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10時間目:パーキンソン病の重症度について
パーキンソン病の病期分類には、
「ホーエン・ヤールの重症度分類(ヤール重症度)」と「Movement Disorder Society Unified Parkinson’s Disease Rating ScaleTM(MDS-UPDRS)」の2つの尺度が使用されます。また「修正版ホーエン・ヤールの重症度分類」ではステージ1.5と2.5が追加され、より詳細な評価が可能となっています。
患者が入院したとき、入院中の看護師や医師が患者を採点し病期を分類することは必ずしも必要でもありませんが、採点に精通していると便利ではあります。
ホーエン・ヤールの重症度分類(ヤール重症度)は、運動症状に基づいて確立された1から5の病期分類を使用します。
ステージ1:症状は非常に軽度です。体の片側だけに手足のふる えや筋肉のこわばりがみら れます。一般的に、パーキンソン病によってひどく影響を受けることはありません。
ステージ1.5:症状は軽度ですが、片側性の症状に加え、体幹の関与があります。
ステージ2:両側の手足のふるえや筋肉のこわばりなどがみられます。バランスは損なわれていません。生活がやや不便となります。この段階は早期のパーキンソン病と見なされます。薬への依存は、後期ほど顕著ではありません。
ステージ2.5:軽度の両側性症状と、後方へのバランス障害がみられますが、自力で立ち直ることができます。
ステージ3:軽度~中等度の両側性の障害を来します。バランスの問題、小刻み歩行、すくみ足がみられます。生活に支障は出ていますが、介助はまだ要しません。パーキンソン病の症状によって影響を受け始めており、投薬に依存していきます。
ステージ4:重度の障害を来し、杖・歩行器または車椅子が必要な場合があります。日常生活の様々な場面に援助を必要とします。
ステージ5:非常に衰弱し、車椅子またはベッドで寝たきりの状態です。
MDS-UPDRS
ホーエン・ヤールの重症度分類(ヤール重症度)は、パーキンソン病の症状がどのように進行しているかを説明するのに適した方法ですが、それ以外の疾患の側面については考慮されていません。
認知状態、主観的状態、日常生活活動、客観的な行動など、さまざまな側面を考慮に入れた、より包括的な評価尺度であるUPDRS(Unified Parkinson’s Disease Rating Scale)が開発されました。
1. Part I: 非運動症状の評価
Part IA: 評価者が実施し、認知機能や行動、気分などを評価します。
Part IB: 患者や介護者からの報告を基に、睡眠障害や自律神経症状などを評価します。
2. Part II: 日常生活動作(ADL)の評価
患者が日常生活で経験する運動症状の影響を自己評価します。
3. Part III: 運動機能の評価
医療従事者が患者の運動機能を直接評価します。
4. Part IV: 治療に関連する合併症の評価
薬物治療に伴う運動合併症やジスキネジアの有無とその影響を評価します。
といった4つのパート合計42の評価項目からなります。
各項目は0(正常)から4(重度)までのスコアで評価され、総合スコアが高いほど症状が重いことを示します。MDS-UPDRSは、オリジナルのUPDRSと比較して非運動症状の評価項目が増加し、より包括的な評価が可能となっています。スコアが高いほど、パーキンソン症状が患者に与える影響が大きいという判断となります。
運動症状の調査では、はい/いいえで質問に答えます。2007年にUPDRSを改訂したので、今日使用するバージョンはMDS-UPDRSと呼ばれます。MDS-UPDRSスケールは、患者が薬を服用したとき、または深部脳刺激装置の埋め込み術を受けた時などに症状が改善したかどうかを追跡することもできます。
最新の知見
近年の研究では、MDS-UPDRSの各部分における重症度レベルのカットオフ値が提案され、軽度、中等度、重度の分類に役立てられています。例えば、Part I(非運動症状)のスコア範囲は0~16点で、4点以下が軽度、5~8点が中等度、9点以上が重度と分類されます。同様に、Part II(ADL)は0~52点で、13点以下が軽度、14~26点が中等度、27点以上が重度とされています。これらのカットオフ値は、臨床現場での患者の状態把握や治療計画の策定に有用です。
さらに、MDS-UPDRSの信頼性と妥当性に関する研究も進められており、各項目の内的整合性が高いことが確認されています。これにより、症状の経時的な変化や治療効果の評価において、MDS-UPDRSが有効なツールであることが示されています。
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