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2017.04.05

パーキンソン病とアルゼンチンタンゴ

 

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パーキンソン病(PD)の予防と進行遅延において、日常的な身体活動の重要性が広く認識されています。その中でも、アルゼンチンタンゴの効果が注目されています。モントリオール神経学研究所の研究によると、特定のPD段階にある人々に対してタンゴを踊ることが潜在的な利益をもたらす可能性があるとされています。

この研究では、12週間にわたるタンゴコースを経た後、PD患者の運動能力の変化を観察し、タンゴが運動症状および非運動症状に与える影響を評価しました。特に、運動症状だけでなく、疲労、うつ症状、認知機能などの非運動症状にも治療上の価値があるかどうかを検討しました。研究には特発性パーキンソン病の男性40人が参加し、スタジオには2人のプロダンス教師が指導にあたりました。

研究の結果、タンゴがバランスと機能的な運動性を大幅に改善し、認知機能や疲労軽減にも一定のメリットがあることが示されました。ただし、全体的な運動機能においては有意な変化は検出されませんでした。

タンゴの特定のステップは、特にすくみ足や歩行障害を防ぐのに役立ちます。タンゴでは、リズミカルに前後に歩くステップが必要とされるためです。また、タンゴを踊る際には、作業記憶や注意力のコントロール、新たに学習したダンス要素と以前に学習したダンス要素を組み合わせる能力が求められます。さらに、音楽のリズムに従いながら、ダンスフロアで他の人の動きを意識するマルチタスクが必要です。

多くのPD患者は、伝統的な運動プログラムを魅力的でないと感じ、推奨される毎日の身体活動量を得ることができていません。しかし、音楽とドーパミンシステムの間には、行動を確立し維持するために重要な関係があります。タンゴのように音楽と運動を組み合わせることで、安楽、楽しさ、モチベーションを高め、気分を改善し、認知を刺激することができます。

また、タンゴに関わる社会的交流や支援は、気分やコンプライアンスにプラスの効果をもたらします。このようなポジティブな効果を確認するためには、今後、長期試験が必要です。

このように、タンゴはパーキンソン病患者にとって有望なリハビリテーション方法の一つとなり得るでしょう。日常的な運動習慣として、楽しさと社会的交流を兼ね備えたタンゴを取り入れてみてはいかがでしょうか。

エビデンス

研究の概要

  1. システマティックレビューとメタアナリシス

    • 24の潜在的な研究のうち、13の研究が最終的にレビューに含まれました。このレビューは、アルゼンチンタンゴがパーキンソン病患者の運動機能と健康関連の生活の質に及ぼす影響を評価しています。結果として、タンゴがバランスと機能的な運動性を大幅に改善し、認知機能や疲労軽減にも一定のメリットがあることが示されました​ (BioMed Central)​。
  2. 運動制御に対するダンスの影響

    • パーキンソン病患者を対象に、アルゼンチンタンゴとアメリカンボールルームダンスの効果を比較する研究が行われました。この研究では、両グループが同様の練習時間をかけてダンスを行い、運動制御の改善が観察されました。特に、タンゴは運動制御において有意な改善をもたらしました​ (MJS Publishing)​。
  3. 治療的ダンスプログラムの実行可能性

    • 軽度から中等度のパーキンソン病患者を対象に、4週間のアルゼンチンタンゴダンスプログラムの実行可能性と安全性を評価する研究が行われました。結果、参加者はダンスプログラムに高い遵守率を示し、うつ病のスコアが改善されました。また、プログラム中に重大な副作用は観察されませんでした​ (Frontiers)​。

研究の意義

これらの研究結果は、アルゼンチンタンゴがパーキンソン病患者にとって有望なリハビリテーション方法であることを示唆しています。特に、バランスと運動性の向上、認知機能の改善、そして社会的交流による気分の向上が期待できます。今後は、これらの効果をさらに詳しく調べるために、長期的な試験が必要です。

詳細な情報やさらに多くの研究結果については、以下のリンクからご覧いただけます。

 

 

 

編集部コメント

運動はどうしても単調で面白みに欠ける部分がある。すぐに効果のある運動であればよいが、そうでなければ動機付けとしては弱く続かない。その点、踊りのように心から楽しめるようなものは、モチベーションから違い、踊りが上手くなることで実感もしやすいと思われる。

 

Reference

“Tango for treatment of motor and non-motor manifestations in Parkinson’s disease: A randomized control study” by Silvia Rios Romenets et al.February 9 (2015)

 

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