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2017.07.24 パーキンソン病

脳以外でのドパミンの分解を防ぐ薬剤 パーキンソン病治療の仕組み 5

 

 

 

カテコール-O-メチル基転移酵素(COMT)阻害薬

 レボドパを体内で代謝して、血液脳関門を越えない化学物質に変換するもう一つの酵素にカテコール-O-メチル基転移酵素(COMT)があります。この酵素の阻害薬であるCOMT阻害薬は、レボドパの代謝を妨げるため、DDIとほぼ同じ原理で作用します。

 

通常、レボドパの用量は、DDIに加えてCOMT阻害薬を追加することでさらに減少させることができ、COMT阻害薬は運動症状に変動がある人にとって特に有用です。エンタカポン(商品名:コムタン)やトルカポンは、一般的に使用されるCOMT阻害薬の2つです。トルカポンの使用は、まれに肝機能障害を引き起こすことがあるため制限されています(本邦では未販売)。

 

 COMT阻害薬を服用している場合は、副作用や定期的な血液検査の必要性について医師に相談してみてください。

 

 

モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬

 体内にレボドパを分解する酵素があるように、ドーパミン自体も分解する酵素も持っています。この酵素の1つにモノアミン酸化酵素(MAO)があります。詳細は今後の記事に記載しますが、MAO2つのサブタイプ、ABがあります。

 

非選択的MAO阻害薬(すなわち、両方のサブタイプを阻害するもの)およびMAO-A阻害薬はうつ病の治療に使用されます。非選択的MAO阻害薬は、レボドパを服用している人にとっては禁忌です。なぜなら、この組み合わせは血圧の急激な上昇を引き起こすからです。

 

しかし、選択的MAO-B阻害薬は、いくつかのドーパミンが破壊されるのを防ぐので、特にレボドパと組み合わせた場合に、パーキンソン病の治療に有用です。

 

セレギリンとラサギリンは、脳内でよ​​り多くのドーパミンを利用できるようにMAOによるドーパミンの分解を阻害する選択的MAO-B阻害薬です。セレギリンがニューロンを変性から保護し得るという推測があるが、セレギリンにそのような神経保護の証拠はありません。

 

実際、セレギリンの抗パーキンソン病薬としての機能は非常に軽度であり、その効果を有するかどうかあいまいなことさえあります。

 

ラサギリン(2017629日武田薬品が国内臨床試験を終えて厚生労働省に製造販売承認申請 https://www.takeda.co.jp/news/2017/20170629_7782.html)は、早期と進行期のどちらのパーキンソン病に対しても対症療法として有用であることが証明されているより新しいMAO-B阻害薬です。

 

セレギリンとラサギリンは同様の効果を有しているようであり、一方が他方より優れているというエビデンスはありません。

 

 ラサギリンは、パーキンソン病症状の治療において有効性が実証されていますが、ラサギリンがパーキンソン病の進行を能動的に遅くするかを明らかにするために、大規模臨床試験(ADAGIO試験)が行われました。

 

この試験は、パーキンソン病の症状を改善する薬剤が同時にパーキンソン病の進行を遅らせるかどうかという問題を解決するために設計された新しいタイプの臨床試験である「遅延開始」試験として計画されました。言い換えるとすれば、この薬剤は症候性効果と神経保護効果の両方を有するのか?ということです

 

 

 一般的な臨床研究試験は、類似の患者を薬物療法群またはプラセボ群のいずれかに無作為に割り付け、2つのグループに分けて、一定期間(例えば、69ヶ月程度)追跡してから、薬物療法がプラセボより優れているかを確認します。

 

「遅延開始試験」では、患者はプラセボ群と薬物療法群に無作為化されるが、一定期間(例えば9ヶ月程度)後にすべての患者が薬物療法に切り替えられ、さらに一定期間(例えば9ヶ月程度)観察して 2つのグループが比較されます。

 

 

遅延開始試験による仮説は、投薬が純粋に症候性である場合、「遅延」投薬を受けた群の反応は、最初から投薬を開始した場合と同じであるということです。一方、薬物が疾患修飾性または神経保護性である場合、後から薬物療法を開始する群は、最初から開始していた薬物療法群に「追いつく」ことは決してありません。

 

 

 初期パーキンソン病患者の大規模な遅延開始ラサギリン試験は、多少議論の余地はありました。初回試験の投与量(12mg)では効果を示しませんでしたが、二回目の試験(11mg)では望ましい変化を示しました。ただ、薬物療法群とプラセボ群の差は非常に小くしかありませんでした。

 

研究者の中には、統計的に最小限ではあるが肯定的な結果で、好意的に解釈している人もいます。同じ結果を検討しても、よく計画された試験にもかかわらず、その結果は臨床的に無意味であると結論づけている人もいます。

 

例えば、ラサギリンが神経保護に影響を及ぼすかどうかを決定するために176の臨床的ポイントのスケールを使用し、結果は1.8ポイントの差であり、約1パーセントの変化のみでした。経験豊富な臨床研究者の多くは、これが臨床的に重要な変化ではないと判断しました。

 

残念ながら、パーキンソン病では、エビデンスのある神経保護薬は存在しません。 アメリカ食品医薬品局の諮問委員会は、遅延開始試験の結果が神経保護や病態修正のエビデンスを提供できなかったことを170で票決しています。

 

 

脳の運動制御システムは非常に複雑です。 薬剤を使用して回復させようとすると、望ましくない副作用が生じることもあります。 パーキンソン症候群の症状を緩和し、改善し、副作用を最小限に抑えるために、これまでよりも多くの治療法や薬剤、またはその薬剤の組み合わせが利用できるようになりました。

 

しかし、薬物療法はそれ自体が複雑です。パーキンソン病薬を服用している、または服用する可能性がある場合、薬剤の作用を理解することで、これらの専門知識を持った人たちと協力して治療計画を決定することに役立つでしょう。

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