リハビリにやる気がでない患者と医師とのストーリー
丸山さん(患者):「先生、最近リハビリを頑張っても、あまり良くなってる気がしなくて…。正直、やる気が出ないんです。」
金子先生(医師):「丸山さん、その気持ちはとてもよく分かります。脳卒中のリハビリは、体だけでなく“心”のリハビリでもあるんですよ。」
丸山さん:「心のリハビリ…ですか?」
金子先生:「ええ。リハビリを続けるには、モチベーションを保つことが大切です。効果を実感できなくても、昨日より“少しでもできたこと”を見つけてみてください。」
丸山さん:「たとえば?」
金子先生:「“今日は3歩多く歩けた”“ボタンを自分で留められた”——そんな小さな達成が大切です。それを積み重ねると、確実に前へ進んでいます。」
丸山さん:「たしかに、そう考えると少し気が楽になります。」
金子先生:「ご家族と一緒に喜びを共有するのもいいですよ。認めてもらったり、褒めてもらったりすることで、回復の過程を実感できます。最近は音楽やゲームを使ったリハビリも増えていて、楽しみながら取り組む方法もあるんですよ。」
丸山さん:「楽しみながら…それなら続けられそうですね。」
金子先生:「焦らず、一歩ずつです。モチベーションは環境と支えで育ちます。小さな成功を見逃さずに、前に進みましょう。」
モチベーションを保つための工夫と家族のサポート
リハビリの“やる気”が続かないとき
脳卒中の回復には、どうしても長い時間と努力が必要です。
最初は「頑張ろう」と思っていても、日が経つにつれて「なかなか効果が感じられない」「疲れてやる気が出ない」と感じる方は少なくありません。
そんなとき大切なのは、「心のリハビリ」を意識すること。モチベーション(やる気)を保つことも、回復の大切な一歩です。
モチベーションが下がる理由
リハビリの途中で意欲が落ちてしまうのには、いくつかの理由があります。
● 効果がすぐに実感できない
● 疲労や痛みが続く
● 不安や落ち込みが強くなる
● 目標が漠然としていて先が見えない
● 周囲の理解や支えが少ない
実際の研究では、「周囲からの支援が多い人ほど、リハビリのやる気や生活の質(QOL)が高い」ことが報告されています【Lee et al., Int J Environ Res Public Health, 2022】。
つまり、“支え合う環境”がモチベーションを支える鍵なのです。
やる気を保つ3つのコツ
(1) 小さな目標を立てよう
「今日は3歩だけでも歩く」「自分で上着を着る」など、小さなゴールを決めてみましょう。
少しずつ達成していくことで「できた!」という自信が積み重なり、気持ちが前向きになります。
(2) フィードバックと褒め言葉を大切に
リハビリで少しでも動きが良くなったときは、言葉で伝える・記録で見える化するのがポイントです。
「昨日より手が上がったね」「前より歩くのがスムーズだよ」そんな一言が、大きな励みになります。
医療スタッフや家族のポジティブな声かけが、リハビリ意欲を高めることが知られています。
(3) “楽しい”を取り入れる
音楽を聴きながらの体操や、ゲーム感覚でできるリハビリ、VR(仮想現実)を使った練習など、楽しさを感じられる工夫が効果的です。
研究でも、「楽しさのあるリハビリは意欲を保ちやすい」と報告されています【Nguyen et al., Front Neurol, 2024】。
家族ができるサポート
リハビリを支えるのは、医療者だけではありません。
家族の関わり方も、患者さんの気持ちに大きな影響を与えます。
● 小さな変化を一緒に喜ぶ:「昨日より元気そうだね」と伝えるだけでも十分です。
● 無理をさせず、できたことを褒める:ペースは人それぞれ。焦らせないことが大切です。
● 安心してリハビリできる環境を整える:転倒の心配がない場所、明るい雰囲気づくりなど。
過度な励ましよりも、「一緒に頑張ろう」という寄り添いの気持ちが、長く続ける力になります。
まとめ
リハビリのモチベーションは、環境・支援・成功体験の3つで育ちます。焦らず、昨日より少しできたことを積み重ねる。その積み重ねが、確実に回復へとつながっていきます。
“心のリハビリ”を忘れずに、今日も一歩ずつ進んでいきましょう。
引用文献
脳卒中の予防やリスクについてもっと詳しく知りたい方へ!
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STROKE LAB代表の金子唯史が執筆、2024年に医学書院より発売された「脳の機能解剖とリハビリテーション」から以下の内容を元に具体的トレーニングを呈示します。
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国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
アマゾン理学療法1位単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
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