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左脳の言語障害に対する右脳の寄与
研究では、右脳の構造を見ることで、脳卒中後の言語障害からより良く回復する人を予測するのに役立つということが示唆されています。
脳は左右の2つの半球に分かれています。運動性と感覚性の言語中枢があり、脳卒中により損傷されると、失語症につながる可能性があります。失語症は、会話すること、名称が上手く出てこない、復唱すること、言語理解等が難しいです。 多くの人がある程度回復していますが、十分な言語療法を受けても、多くの人が完全に回復することがありません。
研究では、左脳に脳卒中を呈した平均年齢58歳の33人が2年半かけMRIと言語流暢性検査受けました。全ての人は、言語療法を受け、障害の程度は異なるが失語症を有していました。 研究者はまた、同様の年齢の13人の健常者を試験しました。健常者と脳卒中グループの両方は、脳内の様々な領域で脳組織の完全性と接続性を調べることができる特別なMRI技術を用いて脳スキャンを行いました。
彼らは、言語流暢性試験でより良好に機能する失語症患者は、脳の3つの領域(右中頭側回、右下前頭回および右前頭回)でより高い構造的完全性を有する可能性が高いことを発見しました。研究には、右半球情報が分析に追加されたときに、左半球の損傷量と言語流暢性スコアとの間の相関スコアが改善された為、右半球領域の寄与を言語流動性に示すことができました。 この研究は、脳の右側が言語/スピーチモーター機能の回復を助けるために再編成されることを示唆しています。
この研究は、うまく配線された右脳が失語症からの回復を積極的に支援していることを示唆しています
脳卒中前の右脳の構造的完全性の違いがあるのか、脳卒中後に発展するのか、または他の要因の影響を受けるかどうかを調べるためには、より多くの研究が必要です。最終的には、脳刺激などの新しい治療法を用いて失語症患者を治療するために、右脳に新しい標的を開発することが可能になるかもしれません。Schlaug博士はまた、右半球に向けられたメロディック・イントネーション療法:Melodic Intonation Therapy(MIT)が新たな可能性のある新たな治療となる可能性があると付け加えました。
編集部コメント
90%以上の人で言語野は左大脳半球にあるとされるが、右脳の重要性も示唆する内容であった。脳卒中後に、構造的な完全性がどれくらい保たれているかどうかを評価することは残存機能の評価として大事と思われます。
Reference
“Right hemisphere structures predict poststroke speech fluency” by Ethan Pani et al.in Neurology. Published online February 16(2016)
国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
アマゾン理学療法1位単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
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