バランス低下
姿勢反射は、立ったり歩いたりするときのバランスを維持するために必要な多くの反射を表す用語です。バランス低下や転倒はパーキンソン病の進行期までほとんど問題になりませんが、一部の人たちは病気の初期にふらつきを呈します。純粋なパーキンソン病の典型的な症状や徴候の発症前にバランス低下や転倒がある場合、他のパーキンソン病類縁疾患であることがよくあります。
パーキンソン病患者は、足部が安定していないという感覚を感じており急に方向転換することが難しいかもしれません。バランス低下によって、ズボンを履いたり、靴下やストッキングを履くために片足で立つことが困難になる場合があります。バランスの低下は、不整地を歩いているときやソファなど不安定な場所から立ち上がるとき(例えば、ガーデニング中なども)、より顕著になることがあります。パーキンソン病の進行した段階では、バランスの問題が深刻になり意識障害や複視など明らかな原因はなくても起こるようになります。
上記のように、初期段階から転倒するといった病歴は通常、典型的なパーキンソン病と関連していません。医師はこの問題を非常に真摯に受け止め、医学生や神経学者に進行期には繰り返し転倒しないように注意します。
うつ病
パーキンソン病の診断を受けることはつらく、その知らせはしばしば病気になったことに関わる精神的苦痛や一過性のうつ症状につながることがあります。健康状態や将来についての不安にとらわれて、しばらくの間、他のものへの興味を失ってしまうことがあります。
時に、これらの感情が落ち着く時が来るのを見極めることが難しい場合もありますが、時がたつにつれて徐々に障害を受け入れるようになり、多くの気持ちが落ち着きます。
重度の持続的なうつ症状は、健康状態に関する告知に関連したこれらの感情の落ち込みとはまったく異なります。それは医療的な処置を必要とする重篤な病気です。このタイプのうつ病に罹患した人は、悲しみと絶望感に支配され、恐怖を感じ、不安で、精神的に圧倒された状態となり、意思決定をすることができません。
活気はほとんどなく、関心のあるものにもほとんど喜びません(無関心)。睡眠障害(睡眠が多すぎる、または少なすぎる)や食欲障害(食欲増加や減少)、あいまいな痛みの訴えなど多くの症状を伴います。
パーキンソン病の診断などの人生の大きな出来事によってもたらされるうつ病は、「反応性うつ病」または「二次性うつ病」と呼ばれることもあります。「内因性うつ病」または「一次性うつ病」とは異なり、明確な原因はなく突然発症します。
うつ症状はパーキンソン病の初期症状である可能性があると認識している医師もいます。うつ病は人口全体でみられており、すべての年齢層の人種や男女に影響を及ぼします。さらに、うつ病のいくつかの症状はパーキンソン病の症状と重複しています。
例えば、動作の遅さと表情の喪失は、うつ病とパーキンソン病の両方ともの症状です。疲労や弱化、筋痛、集中力の障害、睡眠障害などを含む様々なはっきりとしない症状は、うつ病でもパーキンソン病にも起こり得ます。うつ病はパーキンソン病と誤診される可能性があり、その逆もまた同様にあり得ます。
言い換えれば、これらの症状の原因を整理するためには、徹底的な病歴の確認と検査が必要です。パーキンソン病が進行した後、うつ病が初期症状の1つであったことがよくあります。
パーキンソン病の疑いがある場合やパーキンソン病の診断が行われる前にしばらくの間、気分や行動の重大な変化に医師が気付くことがよくあります。ここでも、パーキンソン病の症状とうつ病の症状を区別することが重要です。
例えば、うつ状態の人は初期のパーキンソン病の患者のように、表情の喪失、動きの遅さ、前傾姿勢を示し、単調に話すことがあります。パーキンソン病患者は、うつ病の人と同様に以前は喜んでいた趣味に興味がないことに気付くでしょう。不安抑うつ患者は、パーキンソン病の初期の内部の振戦と同様に震えている感覚があるかもしれません。
パーキンソン病患者は、仕事場での口頭発表や販売技術に不慣れな困難さを抱いていることがあります。このような困難さは、パーキンソン病に関連する声の変化によるものかもしれませんが、患者やその医師は、この困難さを社会恐怖症に伴って出現する不安のせいにするかもしれません。
退職した人は、社会状況に対する異常な不安感や不快感を示し、それをパーキンソン病またはうつ病ではなく退職したことのせいにします。
パーキンソン病の症状にうつ症状が含まれている人たちのうつ状態は一般的に継続することがわかっています。ただし、うつ病の治療法は数多く存在しており、これらの治療の多くはパーキンソン病患者にも有効です。
不安
すでに述べたように、パーキンソン病患者は以前は気にしていなかったような状況でも神経質になったり、動揺したりすることにより不安を感じているかもしれません。
この不安は、振戦や発声困難などパーキンソン病の症状に対する反応の可能性もあります。パーキンソン病患者は、他にも揺れたり、話すのが難しくなったり、うまく歩くことができないと不安に思うかもしれません。感情的苦痛は、ドーパミン系の低下の結果であるようにも思われます。
一般的な不安や社会恐怖症、パニック発作はすべて、パーキンソン病と関連しているかもしれません。「社会恐怖症」を患っている人は、他者とのやりとりを必要とする場面に不安や不快感を感じます。
例えば、仕事の現場では営業の売り込みを行うときや会議に参加するとき、または公衆の前で大きな声を出すときに特徴的な困難さを経験することが起こり得ます。また、自宅での社会的な集まりや友人や家族の接待が不快であると急に感じるかもしれません。
「パニック発作」は重度の不安の急性発作です。発作はストレスの多い出来事によって誘発されたり、全く誘因なく出現する可能性があり、非常に恐ろしいです。
これは、突然、重度の不安と迫り来る破滅の予感に襲われます。パニック発作の際には、心拍が急速に増え、震えや発汗を経験することがあります。
幸いにも社会恐怖症とパニック発作の両方ともに薬剤、特に選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)がよく効きます。
国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
アマゾン理学療法1位単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
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