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2017.05.26 パーキンソン病

脳梗塞と水頭症で生じる歩行障害 パーキンソン病と間違われやすいパーキンソニズム2

 

 

 

脳梗塞

 純粋なパーキンソン病ではありませんが、パーキンソニズムの一般的な原因として脳血管疾患または脳卒中があります。脳血管疾患に関連するパーキンソニズムの発症には2つのタイプがあります。

 


 まず、1つ目の状況としては、突然、脳卒中の徴候が現れて、パーキンソン症状である動作緩慢さと筋強剛の症状が他の神経症状とともに進行する場合があります。脳卒中という用語は、弱化、発声障害、または視野障害などの神経学的症状が突然発症することを指します。弱化は突然起こり、通常、右腕と右脚といった身体の片側が使えなくなります。

 

多くの人たちは脳卒中から完全に回復することはできず、手の弱さやぎこちなさ、言語障害が持続する可能性があります。脳卒中の後遺症には、パーキンソニズムによる運動速度の低下、歩行障害、筋強剛が含まれることがあります。脳卒中患者は、通常、典型的なパーキンソン症状である(安静時)振戦を発症しませんが、他のタイプの振戦(協調運動障害)を発症する可能があります。

 


 脳卒中は、血管が閉塞してしまうか血管が破れて脳への出血が原因で、血流不足に起因する脳への損傷によって引き起こされます。脳卒中患者は、脳卒中の原因を特定するために綿密な神経学的評価が必要です。近年、脳卒中の再発を防ぐために数多くの重要な治療法が進歩しているので、発症後も神経学的評価は特に重要なことです。

 


 脳血管疾患がパーキンソニズムの発症に寄与するもう一つの状況としては、より一般的ではありますが、はるかに微妙で、認識することはより困難となります。患者は徐々に進行する歩行障害や足を引きずりながらの断続的なすくみ歩行、バランス障害、筋強剛、運動の遅さを伴うゆっくりと進行するパーキンソン病のような症状で病院にきます。医師は、パーキンソン病を発症していると考えるかもしれませんが、パーキンソン病治療薬では症状を改善できないとわかります。

 


 この状況では、脳のMRIスキャンが非常に有用です。 MRIは、患者の認識がなく「気づかずに」発生した複数の微小脳梗塞の存在を実証することができます。基底核や白質のような脳の深部の構造に多数の微小脳梗塞が蓄積すると、パーキンソニズムを生じることがあります。

 

基底核は、黒質と密接に関連する脳領域です。同様に、白質は様々な運動領域間に多数の相互接続を含んでおり、これらの相互接続の破綻はパーキンソニズムを引き起こし得ます。脳卒中で他の領域に影響を及ぼす場合には、認知症を引き起こす可能性があります。


 この状態を血管性パーキンソニズムと呼ぶこともあり、その徴候および症状は主に下肢に限定され、“lower-half parkinsonism”ともいわれます。血管性パーキンソニズムが診断された後に、微小脳梗塞が突然の症状を引き起こさずにパーキンソニズムや認知症といった神経症状を引き起こしていることに患者は驚くことが多いです。

 


 パーキンソニズムを引き起こすような複数の脳卒中を有する人たちは、抗パーキンソン病薬が症状を緩和しないという難題を抱えています。医師の主な役割は、脳卒中の再発を防ぐあらゆる手段をとることです。脳卒中の原因が明らかになったのであれば、いくつかの予防的治療が利用可能です。

 

この障害がある人にとっては、禁煙して、栄養をコントロールし、体重を適切なレベルに保つことが、常に有用です。血圧を調節し、血液凝固能を改善させ、コレステロールを低下させましょう。さらに、血糖を制御するための薬剤は、脳血管疾患の治療にも有用です。

 

 

正常圧水頭症

 正常圧水頭症(NPH)は、パーキンソニズムの原因としては珍しいが、多くの場合は多発脳梗塞のlower-half parkinsonismに類似した異常歩行を生じます。 NPHの他の症状は、排尿障害や認知機能低下が含まれます。診断は、CATスキャンやMRIによる著しい脳室の拡大によって示唆されます。

この診断や確認が困難な場合があります。正確に診断されれば、患者はシャントと呼ばれる脳神経外科手術(髄液の側副路を作る手術)が有益である可能性があります。最近は、メディアでNPHにかなりの注意が払われています。しかし、NPHはまれな疾患であり、経験豊かな医師であればパーキンソン病とNPHを区別することができますが、注意が必要です。

徐々に進行する安静時の振戦、動作緩慢、片側の筋強剛はパーキンソン病の特徴ですが、NPHの初期症状は、歩行のもたつき、尿意切迫感および尿失禁が含まれます。NPHの症状は、抗パーキンソン病薬に反応する可能性は低く、パーキンソン病患者では、脳画像で明らかな脳室拡大の特徴的な所見は見られません。

 


 NPHは非常にまれですが、この障害を持つ人たちは、本当に可逆的である可能性があります。脳のMRIに加えて役立つ方法として、脊髄穿刺(腰椎穿刺(LP))と呼ばれる処置があります。この手技では、腰椎穿刺時に多量の髄液を除去し、1〜2時間後に患者を観察して、神経学的徴候(思考や記憶、歩行)が改善するかどうかを確認します。

これは簡単な診断検査ではありませんが、非常に肯定的な変化があり、臨床像と画像の両方で診断ができ、神経科医と家族の同意が得られれば、シャントを考慮する脳神経外科へのコンサルトが有用でしょう。シャントは、チューブが脳の髄液空間に挿入されて余分な流体を排出する治療です。

 


 患者と家族がシャント術をしたくないからといって、大量の脊髄穿刺を繰り返し行うことに意味はありません。この診断のための処置は、シャントが有用である可能性をスクリーニングするためにのみ行われます。一回の脊髄穿刺は、2〜3日分の脊髄液の排液処置です。

 

この処置は、シャント術が役立つかどうかのより良い評価を提供するものとして推奨されています。この脊髄排液は、病院で1〜2日の滞在が必要であり、わずかであるが重篤な中枢神経感染の可能性もあります。一回の大量脊椎穿刺よりも他の方法が優れているという明確な証拠はありません。シャント術も合併症を伴う可能性がある外科手術ではあります。

 

 

 

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