Facebook メルマガ登録にて定期的に最新情報を受け取れます。
2型糖尿病の有病率は上昇傾向にあります。生活習慣の悪化に伴いますます増加傾向と言えます。国際糖尿病連盟(IDF)は、世界中で3億8,000万例以上の糖尿病があり、今後20年間で約6億人に増加すると予測しています。
糖尿病の問題の1つに「認知機能低下」の問題があります。糖尿病が加齢に伴う認知機能低下を促進することを示す研究があります。しかし、加齢に伴う認知機能低下の促進だけではなく、脳病変になんらかの影響を及ぼすをリスクが高いです。糖尿病は、脳血管疾患、アルツハイマー病、軽度の認知障害および認知症を発症する可能性を高めます。これらの疾患は異なる発症形態を有しますが、それらはすべて糖尿病によって増強され得るといえます。
高血糖症は、酸化プロセスおよびフリーラジカルの生成を介して神経細胞死を増加させ、神経変性効果を有することが知られています。高血糖症はまた、炎症メカニズムを介して血管に損傷を引き起こし、脳への血流の減少をもたらします。その結果、酸素供給が減少し、脳細胞の損傷が生じます。
糖尿病患者に高血圧が加わると、脳血管障害がさらにひどくなり、脳卒中リスクが高くなります。
若い糖尿病患者も危険にさらされている
この糖尿病の影響は、高齢者だけではありません。 2型糖尿病は年齢相応の認知低下を加速させますが、若年患者も認知障害の徴候を示します。研究の開始時に平均年齢40歳の認知症のない糖尿病患者を追跡した研究では、7年後に糖尿病が記憶、視覚、注意のパフォーマンスの低下につながったことが示されています。糖尿病および空腹時血糖値の上昇は、脳における灰白質の損失と相関していました。これは、認知機能低下が糖尿病患者において明らかに予期されることを示しています。
糖尿病患者は健常者と比較して記憶力の衰退が45%速く、全世界の認知スコアの24%の低下が見られました。さらに、血糖コントロールの悪い糖尿病患者では記憶力や推論が急速に低下し、前糖尿病または新たに診断された糖尿病患者は正常な糖尿病患者と同様の減少率を示しました。
糖尿病の発症が早ければ早いほど認知機能が低下する危険性が高いと思われています。さらに、10代の人でも2型糖尿病の神経学的影響を受けることがあります。 2型糖尿病の青年に続くパイロット研究では、脳の多くの領域で著しい容積損失があり、白質の形成が低下していることが示されました。ティーンエイジャーで観察されている2型糖尿病(および他の代謝性疾患)の発生率の急激な増加を考えると、これは明らかに懸念理由です。
糖尿病をコントロールするための治療戦略は、おそらく脳への影響を軽減するのに役立ちます。糖尿病関連の認知症および認知障害のメカニズムの多くは、良好な食事と運動によって相殺することができ、早期治療が基本です。
ダイエットや運動が糖尿病のケアに重要で、生活習慣の変化が実際に抗糖尿病薬より効果的であることを示す科学的根拠があります。しかし、糖尿病のすべての有害な影響をコントロールする方法として食事と運動を改善していく必要性がますます高まると言えます。
編集部コメント
編集部コメント:糖尿病の三大合併症に神経障害がありますが、これは末梢だけでなく脳にも当然影響します。今後の糖尿病リハビリでも見逃せない領域かといえるでしょう。
Reference
Cheng, G., Huang, C., Deng, H., & Wang, H. (2012). Diabetes as a risk factor for dementia and mild cognitive impairment: a meta-analysis of longitudinal studies Internal Medicine Journal, 42 (5), 484-491Weinstein, G., Maillard, P., Himali, J., Beiser, A., Au, R., Wolf, P., Seshadri, S., & DeCarli, C. (2015). Glucose indices are associated with cognitive and structural brain measures in young adults Neurology, 84 (23), 2329-2337
国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
アマゾン理学療法1位単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
————————————————————
〒113-0033 文京区本郷2-8-1 寿山堂ビル3階
ニューロリハビリ研究所 STROKE LAB
電話番号:03-6887-5263
メールアドレス:t.kaneko@stroke-lab.com
TwitterやYouTubeなどはアイコンをクリック↓↓↓