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微小脳梗塞は見た目の障害範囲(中核領域)よりも12倍の範囲に影響を与える可能性がある!?
脳血管疾患の患者は、大脳皮質の微小脳梗塞(ラクナ梗塞)の発生率がはるかに高いだけでなく、死後の組織学的および生体内の放射線学的研究においても、血管性認知障害および認知症( VCID)が、微小血管の負担において年齢が一致する健常対象群よりも大きい事が観察されています。 今まで、微小脳梗塞(直径約0.05~3ミリメートル)が認知障害に寄与するメカニズムは、ほとんど理解されていませんでした。
サウスカロライナ医科大学(MUSC)の研究者による最近の研究結果は、微小脳梗塞によって引き起こされる機能的欠損は、組織学的または磁気共鳴画像法(MRI)で見えるものを超えて脳組織のより大きな領域に影響を及ぼし、これまで考えられていたよりも長く持続する可能性があると、微小脳梗塞の影響をよりよく理解するための重要な情報を提供しています。
人は一生のうちに何十万もの微小脳梗塞を経験する可能性があるにも関わらず、その一回一回は非常に小さく、数日で解決すると考えられています。全体的にみて、微小脳梗塞は全脳の2%未満に影響すると推定されています。しかし、これらの組織喪失の推定は、微小脳梗塞の「中核」にのみ基づいており、死後または瀕死の組織の面積を死後の組織学的染色で見ています。
微小脳梗塞の機能的効果は非常に研究が困難です。「これらの梗塞は非常に小さく、人がまだ生きている間にそれらを検出するための優れたツールがありません」とAndy博士は述べています。
より広範な影響に関する理論を調べるために、マウスモデルを開発し、微小脳梗塞発症後の数週間にわたる生体内での周囲組織機能に対する個々の大脳皮質の微小脳梗塞の影響を調べることができました。
微小脳梗塞の中核よりも少なくとも12倍大きいと推定される領域が、この事象の影響を受けていることが明らかになりました。 さらに、生体内では、冒された組織領域にわたる神経活動が、微小脳梗塞後14~17日間部分的に抑圧されたままであることが判明しました。 3週間後でさえ、神経的に誘発された血流反応は部分的にしか回復しませんでした。
これらのデータは、単一の微小脳梗塞によって引き起こされた機能的欠損が、以前に理解されたものよりもずっと広い生存可能な周辺病変組織にわたって生じ、その結果生じる障害はより長期間持続することを示しています。 微小脳梗塞は、研究が行われた脳の灰白質だけでなく、脳の一部から別の部分に信号を送る白質でも起こります。
時間が経つにつれて、微小脳梗塞がたくさんあると、より大きな脳卒中の影響に等しい脳回路に蓄積されたダメージがあるかもしれません。
微小脳梗塞のリスクに対する服薬
臨床レベルでは、微小脳梗塞の治療がより大きな役割を果たすことができるかもしれません。現存する薬が、累積的なダメージを緩和することができます。微小脳梗塞は、発生するタイミングを正確に知る必要はなく、MRIで微小脳梗塞のリスクが高いことが示された場合、病変の影響を軽減するために、しばらく薬を服用すると良いと思われます。
編集部コメント
軽い兆候・症状というのは、見過ごされて行きやすいように思われます。しかし、塵も積もれば山となる様に、小さいものを放置していくと、症状が重くなってくることは想像がつき、予防が大事だと思われます。
Reference
“Functional deficits induced by cortical microinfarcts” by Philipp M Summers et al. in Journal of Cerebral Blood Flow and Metabolism. Published online January 16 (2016)
国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
アマゾン理学療法1位単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
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