)とは、ある枠組み(フレーム)で捉えられている物事を枠組みをはずして、違う枠組みで見ることを指す。
他にもニューラル・スタディ(意思決定における合理性を避け、私たちの人間の好みに焦点を当てるトレーニング方法)と呼ばれる訓練に応用されており、従来の論理や数値的な訓練とは対照的に、創造的で感情的な思考に焦点を当てた訓練を行うことで、雇用満足に成果をもたらしてくれます。
さらに、神経経済学を精神医学に応用することは、認知機能の低下をもたらす特定の遺伝的または化学的問題を特定することができます。これにより、精神障害の神経学的基礎を特定できる可能性も示唆されます。
神経経済学は今後の更なる発展に期待できる分野と言えます。
編集部コメント
神経学の発展により、あらゆる領域に応用される基盤になってきています。今後人工知能、ロボット、犯罪心理などへの成果も期待したいです。
Reference
From behavioural economics to neuroeconomics to decision neuroscience: the ascent of biology in research on human decision making
国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
アマゾン理学療法1位単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
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