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同名半盲と半側空間無視に関するエピソード
金子医師: 脳卒中リハビリを専門とする医師
丸山さん: 脳卒中を患い、現在リハビリ中の患者
丸山さんは、診察室で金子医師に最近の視覚的な問題について相談しています。 彼は、目が見えにくいことに気づいて、特に自分の位置が認識できなかったり、視野の一部が欠けていることに不安を感じています。
丸山さん:
「先生、なんだか右側がよく見えなくて… 物が急に現れたように感じることがあるんです。時々、自分で右側にあるものが全然わからなくて、誰かに注意されています」 「家族がスマホで調べたら、はんもう?とか、なんとか空間無視かもしれないって言ってて、よくわからないんです。」
金子医師:
「丸山さん、とりあえず落ち着いてくださいね。視覚に関する脳卒中の後遺症には、いくつかの種類がありますが、今話されているのは、おそらく『同名半盲』と『半側空間無視』のについてですね。まずその2つの違いを説明しますね。」
丸山さん:
「はい、お願いします。」
金子医師:
「まず、『同名半盲』というのは、脳卒中によって視野の中で右か左のどちらかが見えなくなる状態です。 どうやら、丸山さんの場合は右側が見えにくいようですね。」
丸山さん:
「ああ、なるほど、だから正しくものが見えないんですね。でも、時々物が急に現れたように感じるのはなぜですか?」
金子医師:
「それは『半側空間無視』と呼ばれる症状が関係しているのかもしれません。これは、視界が物理的に欠けているのではなく、脳がその側にあるものを無視して視覚的にはその場所が見えても、脳がそこに注意を向けることができないのです。それを処理しきれずに、物が『突然現れた』ように感じてしまうのだと考えられます。」
丸山さん:
「なるほど、だからそうなっているはずなのに気づけないですね。 一応、同名半盲は『見えない』けど、半側空間無視は『見えているのに見えない』ってことなんですか?」
金子医師:
「その通りです!いい理解ですね。半空間側無視は特に右脳が被害を受けた場合に起こりやすいです。注意の問題とも言えますね。リハビリでは、この無視してしまう側を意識する練習や、視覚的な刺激を増やして、徐々に脳にその空間を認識させるように訓練していきます。」
丸山さん:
「それなら、リハビリで少しずつ良くなる可能性がありますね。安心しました。」
金子医師:
「はい、焦らずに少しずつ進めていきましょう。正しい対処法をしていけば日常生活でもずっと過ごしやすくなるはずです。」
丸山さん:
「わかりました。今日は詳しい説明をしていただいて安心しました。これからもリハビリ頑張ります。」
金子医師:
「一緒に頑張っていきましょう。次回のリハビリでは、空間無視を意識したエクササイズも取り入れていきましょうね。」
丸山さんは同名半盲と半側空間無視の違いについて理解し、リハビリに向けて前向きな気持ちで取り組むことができました。
目次
1.脳卒中後遺症による視覚障害の概要
2.視覚障害の主な種類
2.1 視界欠損(半盲・同名半盲)
2.2 空間無視
2.3 眼筋の問題(複視・ぼやけ)
2.4 ドライアイ
2.5 光過敏症
2.6 過性黒内障
3.視覚障害への対処法とリハビリテーション
3.1 考慮欠損への対応策
3.2 空間無視の克服方法
3.3 眼筋問題の治療とサポート
3.4 ドライアイのケア方法
3.5 光過敏症への対処法
4.専門家の支援と最新の治療法
4.1 視能訓練士によるリハビリ
4.2 補助具とテクノロジーの活用
5.日常生活での注意点とサポート体制
6.脳卒中後の視覚障害に関する最新情報と研究
7.まとめ
8.参考文献
同名半盲・半側空間無視
1. 脳卒中後遺症による視覚障害の概要
