ページトップへもどる

HOME > パーキンソン病 > 病態の理解 > 認知機能低下を伴うパーキンソニズム 診断における他の神経学的問題 5

2017.06.16 パーキンソン病

認知機能低下を伴うパーキンソニズム 診断における他の神経学的問題 5

 

 

進行性核上性麻痺(PSP

 

 進行性核上性麻痺の主な症状は、眼球運動障害、特に眼の上下運動が障害されます。 そのためPSP患者は、お皿の上の食べ物を食べることが難しかったり、歩行中に足元の障害物に気づかなかったりすることがあります。病気の主要な症状ではありませんが、振戦がある人もいます。

 

 

 PSP患者は、典型的には、筋強剛や動作の緩慢さ、重度の歩行障害、バランス障害といったパーキンソニズムがあります。歩行とバランスの問題は、PSPではより顕著な症状であり、より重度であり、パーキンソン病よりも早期に現れます。早期から転倒を繰り返している場合、それはPSPかもしれないという重要な手掛かりです。

 

 

 PSP患者は、抗パーキンソン薬にしばらく反応しますが、これらの薬剤は純粋なパーキンソン病と比べるとPSPの治療には効果が低いことが多いです。

 

 

 PSPでは異常なタンパク質が蓄積しており、そのタンパク質はタウと呼ばれます。 タウタンパクは、PSPだけでなくCBD(加えて、認知症を引き起こす多くの他の障害)にも見られ、これらのパーキンソン病プラス症候群は、タウオパシーとして知られています。

 

 

 

 

大脳皮質基底核変性症(CBD

 

 大脳皮質基底核変性症の患者は、多くの症状を経験することがあります。典型的には、症状は非対称であり、両側が障害を受けるが体の一側がはるかに影響を受けます。

 

パーキンソニズムに加えて、無動症以上に自発的運動の困難さを有します。失行は動きの方法は理解しているにもかかわらず、深刻な不器用さと明らかな困難さをもたらします。CBD患者は、振戦と間違えられることがあるぎこちない動き(ミオクローヌス)があるかもしれません。手足のジストニアは深刻なことがあります。

 

一部の人たちには、手足(多くは手)に彼らがしたくない活動を勝手に行ってしまうといった他人の手徴候(エイリアンハンド症候群)として知られる異常な症状があります。

エイリアンハンド症候群は拮抗失行とも言われ片方の手が勝手に動くことをもう片方の手が止める行為が目立ちます。

 

最後に、CBDでは行動、言語、認知の変化が一般的であり、疾患の経過の早い段階からこれらの問題を有する人が多いです。パーキンソニズムという用語は、様々な疾患によって引き起こされるパーキンソン病様の症候群を指すように、いくつかの異なる脳疾患が、CBDで最初に記載された状態と同じ臨床像を引き起こし得るという事実を強調するために、「大脳皮質基底核症候群」(CBS)という用語が現在は使用されています。

 

 

その他のパーキンソニズム

 他の多くの障害を持つ人たちのために、早期の認知的(精神的)変化と人格変化に、軽度の断続的な振戦、軽度の運動の遅さ、軽度のバランス障害などの軽度のパーキンソニズム症状が伴うことがあります。ただ、最も顕著な症状は、記憶障害、人格変化、集中するのが難しいことでしょう。

 

たとえば、金銭管理の問題や買い物店に行くときに買い物リストを覚えられずに問題が発生するかもしれません。これらの障害を有する人たちは、視覚幻覚や妄想もあるかもしれませんが、それは投薬によって誘発されるものではなく、基礎疾患自体の症状です。

 

 

 このような人格変化や記憶障害、思考の問題がパーキンソン症候群を発症して最初の数年以内にあった場合、正しい診断は典型的なパーキンソン病であるとは考えにくいでしょう。

 

パーキンソニズムの特徴や、レビー小体型認知症(またはびまん性レビー小体病)と呼ばれる別のパーキンソン症候群によって、アルツハイマー病の診断が複雑になる可能性があります。

 

レビー小体型認知症(DLB)は、パーキンソン病の類縁疾患です。パーキンソン病の特徴であるレビー(Lewy)小体はどちらにも存在し、実際の剖検で脳病変は治療過程の後期に認知症を経験したパーキンソン病患者と見分けがつかないことが多いです。

 

事実、多くの医師は、これらの障害は重複した存在で、それらを別々の病気と考えるよりもむしろスペクトルがあると考えています。これらの治療において重要な知見は、他の病気にも明白な影響を与える可能性があります。

 

 

 臨床検査ではいくつかの病気は特定することができます。これらの検査には、ルーチンの全血球数や甲状腺機能評価、ビタミンB12や葉酸の量、赤血球沈降速度の評価が含まれています。

 

梅毒の検査も考慮する必要があります。これらの検査は、甲状腺機能低下などの認知障害に関連する治療可能な状態を確認する上で重要です。

 

 

 コンピュータ断層撮影(CAT)スキャンや磁気共鳴画像(MRI)などの脳の神経画像処理では、無症候性脳梗塞や正常圧水頭症、硬膜下血腫、良性または悪性の脳腫瘍などの潜在的に治療可能な認知症の原因を明らかにするかもしれません。

 

 

 パーキンソン病類縁疾患の特徴的な症状が出現するまでに数年かかることもあり、その後にパーキンソン病の診断を変更しなくてはならないかもしれません。

 

パーキンソニズム症状が出現する際に考慮する必要がある神経障害は非常に多様であるため、患者とその家族は神経疾患治療の専門家の診察を受け、正しい診断と適切な治療計画に達するように努めてください。

Previous Post Next Post

FOLLOW US

脳リハ.comの記事は各ソーシャルメディアでも配信中。
今すぐフォローして最新情報をチェックしよう!

脳リハ.comの記事は各ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしよう!

FOLLOW US

脳リハ.comの記事は各種ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしよう!

POPULAR POSTS

CATEGORY

脳卒中

パーキンソン病

脳科学Topic

News

RECENT ENTRIES

Copyright c 2016 脳リハ.com Rights Reserved.

無料
カウンセ
リング

お申込み・ご質問・ご相談など 各種お問い合わせ

無料カウンセリングの
お申込み