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肥満と脳の構造・機能との関係性について
世界中で過体重および肥満の人(25以上のBMIを有する人)の数は、20億人に近づいています。これは地球に存在する推定74億人の内の20%以上です。肥満と心臓血管疾患、糖尿病および幾つかのタイプの癌のような様々な慢性疾患との関係性は十分に確立されています。しかし、肥満が脳の構造や機能にどのように影響を及ぼすかについてはあまり知られていません。
肥満とIQの関係性
肥満とIQレベルが低いことの間には統計的に有意な相関が、複数の研究で実証されています。しかし長い間明確ではなかったことは、その因果関係です。
肥満は知的能力の低下を引き起こすか?あるいは、IQレベルが低い方が、太りすぎになりやすいのか?
いくつかの研究では、IQレベルが低いことが肥満の原因となる可能性があると結論づけられましたが、最新の研究ではこれは正しくないことが示されています。
5286人の男性を対象とした1件のスウェーデンの研究では、IQレベルは18歳と40歳で試験されました。各試験で、参加者のBMIも評価されました。結果は、より低いIQレベルを有する方がより高いBMIを有することが明らかされました。
ニュージーランドで行われた別の調査では、IQレベルが、3歳、7歳、9歳、11歳、38歳で測定されました。この研究は、小児期のIQレベルが低いほど肥満につながると結論付けました。 38歳のIQレベルが低い人は、IQレベルが高い人よりも肥満でした。
イギリスで行われた別の調査では、17,414人が参加しました。 IQレベルは11歳で評価されました。BMIは16歳、23歳、33歳および42歳で評価されました。この研究の結果は、小児期のIQレベルが低いほど成人期に肥満につながることを確認しました。
肥満は脳の早い老化につながる
私たちは年を取るにつれ、脳は白質を失い縮まります。しかし、老化の度合いは皆が同じではありません。個々によって、脳の変化は速くまたは遅くなる可能性があります。
脳の構造に影響を及ぼす要因の1つは体重過多です。肥満は、それをスピードアップさせます。ケンブリッジ大学で行われた研究調査では、肥満の人は正常な体重の人に比べて脳の白質の量が少ないと結論付けました。この研究では、473人の脳構造が調査されました。
肥満は気分を変える
構造変化とは別に、肥満は脳の働きをも変えます。ドーパミンは報酬回路や動機付けに関与する神経伝達物質の一つです。
ある研究は、脳における利用可能なドーパミン受容体の濃度がBMI と相関していると結論付けました。高いBMI値を有する人は、正常量の食事を食べた後の喜びを欠く可能性があります。利用可能なドーパミン受容体の濃度が低く、満足して感じるためにより多く食べるという衝動が起こります。
この見解は、一定期間のミルクシェイクに対する肥満者の反応を分析した別の研究によって確認されました。被験者の反応は、fMRIを用いて分析されました。測定は半年後に行われました。2度の測定の間に体重が過剰に増加した人では脳反応がかなり弱いことが示されました。肥満の脳機能への影響に関する研究はまだ不十分であるが、上記の知見は十分に驚くべきものです。この問題について一般の人々の意識を高めることが重要だと考えます。肥満の一般的な健康 への負の影響はよく知られていますが、余分な体重が私たちの認知機能にどれほど悪いものかはほとんど言われていないのが現状です。
療法士からのコメント
肥満も脳卒中のリスクの一つです。脳卒中を引き起こした方にお話を伺うと、「飲んでばかりの毎日であった」「働きづめで会社のストレスが強かった」・・何かしらの発端がある方が多い印象を受けます。因果応報という言葉があります。この記事を読まれた方は一度自身の生活を見直してみましょう。善い行いは良い将来に繋がると思います。
国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
アマゾン理学療法1位単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
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