脳卒中によってさまざまな身体機能に障害が生じる可能性があります。視覚障害は、脳卒中の後遺症としてよく見られる症状であり、患者の『生活の質』に大きな影響を与えます。 脳卒中による視覚障害は、脳のどの部分が損傷を受けたかにより、視野が欠ける、ものが二重に見える、物体との距離感がわからなくなるなど、さまざまな問題が生じる可能性があります。
視覚障害が発生する理由は、脳の視覚に関与する部位が影響を受けるためです。 具体的には、視覚神経や視覚を処理する脳の部位が損傷を受けることで、情報を正確に処理できなくなるといった状況です。 これらの影響は、片目や両目、または視界の一部に現れることが多く、患者は日常生活で不便を感じます。多くの場合、これらの症状を正しく、適切に対処することが重要です。
2.視覚障害の主な種類
2.1視野欠損(半盲・同名半盲)
脳卒中による視覚障害の中で最も一般的なのが「視野欠損」です。 視野欠損は、視神経や視覚を処理する脳の経路が影響を受けることで、片目または両目の視野の一部が失われます。この状態は「半盲」とも呼ばれ、片側の視点が見えなくなる症状を指します。 特に、両方の目の同じ側の視点が障害される「同名半盲」が発生することが多くあります。
このような視点欠損は、日常生活に大きな影響を与えます。例えば、読書をする際に文章の最後まで視認できなかったり、運転中に歩行者や車両に気づきにくいため、事故のリスクが高まったりします。これらに対して、プリズム眼鏡や視機能訓練などが効果的とされています。
2.2 空間無視
「空間無視」は、特に右半球の脳卒中患者に多く見られる障害です。空間無視は視覚的な問題に限定せず、患者が自分の身体の一部を認識できない場合もあります。
空間無視のリハビリテーションでは、患者に自分の無視している側を意識させる訓練が行われます。また、補助具や技術を活用することで、日常生活での空間認識を改善することが可能です。視覚的な刺激や環境調整、専門家の指導を受けることで、患者は少しずつ視覚・空間認識能力を回復させることができます。
2.3 眼筋の問題(複視・ぼやけ)
脳卒中により眼筋を制御する脳神経に障害が生じると、目の焦点が合いにくくなります。 これによって発生するのが「複視(ものが二重に見える)」や「ぼやけ」の症状です。これらは、物がはっきり見えないため、日常生活での動作や作業に支障をきたすことが多くなります。例えば、階段を降りる際に段差がはっきり見えず、転倒の危険が高まります。
眼筋の問題には、視能訓練士によるリハビリテーションや、プリズムレンズを使用した眼鏡による治療が効果的です。また、片目で見ることで、複視を軽減し視界を安定させる方法もあります。
2.4 ドライアイ
脳卒中の影響で、まばたきの機能に問題が起こります。 脳卒中によって顔面神経が損傷を受けると、まばたきが正常にできなくなり、目が乾燥してしまうことがあります。これらは目の不快感や痛み、さらには感染のリスクが高まります。
2.5 光過敏症
脳卒中の後遺症として、光に対して敏感になる「光過敏症」が発生することがあります。光過敏症は、視覚を処理する脳の機能が低下した結果として現れる症状の一つです。
2.6 過性黒内障
一過性黒内障は、脳卒中の前兆や一過性脳虚血発作(TIA)の際に見られる視覚症状です。通常、この視覚障害は数秒から数分間継続し、その後自然に回復します。一過性黒内障は、脳卒中の警告サインであり、無視すべきではない重大な症状です。 特に同側内頚動脈の狭さが原因である場合が多いため、この症状が見られた場合は、すぐ医師の診察を受けることが必要です。迅速な診断と適切な治療によって、今後の脳卒中のリスクを軽減することが可能です。
3. 視覚障害への対処法とリハビリテーション
脳卒中による視覚障害に対処するためには、早期のリハビリテーションが重要です。 視覚障害は日常生活に大きな影響を考慮するため、専門的な治療や訓練による児童回復機能を目指します。的な対応策です。
3.1 視野欠損への対応策
視野欠損に対処するための方法には、プリズム眼鏡の使用や、視能訓練があります。また、視能訓練士によるリハビリでは、視野をスキャンする技術を学び、知覚している視野を補いながら効率的に環境を認識する訓練などが挙げられます。
