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2017.05.27 パーキンソン病

スポーツと精神安定剤によるパーキンソニズム パーキンソン病と間違われやすいパーキンソニズム3

 

 

 

頭部外傷

 頭部外傷はパーキンソン病のような症状を引き起こすことがありますが、パーキンソン病は引き起こしません。パーキンソニズムに関連する脳の領域(基底核や黒質)は、脳の深部の中心に位置しています。頭部外傷で、ドーパミン系やその結合を担うこれらの領域を損傷するには非常に重度でなければ起こり得ないでしょう。軽度の頭部外傷では、このような変化を引き起こすことがないでしょう。

 

 さらに、基底核や黒質は、眼球運動や随意運動の制御センターや意識に関連する構造など他にも多くの重要な神経構造に取り囲まれています。頭部外傷によってパーキンソニズムを発症する人は、通常、意識喪失や昏睡状態、身体の片側の弱化(片麻痺)、眼球運動障害、他にも重度の神経学的損傷の兆候を有しています。

 

さらに、頭部外傷に起因するパーキンソニズムは進行性ではありません。言い換えれば、重度の頭部外傷後に生き残った場合、彼らが意識を回復した直後からパーキンソン症状は非常に重度であり、その後は安定化し、改善します。このタイプのパーキンソニズムは、抗パーキンソン病薬にはほとんど反応しません。

 

 頭部外傷に関連する別の種類のパーキンソニズムが“パンチドランカー”(頭部への衝撃から生じる脳震盪を起因とする神経変性疾患及び認知症に似た症状を持つ進行性の脳障害疾患のこと)と呼ばれます。頭や顔面へ何度も繰り返された無数の打撃の後、「パンチドランカー」となり、記憶などの認知機能が低下するボクサーに見られる症状を表しています。

 

一部のボクサーは、頭に繰り返し打撃を受けた結果、動きが遅く、身体に固さがみられ、さらには振戦のようなパーキンソニズムを発症します。これらの神経学的症状の原因は、運動や思考を制御する様々な構造において、脳の複数の小さな出血を伴う頭部外傷を繰り返すことで起こると考えられています。


モハメド・アリがパーキンソン病であることは有名です。

 

似たような脳疾患として、典型的なものに認知機能低下を引き起こす他のスポーツ(例えば、フットボールやホッケー)における反復性頭部損傷への関心が高まっています。現在までに、これがパーキンソン病の原因であるという証拠はありませんが、これらの選手は検査時にパーキンソニズムのいくつかの特徴を有することがあります。

多くの研究が、頭部外傷と純粋なパーキンソン病との関連を評価しています。頭部外傷によって後に神経症状を発症した第一次,第二次世界大戦の退役軍人の研究では、頭部外傷がパーキンソン病を引き起こさないという証拠を提供しています。

 

パーキンソン病患者はバランスを崩しやすいため、結果として転倒して、意識消失の有無にかかわらず頭部外傷を引き起こす可能性があります。こういった形での頭部外傷は、疾患の進行速度を増加させることはありません。

 

 

薬剤

 パーキンソニズムは特定の薬剤によって引き起こされる可能性があります。すでにMPTP誘発性パーキンソニズムについて議論していますが、ここではパーキンソニズムを引き起こす可能性がある処方薬について議論します。医師は薬物誘発性パーキンソニズムの可能性を認識しておく必要があります。なぜなら、問題となっている薬剤を中止したときには症状が元に戻るからです。

 

 薬物誘発性パーキンソニズムは、安静時振戦や動作の遅さ、手指の巧緻性の低下、弱々しく単調な声、歩行障害、バランスの問題、歯車様固縮など純粋なパーキンソン病のすべての特徴を有します。

 

 パーキンソニズムを引き起こす最も一般的な薬剤は、神経遮断薬であり、精神病や統合失調症のような疾患を治療するために使用される主要な精神安定剤です。神経遮断薬は、脳内のドーパミン受容体を遮断します。したがってドーパミンの機能を阻害します。

 

神経遮断薬には、クロルプロマジン(Thorazine)、ハロペリドール(Haldol)、トリフロペラジン(Stelazine)、ペルフェナジン/アミトリプチリン(Triavil)、チオリダジン(Mellaril)が含まれます。

 

