ページトップへもどる

HOME > パーキンソン病 > 病態の理解 > 20〜25%に 「認知症」が併発する!?パーキンソン病の精神異常と行動異常

2017.04.10 パーキンソン病

20〜25%に 「認知症」が併発する!?パーキンソン病の精神異常と行動異常

 

 

行動変化と精神症状

 

 

 

・知能や記憶はパーキンソン病でどのような影響を受けるのでしょうか?

・気分、やる気(モチベーション)にはどのように影響するのでしょうか?

・抗パーキンソン病薬の副作用として、どのような精神症状が発現するのでしょうか?

 

 

 振戦、筋強剛、動作の緩慢さ、バランス障害または姿勢障害といったパーキンソン病で特徴的なTRAP症状は、すべて運動機能に関連しています。しかし、パーキンソン病は、はるかに複雑で多面的な障害です。広範囲に認知機能障害、行動変化、精神症状を引き起こす可能性があり、それを治療するために使用される薬も多面的です。ここからは、これらの症状とそれを管理するためにできることについて説明します。

 

 

認知症状

 

 パーキンソン病の初期では、思考やコミュニケーション能力が大きく変化することはほとんどありません。認知能力(知能)は損なわれていないので、職務上の精神的側面から仕事を遂行することが困難ではありません。

 事実として、初期の認知障害は、たいてい純粋なパーキンソン病よりもそれ以外のパーキンソニズムを示しているでしょう。

 

 しかし、これは初期から中期のパーキンソン病患者の人たちが認知機能に変化をもたらさないということを意味するものではありません。神経心理学的検査は、パーキンソン病の治療において繰り返し日常的に行うものではありませんが、このような検査を受けたパーキンソン病患者は、年齢を一致させた健康な対象者と比較して、様々な軽度の異常を示すことがあります。

 

検査は、神経心理学者の指導のもとに一連のアンケートを実施し、記憶、問題解決、パズルの解決、読解力、抽象的思考力、洞察力、判断などの領域の能力を評価することが含まれています。パーキンソン病患者の場合、これらの検査は一般的に、特定の軽度の認知的変化を示します。ほとんどの人はこれらの変化を補うことができるので、仕事や家庭での生活のパフォーマンスが大きく損なわれることはありません。

 

 ある状況では、早期パーキンソン病における神経心理学的検査が診断ツールとして有用であることがあります。早期パーキンソン病患者がこの段階で障害に関連した典型的かつ予期される症状を証明できたら、神経科医の診断は正しいので安心できるでしょう。神経心理学的検査において、疾患の初期により重度な認知障害や人格変化を示す場合、パーキンソン病と比べて脳のより多くの領域に影響する別の神経学的障害を考慮する必要があります。

 

その神経障害は、“レビー小体型認知症(DLB)”(または“びまん性レビー小体病”)やアルツハイマー病によって引き起こされるパーキンソニズムの一種である可能性があります。神経障害の正確な診断は、時間経過とともに病気がどのように影響を及ぼす可能性があるかを理解して、患者自身やその家族が将来の適切な計画をすることを可能にします。

 

 早期の神経心理学的検査の結果が、パーキンソン病患者の経過の中でより有意な認知障害を発症する危険性が高いかどうかを決定する因子であるという考えに、多くの関心が寄せられています。この考えを証明するか否かには、患者の長期間のフォローアップが必要ですが、残念なことに十分な研究はなされていません。

 

従って、現時点で認知障害の患者における早期の神経心理学的検査の結果では根拠がないので、パーキンソン病患者が最終的に深刻な認知障害を発症するか否かを予測することに使用することはできません。

 

 進行期のパーキンソン病では、より深刻な記憶障害や意識障害が生じることがあります。進行期の人たちのおよそ20〜25%が“認知機能障害”を発症します。さらに進行期のパーキンソン病患者(経過が1520年以上の人たち)では、50%以上の人たちが認知機能障害を発症します。“認知機能障害(dementia)”という医学用語は日常の機能を妨げるほど深刻な思考や記憶の問題を記述するために使用しています。パーキンソン病患者の人たちが将来、認知機能障害を発症するかどうかの予測はできません。

 

 

 抗パーキンソン病薬を減量または中止することで、たまに精神状態の改善をもたらすことがあります。新規開発されている薬は、記憶障害に役立つことがあるでしょう。もともとはアルツハイマー病で使用するために開発されて、市販されている薬剤を使用した新しい治療方法が期待されており、積極的に検討されています。

 

 

 

病態理解の記事一覧はこちら

 

Previous Post Next Post

FOLLOW US

脳リハ.comの記事は各ソーシャルメディアでも配信中。
今すぐフォローして最新情報をチェックしよう!

脳リハ.comの記事は各ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしよう!

FOLLOW US

脳リハ.comの記事は各種ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしよう!

POPULAR POSTS

CATEGORY

脳卒中

パーキンソン病

脳科学Topic

News

RECENT ENTRIES

Copyright c 2016 脳リハ.com Rights Reserved.

無料
カウンセ
リング

お申込み・ご質問・ご相談など 各種お問い合わせ

無料カウンセリングの
お申込み