3.2 空間無視の克服方法
空間無視に対しては、リハビリテーションや環境調整の改善が必要です。まず無視している側に刺激を与えるように、環境を調整します。例えば、食事の際には、無視している側に注目するように調整します。さらに、視覚刺激を強化するために空間、視能の訓練が行われ、患者は徐々に無視している空間を認識できるようになります。
3.3 眼筋問題の治療とサポート
眼筋の問題については、視能訓練士のサポートが重要です。視機能訓練では、目の動きを強化し、筋肉のバランスを回復するためのエクササイズが行われます。また、プリズムレンズを使いますた眼鏡を着用することで、物の体の見え方を調整し、複視やぼやけを軽減することが可能です。
3.4 ドライアイのケア方法
特に、顔面神経が影響を受けた場合、まばたきがうまくできず、目が十分に閉じられないことがあります。乾燥しやすくなり、ドライアイの症状が現れることが一般的です。
ドライアイのケアには、人工涙液や潤滑剤が有効です。医師や眼科専門医の指導の下で、定期的に人工涙液を使用することで、目の乾燥を防ぎ、快適さを守ることさらに、また、またばたきを意識的に行うことを上回るトレーニングや、目を休める時間を増やすことで、症状の悪化を防ぐことが重要です。使用や目を守るための保護眼鏡を使用することも効果的です。
3.5 光過敏症への対処法
これは、特に明るい光や日光に対して非常に敏感になる状態で、患者は外出時や屋内の強い照明下で不快感や目の疲れを感じることが多くなります。光過敏症は、脳卒中後の視覚処理が影響を受けた場合に発生することがあり、視覚刺激に対する耐性が低下するため、患者の日常生活に困難をきたすことがあります。
光過敏症の対処法としては、「着色眼鏡」の使用が一般的です。 これらの眼鏡は、特定の限界の光を遮断することで、患者が強い光を感じにくい、視覚的な不快感また、屋内では間接照明や暖色系のライトを使用することで、眩しさを抑え、快適な視覚環境を整えることが推奨されます。やサングラスを利用することで、症状の軽減が期待できます。
4. 専門家の支援と最新の治療法
4.1 視能訓練士によるリハビリ
視能力訓練士は、視覚障害に対するリハビリテーションを専門に行う医療従事者です。視能訓練士は、プリズム眼鏡を使った訓練や、視覚スキャン技術の向上を目指してトレーニングを行い、日常生活での視覚的な不便を軽減します。訓練内容はそれぞれの症状に応じて調整されます。早期にリハビリを開始することが視覚機能の回復に大きく対処するとされています。
4.2 補助具とテクノロジーの活用
今日、視覚障害に対する補助具やテクノロジーの進歩が進んでいますか、これらを活用することで患者の生活がより快適になるケースが増えています。プリズムレンズの眼鏡や、視覚情報をよりよく取り入れたデジタル補助具が利用されています。また、視覚処理をサポートするためのアプリや、音声ナビゲーションを使って、視覚障害を補う技術も発展しつつあります。
これらの最新の技術やは、リハビリテーションと併用することで、日常生活における視覚的な不便を大幅に軽減することが可能です。自宅で手軽にリハビリを続けられるように設計されており、視覚機能の改善に役立つことが期待されています。また、最新のAI技術を活用した視覚補助デバイスも、患者の生活を支え続けます。
5. 日常生活での注意点とサポート体制
5.1 環境の調整
まず家庭や職場など、視覚障害を呈した人が日常生活を過ごす場所の環境を整えることが重要です。以下は、環境調整のための具体的な対策を記載します。
・明確な視覚ガイド: 視界欠損や空間を無視する場合、家具の配置を変更、部屋の角に目立つ色のテープを貼るなど、視覚的にガイドとなるものを設置すると良いでしょう。物にぶつかるリスクを軽減できます。
