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痙縮(痙性麻痺)とは?
痙縮は、脳卒中の後遺症のひとつで、意思とは関係なく筋肉の緊張が高まり、手足がつっぱったり、曲がったりしてしまいます。 脳神経が障害を受けると、筋肉が伸ばされた時に伸びすぎないようにする反射が強くなったり、常に筋肉が緊張した状態を引き起こすことがあります。
痙縮は運動性に影響します。運動性は日常生活の活動や社会性に影響し、うつ病につながり可能性があります。
未治療の痙縮は、下図のように四肢の位置を異常な位置に固定し、締め付け、痛みを引き起こす可能性があります。またその硬さは、痛みの悪循環を引き起こす可能性があります。
・手指は図(右)のように握りこみ過ぎて爪が手の平に食い込んでしまう方もいらっしゃいます。
・肘は図(中)の方のように曲がり、着替えや各動作に影響を及ぼします。人によっては重度になると寝ている時に胸を圧迫してしまう方もいます。
・足部は図(左)のように内反尖足と言い、つま先が下がった状態で硬くなり、足の裏がしっかり接地できない、床に引っかかるなど立って動くことに影響を強く及ぼします。
そのため、早期からの継続的な治療がとても大切となります。
重度の痙縮は、家族による介護が必要になる可能性があります。ベッド上臥床状態になると、寝たきりや肺炎になる危険性もあります。痙縮に対処する必要があります。
肩関節亜脱臼
脳卒中片麻痺患者様の肩関節亜脱臼は、発症後の筋緊張が低い時期あるいは筋が弛緩している時期に起こります。肩周りの筋が弛緩すると腕が重力に従って垂れるようになります。垂れた状態になることで肩の骨が重力に引っ張られて亜脱臼が起こります。
肩関節の亜脱臼の方、全ての方が疼痛を引き起こすわけではありません。亜脱臼した状態(関節内の状態が正常でない状態)のまま動かすことで肩の筋肉や靭帯等の過度な伸張や、動かしたときに本来ぶつからない所がぶつかったり、挟み込まれたりするストレスが生じ、微細な損傷を引き起こし、肩関節の疼痛を生じてしまう危険性があります。
亜脱臼の予防として、アームスリングなどを使用する方法が取られることがあります。その形状には様々なものがあります。
メリット・デメリット含めて担当リハビリの方に検討して頂く必要があります。
スリングを使用することで、弛緩期では移乗や歩行中に、①動作を行いやすくする②腕をぶつけたり、過度に逸脱した方向へ動かすような事を防ぐ事が出来、その使用価値は高いと言えます。その一方で、アームスリングの長期的な使用は、上肢を曲がった状態にすることを助長したり、不使用にしてしまう可能性があります。
適切なリハビリテーションを受けましょう
痙性・弛緩性の麻痺共に、それらによる不快感は、適切なリハビリを受けることで改善が見込まれます。その受ける中で、御自身に合った自主練習も指導してもらいましょう。動かさない事は、状態を悪化させる可能性があります。 すぐに改善できるものではありませんが、ゆっくりと着実に進歩し、最終的にはより良い動きにつながります。
就寝時の姿勢も指導を受けましょう。クッションや枕を使用し、肩関節や筋肉がリラックス出来るように姿勢を整えましょう。
消炎鎮痛剤 (NSAID)による疼痛緩和
消炎鎮痛剤 (NSAID) は疼痛を緩和させるかもしれません。医師とご相談ください。
交代浴による疼痛緩和
物理療法に温冷交代浴があります。手足を温かい水と冷たい水(アイスパック・ホットパックでも良い)に交互に入れることで、血管の収縮・弛緩を繰り返して血流を改善します。自律神経を整えるとも言われます。温水で始まり、1分交代(温水⇔冷水)を行い、10~15分行い、温水で終わるように行います。
痙縮に対するボツリヌス療法
過緊張が認められる筋にボツリヌス毒素製剤を筋注します。ボツリヌス毒素製剤は神経筋接合部に作用することで、筋緊張を改善します。臨床効果はおおむね2~3日で現れ、1~2週間で安定した後、3~4ヶ月間程度持続します。他の治療法との併用も可能なようです。
痙縮に対する髄腔内バクロフェン療法(ITB療法)
痙縮(筋肉の緊張)に効果のある薬を脊髄の周囲(髄腔)に直接(持続)投与することで、症状をやわらげる治療法です。
麻痺筋へのFES(機能的電気刺激)
FES(装具型表面電極刺激装置)は、麻痺した手足の筋肉に、コンピュータ制御された電気刺激を与え、筋肉の伸筋や屈筋などを活性化させることで、失われた機能の再建を図るものです。
その他にも様々な治療法があります。医師と相談し、自身に合った治療法でゆっくり改善させていきましょう。
国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
アマゾン理学療法1位単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
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