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記憶・意思決定能力を高めるための秘技『忘れる』とは?
「忘れること」は、脳と記憶の適切な機能にとって重要であるという考え方は、一見反して聞こえるかもしれません。しかし、忘れることは記憶の過程の一部であり、それほど悪いものではありません。
研究によると、脳は忘れるための能動的なメカニズムを持っています。
最も大切な情報を選択して保持するためには、「記憶すること」と「記憶を消去すること」の両方が重要です。ちょっとしたことを忘れることは、その次の記憶に役立ちます。
この記事では認知症または他の神経変性疾患に関連する「物忘れ」について議論してはいません。健常人で起こる「忘れる」というプロセスについて話しており、健康な脳の働きに不可欠なものです。
毎日、脳は多くの情報で一杯になります。この情報のほとんどは、意思決定を妨害し、思考の明快さを低下させるノイズに似ています。このような不要な情報を削除することで、脳の柔軟性が向上します。無駄な細部を排除し、関連する概念を一般化することによって、記憶を合理化するのに役立ちます。記憶の機能は、単に時間を通した情報の受け渡しではなく、将来の意思決定のに大切です。記憶変化は双方向性です。いくつかの記憶は強くされ、他の記憶は抑圧されるか完全に消去されます。
これは、脳がより少ない資源を使用するため、重要な情報をより効率的に取り出すプロセスをより効率的にします。
忘れることは精神的な健康にとっても不可欠です。うつ病と心的外傷後ストレス障害(PTSD)について考えてみましょう。忘れることは、外傷後の回復にとって不可欠です。物事を忘れるのが困難な人はうつ病や心理的外傷になりやすいです。忘れる能力は、精神的健康を改善するのに役立つ保護メカニズムとして使用することができます。
一部の研究者は、忘れることが倫理に関連しているとも信じています。不公平な思考が心に残っていれば、最終的には倫理に反する行動を起こすかもしれません。忘れることは、間違った種類の思考や行動を取り除くのに役立ちます。以前に経験した屈辱を残し、誇りを持ち続けるためには、忘れることが重要です。忘れることは、未来に向かって進むために私たちを助けます。
人生における適切なバランスのために、『記憶の保存』と『忘れること』の両方が重要です。
refereces
The Persistence and Transience of Memory.☜Pubmed Richards BA et al.Neuron. 2017 Jun 21;94(6):1071-1084. doi: 10.1016/j.neuron.2017.04.037.
The place of forgetting in memory functioning.☜pubmed Schlesinger HJ et al.J Am Psychoanal Assoc. 1970 Apr;18(2):358-71.
療法士からのコメント
脳卒中を引き起こすことは、個人の人生の中で最も大きな事件とも言えるでしょう。発症後、はじめは本来の笑顔を忘れてしまう方も多く感じます。しかし、時間が経つと、自然な笑顔を取り戻す方が多いように思います。それも、回復と併せて、いい意味で「忘れる」という能力を持つからでしょう。人生を豊かにする「物忘れ」なら良いかもしれませんね。
国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
アマゾン理学療法1位単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
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