・照明の調整: 光過敏症の人は、間接照明や暖色系の照明を利用することで、眩しさを感じることができます。また、読書や作業をする場所では、調光可能なランプを使用しますすることで、視覚的な負担を軽減します。
・物の配置を固定する: 視覚障害を抱えている場合、日常的に使う物の配置を固定し、いつも同じ場所に置くことで、探す手間を省き、事故を防ぐことができます。
5.2 移動時のサポート
外出時には、視覚障害者が安全に移動できるようサポートを行うことが大切です。以下のような工夫が有効です。
・白杖やガイドヘルパーの利用: 白杖は視覚障害者のシンボルであり、周囲に注意をもたらす効果があります。その時の安全性が向上します。
・交通機関でのサポート: 公共交通機関では、視覚障害者向けの優先席や案内サービスを利用することができます。駅やバス停などでは、職員に事前に連絡してサポートを受けられる効果的です。
5.3 日常活動における工夫
視覚障害を呈した人が、日常の活動を簡単に行うための対策が重要です。以下のような工夫が役に立ちます。
・読書や作業のサポート:視野欠損がある場合、拡大鏡や大文字フォントを使った書籍を活用すると、読書がしやすくなります。また、タイポスコープ(文章の一部を囲むカード)を使うことで、文章の論点部分に集中できるようになります。
・デジタルデバイスの活用: スマートフォンやタブレットなどのデジタルデバイスには、視覚障害者向けの支援機能が多く搭載されています。例えば、音声読み上げ機能や、大きなアイコンを表示する機能を活用することで、視覚的なな負担を軽減することができます。
6. 脳卒中後の視覚障害に関する最新情報と研究
特に、視覚機能を回復させるためのリハビリテーションの効果や、脳の可塑性を利用した新しい治療法が注目されています。
6.1 脳の可塑性と視覚回復の可能性
脳卒中の後の視覚障害の一部は、脳の可塑性(ニューロプラスティシティ)を活用することで改善できる可能性があるとされています。この理論に基づいたリハビリテーションのプログラムでは、定期的な視覚トレーニングや、視覚刺激を考える演習が行われています。
6.2 最新の治療法と技術
また、テクノロジーの進歩により、視覚障害に対する新しい治療法や補助具が開発されています。例えば、視覚補助デバイスや拡張現実(AR)技術を活用した治療法が試みられています。視覚障害を補完するだけでなく、脳の視覚処理能力を向上させることを目的としています。
さらに、再生医療や神経科学の進歩により、視覚神経の再生や、損傷した脳の部位を修復するための新しい治療法の研究も進んでいます。は脳卒中後の視覚障害の治療に大きな希望を実現と考えられています。
7. まとめ
脳卒中後の視覚障害は、多くの患者にとって大きな挑戦ですが、適切な対処法とリハビリテーション、生活の質を向上させることが可能です。 視覚障害は、視覚欠損や複視、空間無視など多岐にわたります症状を把握しますが、プリズム眼鏡や視能訓練、補助具などを活用することで、症状を管理し、視覚機能を補完することができます。
また専門家のサポートや最新のテクノロジーの活用により、日常生活で不便を減らすことができ、より自立した生活のための支援が提供されています。これにより、脳の可塑性を利用した視覚回復の可能性が高まっており、今後も視覚障害に対する治療が進化していくことが期待されます。
8. 参考文献
- 文献1 : 脳卒中後の視覚障害に関する最新研究のまとめ
- 文献2 : リハビリテーションと視覚機能回復に関する論文
- 文献3 : 脳の可塑性を活用した視覚回復の可能性
- 文献4 : 光過敏症とその対処法に関する最新の臨床研究
国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
アマゾン理学療法1位単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
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