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2017.05.25 パーキンソン病

20代で発症した若者が伝えた「違法薬物」と「パーキンソン病」との関係について

 

 

 

 

パーキンソニズムの種類

 

・医師はパーキンソン病と他の原因のパーキンソニズムとをどのように区別していますか?

 

MPTP誘発性パーキンソニズムとは何か? なぜそれが重要なのか?

 

・脳卒中によってパーキンソニズムはどのように起こるのか?

 

・頭部外傷によってパーキンソン病は起こるのか?

 

・どういった薬剤がパーキンソニズムの症状を引き起こす可能性があるのか?

 

 

 以前の記事でも指摘してきたように、パーキンソニズムとは一般的に、パーキンソン病のTRAP症状、つまり振戦、筋強剛、無動(動作緩慢)、および姿勢障害のことを言っています。しかし、これらの症状を有する全ての人がパーキンソン病であるというわけではありません。

 

ドーパミン系またはそれよりも下位の神経接続に影響を及ぼす神経障害は、同様の症状を引き起こします。パーキンソン病の診断は、診断検査の結果ではなく、主に個人の症状や病歴に基づく臨床診断であり、非常に多くの障害がこれらと同じ症状を引き起こすため、パーキンソニズムを引き起こす疾患の診断は困難な場合があります。

 

 

 患者や家族は、症状がいつ、どのように起こったのか、症状が悪化したかどうかをよく記録しておくことで、パーキンソン病の正確な診断を補助します。ここからは、パーキンソン病によく似た混乱しやすい障害の詳細な説明をしていきます。その目的は、これらの症状には多くの原因が考えられるため診断が難しいことを患者や家族に知ってもらうことです。

 

患者の自己診断に引き込まれたり、家族が患者の障害が何であるかを決めたりするべきではありません。慎重な病歴の聴取や神経学的検査とその症状の進行状況を示すのに十分な時間が経過することで、正確な医学的診断が得られます。診断に疑問があるときは、神経疾患、特に運動障害の分野での経験のある医師を訪ねることがいいでしょう。

 

 

 

MPTP誘発性パーキンソニズム (MPTP: メチルフェニルテトラヒドロピリジン)

 

 

 多くの科学的、社会的な関心を集めているパーキンソニズムの1つの形態としてMPTP誘発性パーキンソニズムがあります。ウィリアム・ラングストンの著書「The Frozen Addicts」で、20代という若い男性が短期間で重度のパーキンソニズムを発症し、動けなくなってしまった症例を紹介しています。若者は最終的に死亡しました。彼の病気の原因は不明でしたが、違法薬物が疑われました。

 

 その後、カリフォルニア北部で20代から40代の違法薬物を使用していたグループが同じ病気を発症しました。パーキンソン病のように数年から数十年かけて症状が進行するのではなく、彼らの症状は数週間から数ヶ月以内に重篤となりました。彼らの症状は比較的すくみや無動が強く、発話は重度に障害され、歩行が困難となり、動きが遅くなるため自身のセルフケアもできなくなりました。

 

これらの患者を診察した神経科医は、パーキンソニズムの症状が著名でしたが、おかしなことに気づきました。例えば、症状は比較的若い人たちに起こり、急速に重度の障害へと発展しました。科学者たちは、大規模な医療捜査の結果、MPTP(メチルフェニルテトラヒドロピリジン)が原因であることを突き止めました。気分を高揚させるような薬を製造しようとしている違法薬物の製造者が誤ってMPTPを含む薬を作ってしまい、多くの人たちがそれ注射しました。

 

 MPTPの教訓の重要性は、「動けなくなった中毒者」という言葉の意味をはるかに超えています。MPTP以外の薬物は、ドーパミン受容体を遮断するか脳のドーパミンを枯渇させて、ドーパミンが脳から筋肉への神経信号を伝達するのを防ぐため、パーキンソン病の症状を引き起こします。

 

これらの薬物は脳構造を実際には変化させませんが、MPTPはパーキンソン病で影響を受ける脳の部位のドーパミン産生細胞を傷つけます。パーキンソン病の重要性は悲劇的な状況で発見されたが、MPTPはパーキンソン病の研究モデルを提供しています。 MPTPは、パーキンソン病で起こり得る神経細胞死のメカニズムを研究し、研究室で新薬を試験するために使用されています。

 

 MPTPの話題は重要な歴史的出来事とされています。しかし、それはまた、科学と研究のアイデアを探求し、どのように進んでいくかを示しています。MPTPが急性ドーパミン作動性細胞障害およびパーキンソニズムの症状を誘発する方法についての膨大な量の情報を産みましたが、MPTP誘発性パーキンソニズムはパーキンソン病ではないこともわかりました。

 

これはパーキンソン病症状の治療法を研究する優れた動物モデルを提供していますが、MPTPモデルで病気の進行を遅らせる治療法を開発した際に、患者に応用することができなかったことによりいっそうの挫折を抱いています。多くの薬剤が、動物におけるMPTP誘発性パーキンソニズムをうまく緩和させましたが、初期のパーキンソン病患者では失敗しました。これは、より良い薬剤を開発するためのパーキンソン病の新しい動物モデルを探索することにつながりました。

 

 以前に述べたように、MPTPの話は、私たちが普段から食べたり呼吸したりすることで取り込んでいる未知の環境毒素がドーパミン産生細胞に損傷を与え、パーキンソン病を引き起こす可能性があることを示唆しています。残念なことに、特定の環境毒素を探索して何年も研究をしていても、それを誰も発見できていません。

 

ロテノンと言われる化合物が含まれる殺虫剤はMPTPと同様の化学的な効果を有しており、パーキンソン病の動物モデルを作成するために使用されていますが、すべての研究者がその有用性に合意しているわけではありません。研究者たちはParkin遺伝子の機能に関する知識によって、破骨細胞や異常タンパク質を細胞から除去ための細胞として使用されるユビキチンプロテアソーム阻害剤を使用するパーキンソン病の動物モデルを作成しました。

 

この研究でも、他の多くの研究者が最初の所見を再現することができませんでした。もしこれが他の動物で確認されて再現されれば、環境中に天然に存在するプロテアソーム阻害物質があることがわかっているので、それは重要な発見です。 パーキンソン病は一般的に、遺伝的要因と環境的要因とが混在していると考えられています。

 

パーキンソン病の遺伝的素因を与えるいくつかの遺伝子を有している一部の人たちが、これらの遺伝子と相関する様々な環境毒素に暴露した場合にパーキンソン病の症状が現れると考えられています。

 

 

 

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