 非定型神経遮断薬と呼ばれる新薬は、ドーパミン受容体を遮断しますが、パーキンソニズムを誘発または悪化させる可能性は低いです。オランザピン(Zyprexa)、リスペリドン(Risperdal)、ジプラシドン(Geodon)、アリピプラゾール(Abilify)、クエチアピン(Seroquel)、クロザピン(Clozaril)が非定型神経遮断薬です。

 

これらは古典的な神経遮断薬よりもパーキンソニズムを引き起こす可能性は低いですが、これらの多くは問題を引き起こす可能性があります。このリスクがあるため、クエチアピンとクロザピン以外はパーキンソン病では使用すべきではありません。

 

ジアゼパム(Valium)、クロルジアゼポキシド(Librium)、ロラゼパム(Ativan)、アルプラゾラム(Xanax)、テマゼパム(Restoril)などの軽度の精神安定剤では、パーキンソニズムは引き起こしません。

 

 吐き気を治療するために使用されるプロクロルペラジン(Compazine)、トリメトベンズアミド(Tigan)という2つの薬剤、および消化器疾患のために使用される薬剤、メトクロプラミド(Reglan)もパーキンソニズムを誘発するかもしれないでしょう。

 

一般的には使用されていませんが、レセルピンと呼ばれる古典的な降圧薬(血圧を下げるための薬剤)がパーキンソニズムを引き起こすこともあります。レセルピンは、ドーパミン受容体を遮断するのではなく、脳のドーパミンを枯渇させます。レセルピンは、抗高血圧薬の複合薬として見られることがあります。

 

抗高血圧薬を服用している人にパーキンソニズムがみられはじめたら、処方の中にレセルピンが含まれているかどうかを調べる必要があります。テトラベナジンは、主に脳ドーパミンを枯渇させることによって作用する別の薬剤です。これは運動障害の治療に用いられるため、この薬剤を処方する医師は薬物誘発性パーキンソニズムの特徴を定期的に監視しなくてはなりません。

 

 薬物誘発パーキンソニズムはパーキンソン病と非常によく似ていますが、いくつかの重要な特徴があり、医師がパーキンソン病ではなく薬剤誘発パーキンソニズムであるかどうか判断する際に役立ちます。

 

“警告信号”には、潜在的に問題となる薬剤への暴露の経験がないかということが含まれています。薬剤に関連するパーキンソニズムでは、重大な症状は比較的短期間、例えば2〜4ヶ月程度で発症します。パーキンソン病症状は通常、片側で発症するため、パーキンソニズムの症状が同時に身体の両側に現れた場合は、パーキンソン病以外の原因と考えられます。

 

 薬物誘発性パーキンソニズムと診断された後、問題の薬物を中止することで、ほとんどの人たちは半年から1年かけて完全に回復します。しかし、完全に回復しない人たちもいます。そうではなく、一定の期間改善した後に、パーキンソニズム症状が再び悪化しはじめる可能性もあります。

 

一見これは矛盾しているようですが、むしろこれは簡単な説明です。パーキンソニズムを引き起こす可能性がある全ての薬剤は、脳内の細胞間のドーパミン伝達を減少させることで起こっています。

 

後にパーキンソン病を発症する危険性がある人の場合、ドーパミン系に干渉する薬剤に暴露すると、症状を発症する前にパーキンソニズムの発症を引き起こす可能性があるからです。一定期間の改善後に、時間の経過とともにパーキンソニズムが悪化することは、純粋なパーキンソン病を発症する過程である可能性があります。

 

パーキンソン病と診断された人たちがこのような薬剤を処方されると、パーキンソン病の症状が急速に悪化する重大なリスクがあります。可能な限り、これらのタイプの薬剤は、パーキンソン病患者では避けるべきです。

 

それにもかかわらず、主要な精神安定剤の使用が必要な状況があります。例えば、幻覚や妄想が問題になった場合、通常、パーキンソン病患者でもこのような薬を長年にわたって服用しています。これは、パーキンソン病の専門知識を持つ医師が管理している複雑な問題です。

 

非定型神経遮断薬の使用は、古典的な精神安定剤よりもはるかに好ましいでしょう。これらのタイプの薬物を服用する際には、パーキンソニズムの副作用についての詳細な観察が必要となります。

 

 

 

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